見出し画像

山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第三十七回 年末年始はこの映画を観ろ!!!特集 (名作アニメ映画編)


ハッピーハロウィン!!!!!!!!!(すべてにおいて間違った挨拶)


突然ですが皆さん料理とかしますか?

僕は食に対する関心が極めて薄く、食べ物に対する評価が『おいしい』『すごくおいしい』の2パターンしか存在しない馬鹿舌ちゃんなので、これまで歴史に名を残すレベルで料理という行為を避けて生きてきたんですけど、齢29にして『果たして俺はこのままでいいのか!』と思い立ってですね、料理を始めたんですね。

初めは目玉焼きという超ビギナー料理からスタートし、味噌汁、玉子焼き、野菜炒めを経て、ついにギターにおけるFコードと言える難関・カレーを制覇し、今では凄腕シェフとして山塚家にその名を轟かせているワケなんですけれども、料理って楽しいですね! 

楽しいっていうかウケますね! 

カスタマイズ要素満載だもん! 

マジ自由度高すぎ! 

ノリで調味料とか入れるの超笑えるもん! 

どんだけミスったとしても最終的に塩入れてしょっぱくしてあと白米さえ用意しちゃえばどうとでもなるもん! 

舌がIQ8だから『味濃い=おいしい』って思っちゃえるもん!

結論、料理はウケる!!!

というワケで(えぇ〜っ!?)山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第三十七回は、年末年始はこの映画を観ろ!!!特集 (名作アニメ映画編)と題して、今こそ皆さんに観てほしい名作アニメ映画をご紹介します!! みんな、ついてきてね!!!


一本めはこちら、『ウェイキング・ライフ』。

画像1

ストーリーらしいストーリーは特になく、ひとりの青年がいろんなところに行っていろんな人の話を聞く、という純度100パーセントの会話劇です。

語られるテーマはいずれも哲学的かつ興味深いもので、進化論、映画論、宇宙論、言語学、量子物理学、時間の概念、集合的無意識、ポストモダン、自由意志の有無、輪廻転生、夢などなど多岐にわたります。

監督・脚本は、『スクール・オブ・ロック』、『6歳のボクが、大人になるまで。』で知られるリチャード・リンクレイター。大学時代は野球で奨学金をもらっていたというゴリゴリの体育会系でありながら、文学やロックなどのサブカルチャーにも耽溺していたという筋金入りのオタクでもあります。12年間かけて撮影された『6歳のボクが、大人になるまで。』は大きな話題になりましたが、なんと現在は20年かけてミュージカル映画を撮影するプロジェクトに取り組んでいるようです。マジでキチガイ(笑)。

セリフのみならず映像も魅力的。一回実写で撮ったあとにその映像をトレースして全部アニメーションに描き起こすロトスコープという技術を、映画史上初めて本格的に導入した実験的な作品でもあります。この革命的な映像を作り上げた立役者は美術監督のボブ・サビストン。ロトスコープ技術の実質的な産みの親であり、彼が手がけた『ウェイキング・ライフ』の原点ともいえる短編アニメーション『スナック・アンド・ドリンク(’99)』は、ニューヨーク近代美術館の永久保存作品に選出されています。

常に浮遊し揺れ続ける映像、暖かみのあるヨレた絵柄は、いま観てもすげえクールです。イケまくりです。

僕はこの映画をおそらく100回以上観ています。面白いから何回も観たというんじゃなくて、セリフの内容を理解したくて何回も観たんです。

『よくわからんがこのシーンは多分めちゃくちゃ面白くてカッコいいことを言っているぞ! このセリフの意味をもっと深く知りたい!』

と思い、

参考になりそうな科学や哲学の本を買い込んで読み漁ったのち、

また映画を観直して、

『うわーーーークソやべーーーーー!!! そういうことだったのかーーーーー!!!! まじかっけえーーーーー!!!!! リチャード・リンクレイター最高ーーーーーー!!!!!! 抱いてくれ!!!!!!』

