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山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第三十五回 年末年始はこの映画を観ろ!特集 (ハードコア編)


どうもどうもどうもどうも、ついに無職歴が丸一周年を迎えた山塚です。

これからはアニバーサリー山塚って呼んでください。

いややっぱ呼ばないでください。

そういう変なあだ名とかマジいじめだから。

もし呼んだら無断でおまえんちにデリヘル呼びます。

つーかやべぇよ!!! マジでやべぇって!!! 

無職であることがヤバいんじゃなくて、無職であることに対する危機感がないことがマジでやべぇ!!!! 

このままだったら難なく二周年行っちゃいそうだもんマジで!!!!!

山塚りきまる(三十歳無職・自称小説家)は全然笑えねえよ!!!!! 

どーすんの!!!? 

どーすんだよ俺!!!?? 

おいっ、どうすんだよ!!!? 

取り乱してすみません。

ワタクシこの一年間、働きもせずに何をしていたかというと、ほとんど日がな一日映画を観ておりました。来る日も来る日も映画を観ておりました。

いや〜、映画ってほんとにいいもんですね。一切の労力を必要としないもん。

スポーツは汗かくし疲れるでしょ? ギャンブルはお金がかかるでしょ? 読書だって“ページをめくる”という行為が付随するでしょ? 

その点映画はサイコーですよ、再生ボタンを押したらあとは座って観てるだけで二時間愉しく過ごせてしまえるでしょ? しかも観終わったとき謎の達成感があるでしょ? こんなに素晴らしい娯楽があるかよ。って感じなんですけど、今回はそんな映画キッズのワタクシから皆さまにオススメ映画を紹介したく、図々しくもこうして馳せ参じた次第でございます。

というワケで山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第三十五回は、“年末年始はこの映画を観ろ!特集 (ハードコア編)”と題して、『今年もいろいろあったなぁ〜…』と物想いにふける、平和ボケした貴様らに喝を入れるハードコアな映画たちを紹介していきたいと思います。

基準としては、

①全国各地のレンタル店にフツーに置いてあるもの

②AmazonビデオやiTunesでネットレンタルが可能なもの

からチョイスさせていただきました。つまりいつでもどこでも簡単に視聴が可能な映画ということです。

みんな、ついてきてね!


一本めはこちら、『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』。

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今やキアヌ・リーブスと並んでインターネットの人気者として親しまれている稀代のハリウッドスター、ニコラス・ケイジ

ここ10年間のニコラス・ケイジの映画出演ペースたるや凄まじく、なんと平均して年間約4本ペースで映画に出ています。2018年には声優での出演も含めればなんと9本(!)の映画に出演、まさに時代がニコラス・ケイジを求めているといっても過言ではないでしょう。そんないま最もホットな映画俳優、ニコラス・ケイジの歴代出演作の中でも屈指の問題作がこの『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』でございます。

一見B級アクション映画のようですが全然違います。これは“ニコラス・ケイジという逸材をどれだけ面白く撮れるか”に全力を注いだ、最凶の悪ノリアシッドムービーなのです。

悪魔崇拝のカルト集団に妻を殺された男が復讐のため立ち上がるというストーリーなのですが、はっきり言ってそんなストーリーがどうでもよくなるぐらいニコラス・ケイジが面白い。とにかく面白い。ひたすら面白い。本作ではニコラス・ケイジの国宝級とでもいうべき“顔面力”がたっぷり味わえます。

ダウナーな映像美や、ヨハン・ヨハンソン(2018年没。合掌)による音楽も没入感を加速させます。ワタシこれ映画館で観たんですがとにかく音がクソバカデカすぎで笑いました。きっとスタッフはヘヴィメタル好きのジャンキーばっかりなんだろーなー。Tシャツとか壁紙の模様にもニヤリ。


二本めはこちら、『暴走! ターボバスターズ』。

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これまでおよそ4000本ぐらいの映画を観てきましたが(大したことはありません。シネフィルを自称するのも憚られる数字です)、その中でいちばん笑った映画ってなに? と尋ねられたならば、ワタシは同着一位として『トロピックサンダー』『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』、そしてこの『暴走! ターボバスターズ』を挙げるでしょう。

メチャクチャな勤務態度によって仕事をクビになった仲良し五人組が、『今後一切カネは払わねえ!』と宣言し、略奪行為や踏み倒しを繰り返していたらなぜか国内の貧困層の支持を受けてたちまちヒーロー化、事態を重く見た政府は彼らを抹殺するべく特殊部隊を送り込むが……というお話なのですが、とにかく不謹慎ネタのオンパレード。

87分の本編の中で、ただひたすらに、えげつない下ネタや差別ネタ、ドラッグ描写が矢継ぎ早に繰り出されてゆく。

五人組はユーロビートを爆音で流しながら飲酒運転して人を轢きまくり、そこら中でツバを吐き、揚げ物ばっかり食って、すぐに暴力を振るう。なんだかよく分からないが常にめちゃくちゃオラついている。真正のガチクズです。そしてガチクズたちは更生する気配すら一切見せることなく、強引にハッピーエンドを迎えます。ここまで頭の悪い映画がこの世にあるのか、という圧倒的感動。

