七文字五文字 響よし

1. 導入部分を 見てほしい

人間の操る言語は大きく二分される。
自然に組みあがった言語(自然言語)と人為的に創り出された言語(人工言語)である。
前者には日本語や英語など、いわゆる「言語」と呼ばれるものがカテゴライズされ、後者には手話やエスペラント、プログラミング言語などが分類される。

自然言語と人工言語の大きな違いは、解析によって文法が確立されたか文法ありきで言語が出来上がったかである。
前者は音からできた言語が文字で書き下されるようになった、という経緯を辿っている。
そう、音が先にあり文字が後からできているのだ。
さらに言えばそれぞれの言語は音に合うように進化してきたのではないかと筆者は考えている(注1)。
本noteでは音と言語の繋がりを例を挙げながら見ていこうと思う。

2. 言葉と音の 関係は?

まずは以下の詩を読んでほしい。

国破山河在
城春草木深
感時花濺涙
恨別鳥驚心
烽火連三月
家書抵万金
白頭掻更短
渾欲不勝簪

国破れて山河在り
城春にして草木深し
時に感じては花にも涙を濺(そそ)ぎ
別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
烽火(ほうか)三月(さんげつ)に連なり 
家書万金に抵(あた)る
白頭掻けば更に短く
渾(す)べて簪(しん)に勝(た)へざらんと欲す
杜甫「春望」

横書きで恐縮だが、有名な漢詩の一つである。
古典の授業で学んだ諸氏も多いのではないかと類推する。

この詩は五文字の句が七つの句で構成されている。
この形式は五言律詩と呼ばれる漢詩の有名な構成である。
他にも四つの句で構成される五言絶句や一つの句が七文字の七言律詩、七言絶句が構成例として存在する。

詩とは一般的に言葉とリズムにより感動を表現するものである(注2)。
このことから、中国語は五文字や七文字がリズムに乗せやすいように最適化された言語であると考えられる。

ヨーロッパの言語においてはソネットと呼ばれる14行の詩がその位置に当たる。
シェイクスピアが書いた154編のソネットが有名だが、残念ながら筆者にこれ以上の知識がないため興味のある諸氏は各自で調べられたい。
ただし、日本でもマチネ・ポエティクと呼ばれるソネット形式の詩を確立する運動が興った過去があることは補足しておきたい。
この運動は最終的に頓挫してしまったが、欧州の言語と日本語の押韻(≒リズム)体系が大きく異なっておりうまくかみ合わなかったことが原因としてあげられる。

3. 日本語の詩は どうなのさ

結論から言うと七文字と五文字に最適化されていると考えられる。
以下、日本の代表的な表現形式を見ていきたい

①和歌・短歌(五・七・五・七・七)
古くから親しまれている表現形式である。
江戸時代以前のものを和歌、明治時代以降のものを短歌と呼ぶらしい。
八世紀に編纂された「万葉集」から連綿と続く代表的な文化である。
ちなみに五・七・五の上の句(発句)に対して七・七の下の句(脇句)を他の人が当てる「連歌」という遊びがかつて存在していたが、現代においては「地獄のカップリング短歌」としてその姿を垣間見ることができる。

②俳句・川柳(五・七・五)
最も有名な表現形式であろう。
季語があるものが俳句、ないものが川柳という違いがある。
短歌に比べて趣向を凝らす文字数が少ないためか、様々な川柳コンテストが今でも開かれている。
ちなみに某博士の川柳コーナーは2015年に終了しているため現在の小学生は知らない可能性が高い。

③都都逸(七・七・七・五)
江戸時代末期に成立した表現形式である。
都都逸という呼称になじみがなくとも「散切り頭を叩いてみれば 文明開化の音がする」や「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」などのフレーズは耳にしたことがあるだろう。

④トゥトゥトゥサークル(七・五)(注1)
お笑いトリオ「ロバート」が2000年代に確立した表現形式である。
厳密にはサークルの活動内容だが便宜的に表現形式とする。
この表現形式を愛用するのは秋山扮する飯塚と馬場扮する千場であり、仮入部した山本もこの形式で話すことができる。
ロバートがキングオブコント2008の決勝ラウンドに進出した際のネタがこちらである。
尚、本noteの章題はすべてトゥトゥトゥのリズムでしゃべれるようになっている。


4. 最後のまとめ いきますか

本noteでは心地よいリズムを刻む言葉について触れてきた。
表現形式は違えど言葉とリズムの組み合わせが人の心に感動を想起させることがお分かりいただけただろうか。
この知識が実生活において活きることはないかもしれないが、それでも何かの折に思い返してもらえることがあればそれは筆者にとって望外の喜びである。


(注1)残念ながら独自研究である
(注2)更に韻の踏み方など一定のルールが存在することが一般的だが今回は割愛する




このように真面目な体裁におかしなことを混ぜ込んで書くのが好きです。
ただ、これ現実でやるとスベるんですよね。
自己完結しすぎていてついていけないとかなんとか。悲しい。

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