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金子声児誕生日企画について私が知っている二、三の事柄(エピソード8)

〜前回までのあらすじ〜

メントスをアナルに入れてオナラしたら、超高速で射出されたメントスがフィアンセの心臓を貫き、最愛の女(ひと)を殺してしまった悲しい過去を持つ主人公・高木はひょんなことから西武ライオンズのドラフト六位指名を受ける。一方その頃、ハメられて無実の罪で投獄された元公認会計士のアレックスは仲間のブー、サモハン、リンチェイと共に脱獄を企てるが……?


で、一回寝たらもう人間の身体って休息モードになっちゃうのな、7時と8時と9時と10時にアラームかけてたけど全部スッ飛ばして、ようやっと目覚めたのが11時ですよ。

ほいで俺は12時から神保町に用があったンで、大急ぎで歯を磨いて顔を洗ってうんこしてそのうんこを全身に塗りたくって、そしてシャツを着てスラックスを履いたら『これじゃちょっとかっちりしすぎてるからハズシが必要ね』って俺の頭の中のピーコが言ったんで、とりあえずチャックから金玉を出してみて、こういう事じゃねえよなって思って金玉をしまって、シルクハットにマントといういでたちで外に繋いでいた白馬にまたがったらその白馬の脚が全部折れてて、それで仕方なくサブウェイに飛び乗って途中でアリカくんとお別れして、『遅刻ちこく〜〜〜〜っ!!!!ドドドドドド!!!!!(ドドドは実際に口で言うオタクマナー)』って叫びながら神保町へ向かったン。

うん、十分足らずで着いたね。焦る必要ゼロだったね。死ぬほど時間あったから、ファミリーマートのイートインスペースでコーヒー牛乳飲みながら髭男爵のインタビュー記事を延々と読んでたよね。

で、十二時過ぎからちょっとしたパーティーっていうかセレモニーっていうかカーニバルっていうかとにかくそういう類のものに招待されてて、『ラフな服装で構いませんよ』って言われてたから、真に受けて行ったんですよ、トップ画のいでたちで。

アロハシャツに白のスラックスに白の革靴にデカいグラサンという尾崎ジャンボスタイルですよ。そしたらみんなスーツ着てやがんの!ちゃんとジャケパンスタイルでやんの!!俺浮きまくり!!!!

いやこれでも配慮した方なんですよ。僕がマジにラフって言葉を受け止めてたら、絶対上下ガルフィーのスウェットにキティちゃんサンダルでカチューシャしてデカい十字架のネックレスしてるもん。ワイングラスにポコチンの先端を入れたり、五秒に一回奇声を上げたり、そういうラフプレーを如何なく行ってたもん。そういう狼藉も許される無礼講タイムだと思ってたら全然そういうテンションじゃなかったね。

俺そういう社交辞令的なやつ一切わかんない、言葉をそのまんま受け取っちゃうアスペっ子だから困るんですよ。

(『アスペ』っていう略称は差別用語だと言う人がいますが、障害者の福祉や教育に対して日本より遥かに先進的なスウェーデンの映画『シンプル・シモン』ではバリバリ『アスペ』って略称が使われてることに対してその人たちは一体どう思っているのだろう?)

まーそれであれやこれやが終わって、この日はホテルに泊まることになってたんですよ。ワタシホテルが大好きで、もし将来金持ちになったら自分専用のホテル建てたいぐらい好きなんですよ。もし将来結婚して子供ができたら「ホテル」って名前つけたいぐらいですよ。

あとグーゼンにも世界柔道ポルトガル代表チームも同じホテルに宿泊してて、黒人の女性選手の腕が俺の太ももと同じ太さでビックリしました。もし後ろから襲いかかっても6秒で殺されるんだろーなーなんて思いながら十五時にチェックインして部屋に入って、ほいでもう疲れたからちょっと寝るか。と思ったら全然寝れなくて、ブラッド・ピットのインタビュー記事を延々と読んでました。