ちなみにこれ、オランダの人気TVシリーズの劇場版なのだけれども、オランダでは全国公開されて大ヒットを記録したというから、オランダまじパねえ〜って思っちゃいますネ。

ちなみに続編の『暴走! ニトロバスターズ』もかなり面白いです。ほぼ同じスタッフで制作された『破壊のスタントマン』もおすすめ。


三本めはこちら、『ブルークリスマス』。

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当時大ヒットしていた『スターウォーズ』に対抗するべく、特撮映画の大家である東宝が『じゃあ逆に特撮を一切使わないでSF作ってやるよ!』つって制作された異色のSF映画でございます。

庵野秀明に多大な影響を与えた作品であり、『エヴァンゲリオン』『シンゴジラ』もこの作品からの遺伝的形跡が色濃く見てとれます。

世界各地でUFOが目撃され、しかもそのUFOを見たものは全員血液が青く変色するという怪現象が起こり、青い血を持つ人間は人権を否定され苛烈な差別を受けるようになり、そしてクリスマス・イヴの夜に世界中を震撼させる恐るべき事態が……というお話なのだけど、宇宙人と交信できると豪語する世界的ロックバンド“ヒューマノイド”や、ドラッグスキャンダルによってドラマを降板させられた若手女優などが絡み合い、一筋縄ではいかないストレンジかつ濃厚なドラマが展開されてゆく。

脚本は『北の国から』で知られる倉本聰で、“えっ、倉本聰がSF?”と意外に思われる方もいらっしゃるでしょうが、『北の国から』でもSF回がありまして、純と蛍が通う小学校の担任の先生が実は宇宙人とマイメンで、最終的に山の中で五郎と純と蛍がUFOと遭遇する。っていうお話なんですけど、“現代科学では割り切れないものを表現したい”っていう想いが倉本先生の中にはあるみたいっすね。

余談ですがワタシ、プライヴェートの倉本先生を何度か目撃したことがありまして、毎回声をかけるギリギリのところまでいってすべて挫折しています。倉本先生は黄色いハマーに乗っていらして(いまはもう違うようですが)、とても格好良かったですね。

とにかくこの映画本当に面白いです。全力でオススメします。


四本めはこちら、『暴走パニック大激突』。

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天才的なドライビングテクニックを持つバーテンダー・山中が、相棒の関と組んで全国各地で銀行強盗を重ねるが、あるときヘマをやらかして関が死亡してしまう。山中は海外への逃亡準備を始めるが、関の兄・勝男が復讐のため関を追い始める。またエネルギッシュな暴力警官・畠野も山中の逮捕に全力を注ぐ。一方その頃、男色家のオーナーにホモセックスを強要されてオーナーを殺害してしまった自動車修理工は……?

銀行強盗、警察、自動車修理工の3つのストーリーが交錯し、ラストに向かって収束されていくという構成は、クエンティン・タランティーノ『パルプ・フィクション』の原型と言われているんですけど、緻密かつユーモアに溢れたタランティーノの脚本に比べて、これはあまりにプリミティヴというか、乱暴で猥雑です。

どちらかといえばエドガー・ライト『ベイビードライバー』のほうが似ていると思いますね。おそらくですがエドガー・ライトはこの映画を観ていると思います。

天才的な運転技術を持った銀行強盗(正確に言えば“ベイビードライバー”は逃し屋ですが)と復讐に燃える男。という本作の対比構造をエドガー・ライトはうまくマッシュアップし、『ベイビードライバー』を作ったんだと思います。完全な妄想ですが。

1975年、邦画において初めて本格的なカーチェイスが導入された『新・仁義なき戦い 組長の首』を観た当時の東映社長・岡田茂が、『カーアクション映画を作れ』と深作欣二に命じて制作された本作は、日本最初のカーアクション映画といわれております。

主人公・山中を演じた渡瀬恒彦は実際に卓越した運転技術を持っており(当時、東京・大阪間を走る新幹線より渡瀬恒彦のクルマの方が早かったというトンデモ伝説が残されています)、スタントマンを使うことなく超絶技巧のカーチェイスを披露しています。

とくにラスト30分の、道行く一般車両やバイク、テレビ局の取材車や通行人まで巻き込んだ阿鼻叫喚のカーチェイスは、“一般市民が溜まりに溜まったフラストレーションを爆発させて暴動を起こす”という側面も描いており、さながら『グランドセフトオート』の暴動チートのような、支離滅裂で暴力的な痛快さに満ちています。

暴言吐きまくり、モノぶっ壊しまくり、車ぶっ壊れまくり、人死にまくり、とにかくまくりまくります。狂って狂って狂い咲き続けたのち、まるで罪人が首をはねられるかのごとく、突如スパッ!!! と終わる驚愕のエンディングは、70年代の邦画ならではのアナーキーさです。

とにかく狂ったように面白い映画なので、鑑賞する際にはぜひアルコールとジャンクフードをガツガツ摂取して、本能を剥き出しにして観てください。間違いなくトベます。



というワケでいかがでしたでしょうか、山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第三十五回 年末年始はこの映画を観ろ!特集 (ハードコア編)、そろそろお別れのお時間となりました。次回もぜってぇ読んでくれよな!!!!!




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