と悶絶する、その繰り返し。そして未だなお、すべての内容を理解しきれていません。僕はこの映画と一生付き合っていくでしょう。

『この映画を観て人生観が変わった』というクリシェがありますが、この作品はまさにそうした可能性を秘めた映画だと思います。

セリフの情報量があまりに多すぎて字幕だと半分も表現しきれてないので、日本語吹き替えで観るのがオススメっす。


二本めはこちら、『リズと青い鳥』。

画像2

吹奏楽に青春をかける高校生たちを描いた『響け!ユーフォニアム』のスピンオフ作品。高校最後のコンクールを間近に控えた吹奏楽部のオーボエ奏者・鎧塚みぞれとフルート奏者・傘木希美の交錯する想いを繊細に描いた青春映画。

オレこの映画めっちゃ好きなんですよ。

めっちゃ好きなんですよ。

めっちゃ好きなんですよ!!!!!!!(まじしつけー)

これ観てるとね、『うわーーー!!!!』って叫びたくなりますね。

心が叫びたがりますね。

たとえるならば中学の放課後の帰り道でクラスメイトがキスするところを偶然目撃してしまったみたいな爆裂エモーショナルの連続ですよ。

窓開けて拡声器片手に『レーズ! レーズ! 女と女! 女と女! 百合は最強だ! 百合は最強なんだーー!』ってシュプレヒコールしたくなること請け合いですよ(は?)

表情やセリフではなく手や足のしぐさで心情を表現する巧みな演出、極限まで磨き抜かれ削ぎ落とされた脚本、いわゆる“アニメっぽさ”のない抑制の効いた声優陣の熱演、淡い輝きを放つ優しく柔らかな映像感覚、どれをとっても満点ハイセンス。代官山蔦屋書店って感じ(は?)

“絶え間なく注ぐ愛の名を永遠と知ることができたなら言葉では伝えることがどうしてもできなかった愛しさの意味を知る”って言葉を完全映画化した感じですね。いやこれは『は?』じゃないよ! マジで! 俺ぜんぜん超本気で言ってっからね! 観た人なら絶対わかってくれる! な! これマジでそういう映画だよな! 俺たち仲間だよな!

あと何つっても音楽が素晴らしいです。音楽をあんまり好きじゃない人が作ったんだろうな、って思わされる音楽映画ってかなりキツくて、今年公開された『空の青さを知る人よ』なんかまさにそういう感じの作品だったんですけど(とくに演歌歌手の描き方が酷い。アレは演歌という音楽ジャンルへの冒涜だと思います)、『リズと青い鳥』はたった一曲の演奏シーンに作中で語られるテーマすべてが託されていて、音楽というものに対する揺るぎない信仰を感じました。

美少女アニメ。というだけで敬遠してしまう御仁もいらっしゃるとは存じますが(本作を美少女アニメと呼ぶことは、エヴァンゲリオンをロボットと呼ぶような暴力行為であることは重々承知しておりますが)、まあまあそこはグググッと堪えて観てみてください。いやマジでおもしれーからこの映画! 命賭けっから! 親からもらった命をそんなスナック感覚で!? よろしくお願いしまーす。


三本めはこちら、『海獣の子供』。

画像3

自分の気持ちを言葉にすることが苦手な少女・琉花は、ハンドボール部でトラブルを起こしてしまい、夏休み初日から部活禁止になってしまう。行き場をなくした琉花は父の勤める水族館へ向かう。琉花が大水槽をぼんやり眺めていると、魚たちと一緒に泳ぐ少年を発見する。“ジュゴンに育てられた”と語る双子の兄弟、海と空に出会ったことで、琉花の夏休みは予想もつかない方向へと転がってゆく……。

これは映画館で観たんですけど、もう凄すぎてワケがわからなかったですね。ただひたすらに凄いということしか解らなかった。エンドロールが終わって場内に明かりがついて清掃のおばさんが入ってくるまで席から立ち上がれなかったです。