で、このままじゃいかんぜよ!と思って、街に繰り出したの。強めに髪を巻いて甘めのワンピースを着て真っ赤なルージュをひいておめかししてね、近くで『高畑勲展』やってたからそれ観に行ったの。

素晴らしかったね。座りションベン。もう死んだなんて誰にも言わせない(マイルス・デイヴィス復帰時にタモリがオールナイトニッポンで涙ぐみながら言った言葉)。

ワタシも若い時分は『宮崎駿がジョンで、高畑勲はポールだ』とか今思い出しても顔から火が出そう、いや尻から下痢が出そうな小っ恥ずかしいこと言ってたんですけどね、高畑勲はポールじゃない。高畑勲は高畑勲です。

しかし二人組の天才っつうのは、独創性のあるアイデアとカリスマ性を持った感情の激しいAと、高度な知識と技術を併せ持ちAの才能をソフィスティケイトする温厚な人物B。のコンビっていうパブリックイメージがありますよね。何でですかね。ジョブズとウォズが、AとFが、サイモンとガーファンクルが、小山田圭吾と小沢健二が、この天才二人組はどのように歯車を噛み合わせ、また外れたのかについて考えるのはまたの機会として、

繰り返しますが高畑勲展は本当に素晴らしかったです。ルパン三世第一話の脚本とか、ナウシカの企画書とか、当時の東映動画の社員のデスク再現したヤツとか見ててドキドキしたし、氏の、人々の暮らしに対する眼差しや、思想を映像に託すに至るまでの意識の変化、戦争に対する怒り、『線』に対する持論などなど目からウロコがバラバラっと飛び出る思いでした。で、よく見てみたらウロコじゃなくて角膜だっつってね。そのまま救急車で運ばれてね。医療ミスでジフテリアの薬点滴されてね。それでポックリ逝って、天国から今この文章を綴ってるワケですけども、こうやって随所にギャグを挟まなければエピソード2ぐらいで終わってたと思うね正直。

あと大きいスクリーンで観る『かぐや姫の物語』、サイケデリックすぎてマジで喰らいました。胸がかき混ぜられて傷つくように感動した。日本でサイケっていうと、ロン毛でベルボトムで極彩色ドカーン。みたいなイメージがあるけど、ほんとのサイケデリックってそういうのじゃないと思います。

坂本慎太郎が『何もない砂漠にポツンと鉄塔が立っている風景とか、そういうのが僕にとってのサイケ』つってたけど、まさにそういう冷やっこさや畏怖を含有したものがネクスト・サイケだと思う。

いまネクスト・サイケとがっぷり四つに組み合っているのは漫画だと長尾謙一郎、音楽だとthe hatchと踊ってばかりの国と坂本慎太郎、絵画だとアリカちゃん、映画だとジョージ・ミラーとドゥニ・ヴィルヌーヴとアレハンドロ・イニャリトゥとクリストファー・ノーランだと思います。文学は全く嗜まないのでわかりません。

テレンス・マッケナ曰く、サイケデリックとは、われわれがふだん暮らしている三次元空間をもう一つ上の次元から見るコトです。サイケデリックとは「自らの内面を見る」という意味です。

そういう意味合いにおいて、『かぐや姫の物語』はここ日本においての強烈サイケアニメだと思います。二人が手を繋いで飛ぶシーンとかヤバすぎて笑っちゃったもん。『千と千尋』とか『ハウル』も最近見返したらサイケすぎて腰抜かしたね。

まあまあダラダラ書きましたが、高畑勲展、アニメが好きとかジブリが好きな人はもちろん、バンドやってたり絵描いてたり写真撮ったり、なにか創作活動をしてる人全員に観て欲しいなと思いました。おすすめします。

んで、皇居周りをディスコ聴きながらホテホテ散策しました。

このセリ・ビーって人、同時代のディスコと比較すると明らかに高級感漂う、というかお金と手間暇かかってる感じがして凄く良いです。バックの演奏も大味じゃなくてめちゃくちゃ洗練されたアレンジだし。ディスコ・ナンバーをやろうとしたんじゃなくて、良質で現代的なソウル・ミュージックをやろうとしたらたまたまディスコになっちゃったみたいな感じ。

