水月 六花(ぼっち・ざ・りっか)

水月 六花(ぼっち・ざ・りっか)

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「幻想学園」あらすじ

何校も受験してたった一校にしか合格出来なかった黒瀬竜二。入学式直後、可愛い女子藻野前タマに出会い楽しい学校生活を想像する。 しかし、蓋を開ければ学校は日本で唯一の人ならざる者で女子ばかりが通う全寮制の学校だった。 学校で人間は黒瀬竜二のみ。学校を辞めれば廃人は免れない。 生徒でありながら他の生徒に人間社会の事を教える人間と人外少女のラブコメディ。 第1話: 第2話: 第3話:

    • 「幻想学園」第3話

       寮の食堂は食券を購入してカウンターで受け取り、好きな席に座る方式。  食券を買ったタマは券売機の前で悩んでいる黒瀬へ声をかける。 タマ「竜ちゃん決まった?」 黒瀬「んー、まだかな。先に行って席を取っておいてくれ」 タマ「わかった」  券売機のメニューを見て考える黒瀬。 黒瀬心の声〈金が振り込まれるまでの事も考えてなるべく安くて食べた感がある物は……〉  財布の中身を確認する黒瀬。中には千四百十二円が入っていた。  再度、メニューを見て購入する物を決める。 黒瀬心の声〈定食は

      • 「幻想学園」第2話

         時刻は午後五時。校長室での話を終えた黒瀬は学校案内図を見ながら一人で寮へ行き、寮の前へ着いて驚いた。 黒瀬「学校の敷地も広いけど、寮もデケェ!」 圧巻して寮を眺めていた我に返って首を横に振る。 黒瀬「って驚いてる場合じゃねぇ。早く自分の部屋に行かないと。えーっと、俺の部屋は……」  貰ったプリントで確認しつつ自室へと向かう。  寮の二階にある自分の部屋の前に到着すると、ドアにセロテープで鍵が貼り付けてあった。 黒瀬「不用心極まりないな」  鍵を取り、鍵を開けて部屋へ入る黒瀬

        • 「幻想学園」第1話

           東海県某所の山あいにある公立高校。入学式の後、満開の桜の木が並ぶ校庭でハンカチを落とし、そのまま歩みを進める腰まである長い白髪の女生徒【藻野前タマ】。  落ちたハンカチを拾った黒髪の男生徒【黒瀬竜二】はタマに声をかける。 黒瀬「あの、ハンカチ落としましたよ」 黒瀬心の声〈白髪? ストレスかな?〉  振り返ったタマにニコッと笑って拾ったハンカチを差し出す黒瀬にタマは頬を赤く染め目を見開いた。 ◇  発表されたクラスへ移動して黒板に書かれていた真ん中最後方の席へ着く黒瀬。

          「バケモノ少女は平和な世界を夢にみる」あらすじ

          秘密裏に兵器開発をしていた日本。開発を手がけて10年目に不足の事態を招き、日本は生物兵器がそこかしこで徘徊する荒んだ国になっていた。 不足の事態から3年の時が経て、完成体の生物兵器となった少女達が己の胸の内にある大切なものの為に動き出す。 第1話https://note.com/rikka_miduki/n/nbff771193f36 第2話:https://note.com/rikka_miduki/n/nd9eeeb99ccfc 第3話:https://note.c

          「バケモノ少女は平和な世界を夢にみる」あらすじ

          「バケモノ少女は平和な世界を夢にみる」第3話

           立ち上がってまた歩みを進めようとする六姫の横に来た零亜は、六姫に向かって手を差し出した。 「ねぇ? 手、繋ご?」 「嫌だ」 「なんで?」 「あまり仲良くすると、死んだ時に凄く悲しくなるから」 「ぷぷぷ。死なないよ? ムツヒちゃんが守ってくれるもん。だから、ね? 手、繋ご? 繋いでくれないと迷子になっちゃうよ? レアが」 「迷子になるのかよ……。全く、仕方がないな。ほら」  呆れているような口振りではあるが、照れ隠しでそうなってしまっただけ。内心では少し嬉しいという気持ちが湧

          「バケモノ少女は平和な世界を夢にみる」第3話

          「バケモノ少女は平和な世界を夢にみる」第2話

           夜も更けて冷え込んできたのにも関わらず零亜は何処へも行かず六姫が暖を取っている部屋の外で物陰に段ボールを敷いてその上で体を震わせて眠っていた。  まだ春前のこの時期は夜でもかなり冷え込む。防寒着を着ているならまだしも、零亜は薄いボロボロのシャツ一枚。  手馴れ具合から今までもこんな姿で寒い夜を乗り越えてきたのが手に取るように分かり、その光景が目に浮かぶ。 「全く……世話が焼ける」  六姫は立ち上がって零亜の傍まで行くと、着ていたパーカーを脱いで寝ている零亜にソッと掛けてあげ

          「バケモノ少女は平和な世界を夢にみる」第2話

          「バケモノ少女は平和な世界を夢にみる」第1話

           血溜まりの中、雪景色のような白銀の長い髪の少女が息絶えた小さな女の子を胸に抱き、涙とともに悲痛の言葉を零す。 「守れなかった……。みんな死んでしまった。バケモノの私だけ生き残って何になる……」  少女が俯くと、その悲しみの熱い雫が冷たくなった小さな女の子の頬へポタリ、ポタリと落ちては流れた。  一緒に笑い、一緒に泣き、一緒に怒り、時にはケンカもした仲間と呼べるバケモノだった少女達も力なく少女の周りに転がり、ただただ地面を赤く染めるだけ。 「きっと私は生まれて来なかった

          「バケモノ少女は平和な世界を夢にみる」第1話