この映画は『もののけ姫』によく似ています。エコロジカルな環境思想とかそういう表層的な面ではなく、観終わったあとの“じぶんはいま一体何を観せられたんだ?”という胸がざわめくような余韻が、感覚的にすごおくよく似ています。なにより、神的な存在への畏怖。を描いているという点で、『もののけ姫』とこの作品は一致しています。

嵐の夜や、森の奥深くに足を踏み入れたときに感じる、ことばでは言い表せないあの感覚。なつかしいような、おそろしいような、得体の知れぬはてなき感情。あのセンス・オブ・ワンダーを、この作品は映像と音楽によって巧みに表現しています。時間感覚を無化し自我を消失させる、すさまじい退行。サイケデリックとはまさにこういうことをいうのではないでしょうか?

アニメ映画史に残る大名作『マインド・ゲーム』から15年、スタジオ4℃はとてつもない境地に辿り着きました。ぜひ万難を排してご覧ください……ってググったらこれまだDVD出てねえじゃん! 来年の1月じゃん出んの! 観れないじゃん! ダメじゃん! もういいよ! わたし出家する! 瀬戸内寂聴んちの子になる! 

とにかく来年1月だかんね! 1月22日だかんね! ぜってー観とけよお前ら! ぜってーだかんな! 観なかったらお前まじ絶交だかんな! 瀬戸内寂聴との約束だかんな!


四本めはこちら、『花とアリス殺人事件』。

画像4

岩井俊二の名作青春映画『花とアリス』の前日譚。転校生・徹子とひきこもり少女・花の友情のはじまりを描く。

なんつうのかな……俺さぁ……ぶっちゃけこの映画のことさぁ……好き? みたいな……まぁそんな感じなんだけど……お前どう?

いやこの映画めっちゃいいんすよ。マジでめっちゃいいんすよ。いやホントにいいんすよ。嘘じゃないっすよ。これリアルにガチっすよ(語彙力の喪失)。

童貞スピリットを熱く滾らせることで(俺の中だけで)有名なフィルムメーカー・岩井俊二が作り上げた、世界最高強度の童貞アジテーション映画。

僕は童貞力が56兆9800億あり、こないだ童貞力の国内ランキング第7位として『ぴあ』にも載ったほどの強豪童貞なんですが、友人で国内ランキング第8位の森くんとこの映画の話をすると、お互い目を伏せてニタニタ笑いを浮かべながら『いやぁ……あの映画めっちゃいいよね……』って繰り返すのみになってしまいますね。

『あの伏線がまさかあそこで回収されるとはね。ヤッバイよね脚本』とか『蒼井優が声優としてイケまくってることには驚きだったけど、鈴木杏も実際かなりヤバくない?』とかそういう具体的な感想は一切言わず、ただただニタニタし続けてしまいます。

『どういうこと?』と首を捻る御仁もいらっしゃるかもしれませんが、どういうこともそういうこともないよ!!!!!!!!(突然キレ。キレる二十代。あと三ヶ月で三十代だが。合掌。R.I.P。)

とにかくそういう類の映画なんだよコレは!!!!!

いいから観とけって!!!!!!

これ観たらお前アレだよ!!???

アレがアレすんだよ!!!!!???(語彙力の喪失part2)

騙されたと思って一回観てみって!!!!!!!

お前絶対こーゆーの好きだからマジで!!!!!!!!

な!!? わかった!!?? 絶対観とけよお前!!!!! 三日以内に観とけよ!!!!! 観なかったらお前アレだかんな、お前の住所2ちゃんに書き込むかんな!!!!!!!



というワケでいかがでしたでしょうか、山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第三十七回 年末年始はこの映画を観ろ!!!特集 (名作アニメ映画編)、そろそろお別れのお時間となりました。

次回もぜってぇ読んでくれよな! 愛してるぜベイベー!!! ロックンロール!!!!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?