コレ聴きながら、そびえ立つビルのきらめきを背負った皇居ランナーの大群とすれ違ったとき、『あ、東京だ』と強く思った。『サカナクションのMVみたい』とも思った。あと、『トンカツ食べたい』とも思った。

そしてあくる日、僕はチェックアウト五分前まで寝て、それから早着替え戦士シャッツマン(小四のとき佐川くんが考えたヒーローの名前)に変貌してギリギリセーフでチェックアウトを済ませ、ホテルを飛び出した。

で、神保町の友達がバイトしてる喫茶店でコーヒーを飲んで18秒ぐらい談笑して、古本屋をぶらついてマリスミゼルのFC会報誌を買おうか悩んだ末にやめて(嘘。悩んでない)、とりあえずひったすらに歩いてみることにして、途中途中のコンビニエンスでアルコールを補充するなどしながら四谷まで歩きました。

して、シヴヤへ行きました。何故シヴヤ?と問われるならば、この日はマイメンのギグがあったからでござるよ薫殿(唐突にるろ剣)。

でシヴヤのO-EASTだったかな、そこでせいじやパリスくん、サムライマンズグルーヴと爆弾ジョニーのボーカルのりょーめーなどと落ち合いまして、

せいじが20日からずっと同じ寅壱のボンタンを履いてることなどを指摘しつつ時は流れ、そんなこんなのすったもんだのTENYA-WANYAで、せいじとメタルkawaiiというユニットをやっている(エピソード2あたりを参照)木下百花さんのソロプロジェクトのkinoshitaのライヴを観たの。

ちなみにこのkinoshitaでもせいじさんはベース弾いておりまして、でもkinoshitaの冒頭2曲はメタルkawaiiの曲をやってて、もうなんかちょっと説明しづらいっつうかワケわかんないね。

メタルkawaiiの楽曲は天才パリスくんのプロデュースなのですが、憎さ余って可愛さ百倍、とにかくファニーでキュートでイントシケイトなオルタナポップ・ミュージック(ポップスでもJ-POPでもない)で、フレンズもラブサマもリリカルスクールもまっつぁおってカンジですよ。正規音源リリース大至急求む!

でねぇ、kinoshitaのライブは素晴らしかったです。『歌わなきゃ生きていけない』と嘯くシンガーはごまんといるけれど、このヒトは本当に歌わなきゃ生きていけないのかもしれない。と思いました。生まれながらにステージに立つための才能やカリスマを備えた人間。というのは実在し、僕の周りにも十数名ほどいるワケですが、

(驚くべきことに僕の周りにはたくさんの天才が存在する。彼らは遅かれ早かれ世間のど真ん中に姿を現し、スナック感覚で革命を起こすだろう)

彼女もまちがいなく、そうした人物のひとりだと思います。

椎名林檎は『歌舞伎町の女王』をあたかも己の出自を歌ったノンフィクションソングだと大衆に思わせ、更に新宿系を称し自分のキャラデザ/ブランド化を確立しましたが、kinoshitaは恐らくガチで己の半径5メートルの世界を5分間に詰め込んでいると思いました。レトリックやポエジーをほとんど用いないストレートな歌の数々は、むき出しになった彼女の作曲当時の心象風景なのではないでしょうか。

ダリは『もし自分がベラスケスほど絵が描けたら一枚描いた時点で死ぬだろう』といい、ジャズミュージシャンの菊地成孔は山下達郎を指して『もし自分があんな歌声を持っていたら今頃は刑務所か精神病院にいた』といっていますが、彼女の歌声はそうした猛毒を放つ花のような危なっかしさを秘めています。

引かぬ媚びぬ省みぬ。とは北斗の拳のサウザーの言葉ですが、ライヴではそういったアティチュードを全身からギンギンに放射していました。ポップスにおける必需品であるウソや虚飾や妥協や遠慮といった“砂糖”がまぶされておらず、また着陸地点も推測できないため、いまもっともスリリングかつ麻薬的なSSWのひとりだと思います。

