立教大学社会デザイン研究所「ライフストーリー研究会」です。
活動紹介
私たちは、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修了生で、社会デザイン研究所に籍を置き、「Women’s Future Lab」として共同で研究を行っています。「ライフストーリー」という当事者視点の語りから得られる知見に加え、それぞれの研究分野や社会人としての実践を持ち寄り、女性の視点から社会を捉え直し、新しい社会のストーリーを創造することを目指しています。
メンバー紹介
ライフストーリーとはなにか
「ライフストーリー」とは、個人が歩んできた自分のライフ(人生、生涯、生活、生き方)についての口述の物語のことであり、「ストーリー」とは、2つ以上の出来事を結び付けて筋立てる行為です。
つまり、「ライフストーリ-」とは、「ライフ」を通して得られた経験を、何らかの意図で意味付けて語る行為のことであり、語りから生み出された物語のことです。
ライフストーリーには、語り手が紡ぎだす個人としての主観的な意味やアイデンティティが表現されます。それらをすくい取ることで、ライフストーリーの向こう側にある社会や文化の変動を読み解くことができます。
ライフストーリーを語ることの価値、研究の意義
また、ライフストーリーを語ることは、語り手にとっても大きな意味があります。自らのライフストーリーを語ることを通して、経験したことにあらたな意味や意義を発見したり、「自分らしさ」「自分ならでは」といった個性や価値観も発見していくことができます。
このように、ライフストーリー研究は、一人一人が生きてきた生の物語=ライフストーリー語ることで、気づきや成長、癒しを得るプロセスを支援する文化的営みの場であり、その語りに現れる社会的背景や文化的様相を読み解くことで、個人と社会を結び付けていく行為と言えます。
研究会発足の主旨
世界各地でダイバーシティの重要性が指摘され、固定化した価値観の変革が問われている現代社会。 AIなど様々な技術革新により、社会の変化のスピードはめまぐるしく、性別や年齢、障がいの有無やLGBTなどマイノリティへの差別、行動の制限は、個人としての生き方や考え方を超えて、ムーブメントを起こし、これまで社会で可視化されていなかった人々の語りがハラスメント抑制への動き、新たな制度や仕組みを生み出しています。
少子高齢化社会といわれる日本社会においても、価値観の多様性は今後ますます重要なトピックになっていくと考えられてはいるものの、国が女性の社会における役割をどのように捉えるかということ、多くの人の価値観として、女性が社会にどう関わるかという部分には、未だ大きなギャップが存在しています。個人の語りは、未だ単なる個人の問題や少数派の意見として捉えられる部分も多く、社会の制度・仕組みと女性自身の価値観の間にひずみが生じています。
ライフストーリーを研究することは、「個人」「気づき」「関係性」からの体験の捉え直しによる社会価値の再構築の機会であり、未来に射程を広げる行為であると考えますが、残念ながら既存の社会の枠組みの中には、そのような個人の体験、ライフストーリーから得られる知見や可能性を分析し、社会に実装する方法論がまだ確立していません。
新たな社会価値を生み出す機会を創出していく。そのために今一度、女性から社会を考察する。そのような場を設けるために、本研究会を設立しました。
研究会の目的
私たちの目的は、「ライフストーリー」という当事者視点の語りから得られる知見から新たな視点を見出す分析手法、方法論を模索し、それらを社会で広く応用可能なものとするための手法を研究することです。また、現代女性の人生の選択や価値観に関する質的研究を、女性だけの課題ではなく社会全体の課題ととらえるために、新たな視点からの考察を取り入れ、女性ならではの高積みされた社会課題を浮き彫りにすることで日本社会が見過ごしてきた本質的な課題に向き合い、当事者研究を越えた重層的で多面的な研究、協働・共創を目指します。
今後の活動
定期的な検討会や勉強会を開催していますが、「note」は、研究会メンバーの日常を、ライフストーリー研究の視点から読み解いていくことにチャレンジします。仕事や暮らしで忙しい日々の中、自分自身の「ライフ」を通してどんな発見をしていくのか、ぜひご注目ください。(ゆるっとやっていきます)
★文責★市川望美
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