まぁまぁまぁまぁ長々とクッキーシーンのライターみたいに戯言をほざきましたが、ライヴがハケたあと打ち上げに混ぜてもらいました。いろんなバカ話して死ぬほど笑った記憶はあるのですが、内容に関しては一切覚えていません。思い出せない思い出がまた増えてゆく。

で、河岸を変えるべってことで、カラオケに行きました。踊り6:歌3:己との対話飲み1ぐらいの割合でカラオケでもフル稼働し、歌い果て、踊り狂い、飲み倒しました。音楽が鳴ったら踊っちゃうのさ、だって俺は東京に来るまえ、『昴』読んで『サタデーナイトフィーバー』と『グリース』観て、コンファンクシャン聴いてたんだから。

でもスキを見て入れた真心ブラザーズの『スピード』を、『誰も知らないから』って理由でイントロ8秒ぐらいで切られたのは若干悲しかったですけどね。そのあとのモー娘。で復活しましたけど。日本の未来はwow wow wow wowですよ。世界が羨むyeah yeah yeah yeahですよ。見に見に見に来てねですよ。それは矢野顕子の春咲小紅ですね、ダウト。

ほいでカラオケも飽きたナってことで百獣のボーカルの天野さんが働いてらっしゃるバーに行って、テキーラを無限に飲み続けました。

テキーラってワタシ実はこんとき初めて飲んだんですけど、あれヤバいね。一瞬でHP満開になってテンション爆上がりする。キツい酒ってただ己を鈍らせるものだと思っていたけど、こうやって爆上げしてくれるのもあるんですね。

で、例によっていろんなバカ話して浮世を忘れるほど笑った記憶はあるのですが、内容に関しては一切覚えていない。でもひとつ覚えているのが天野くん情報なのですが『謎のイラン人女性(エピソード3か4辺り参照な)』は昨日この店でオールしていたそうです。会いたかった〜、いや別に会わなくていい、十メートルぐらい離れたところから見たかった〜。

ほいでさ、気がついたらみんな帰ったりとかしてて、朝方五時の駅の改札でオレをお見送りしてくれたのはせいじと友人のSちゃんだけでした。

寂しさを抱きながら空港にチェック・インし、飛行機に乗ってシートベルトした瞬間に意識はカッ飛び、気がついたらもう旭川空港に着陸してました。LCCにはない特権である飲み物飲み物サーヴィスも放棄して寝狂ってたの。逃したらめっちゃ損した気分になるのって俺だけ?あんなん買ったら別に百円ぐらいのもんなのにすげえ損した気分になるんだよね俺。

まぁそんなこんなで、一年ぶりの中華一番in tokyoは幕を閉じたのです。

とにかく伝えたいのは愛しかないね。

ただ赤裸々に愛を伝えたいね。

この数日間で出会ったすべての人々に、愛と、愛と、愛と、愛と、愛と、愛と、愛と、愛を伝えたいんだ。

愛だとか夢だとかを口にする事はカッコ悪い事なんかじゃないって浜崎あゆみも歌ってたしね。

結局ぜんぶ最終的にはLOVEに行き着くからね。

かつてせいじはこう言った、『俺はマジで崖っぷちだけど、崖っぷちの方が景色キレイだし楽しいじゃん。あとはお気に入りの靴さえ履いてりゃオーケー』と。

盛大なるラヴ・ジャーニーは終わり、戦いを終えた義勇軍は家へと帰るのだ。

しかし俺たちは忘れていた、

9月6日に札幌で中華一番のライヴがあるコトを……。

金子声児生誕祭はまだ終わっていないというコトを……。

そしてそれは、前代未聞の事件を引き起こした革命的なギグになるというコトを、この時点では誰も想像さえしていなかった。


(完)

(次回より中華一番 DOSANCO JAM編スタート!震えて待て!!)


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