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飛び込み営業でNoをYesに変えるには?

今回は営業マン、特に新人の人に向けたお話をします。
建築改修工事の営業のお話になりますが、他業種の営業の人にも参考になる部分があるかもしれません。

さて、新規開拓つまり飛込み営業では、当たり前ですが断りを受けることがほとんどです。
しかし、断りを断りとしてまともに受けていたのでは、ただの当てもの営業しかできません。

足で稼ぐ営業

「飛込みは、数さえまわれば、あとは確率の問題だ。」と言われれば、それはそれで正しいと思います。
それが飛込みという仕事の本質かもしれません。

いわゆる足で稼ぐという営業です。
しかし、足を使っても稼げない人がいます。

数をまわれば必ず見込み客に当たっているはずですが、それを見込み客に出来ていないわけです。

なぜでしょうか?

まず考えられるのは、数を多くまわること自体が目標になってしまい、営業マンは数さえまわればいい、という感覚で訪問している場合です。

その場合、だんだん疲れてマンネリ化してしまい言葉に力が無くなって、折角の見込み相手の心に響いていないことが考えられます。

あるいは断りをまともに受けてしまっているか、断りに対してむきになって言い返しているかです。
断りに対して、まともに相手と議論しているわけです。

こんなにいい商品なのに、なぜ断るのか?などと思い食い下がる。

嫌がっている人に嫌がっていることをしているわけです。
もはや、押し売りに近い状態です。

だいたい、突然来た見ず知らずの営業マンの言うことを信用しろという方に無理があります。
「営業マン=売りつけられる」、というイメージがありますから。

工事会社なら、ほんとに信用されるのは工事が終わった後です。
なので、営業は必要性を伝えに行くだけ。ただそれだけの仕事です。

信用される営業とは?

わたしは外壁塗装の飛込み営業で、あるビルのオーナーさんにはっきりとこう言われたことがあります。

「あんたなら、突然飛び込んで来た人間の言うことを信用するかい?」

こう言われて例えばここで、「うちの会社は創業〇〇年でわたしのお客様はこれだけいて云々…。」ってむきになって言い返しても逆に胡散臭いかもしれません。

なぜなら、やはり突然飛び込んで来た人間だからです。
しかし、「信用出来そうな人だな…」と感じてもらえたらどうでしょうか?

結局のところ新規訪問では、信用できそうな人間かどうかを品定めされるわけです。

では、どうすれば人は信用してみようと思ってくれるのでしょうか?

ここで、私は苦笑いしながらこう言いました。
「私なら信用しないですね。」

すると、相手は、

「だろ~。」としたり顔をされます。

大事なことは、これで相手が一旦は満足しているということです。

でも、それじゃあ自分が怪しいやつだと認めてしまうことになるんじゃないのか?と思う人がいると思いますが、問題はそこじゃありません。

この場合、お互いに議論は一切していません。
押し問答もしていない。

ここで、相手の言い分が一旦リセットされているわけです。
そして、ここからが本番、こちらの順番です。

営業は商品の必要性を伝えるのが仕事

営業は、商品の良さを売りに行くのではなく、商品の必要性を伝えに行くのが仕事です。

まずわたしは、建物の気になる箇所を伝えました。
建物の現状を言葉だけではなく顔つき目つきでも伝えます。

本気で心配している時の人間の顔つきは相手に伝わりますから。
相手は、ちょっと考え出します。

ここで相手は、「(この人、どうやら本気で言ってるな…。)」と感じ始めます
相手の顔つきをさりげなく見ます。

その瞬間、わたしは間髪入れず相手を外に連れ出します。
目の前で見れば納得がいくはずですから。まず連れて行くことが先決。

外は小雨でしたが、それも気にせず自分の建物の状態を確認するご主人。
やはり気になってるんだなぁ、と感じました。

その後は、ご主人に建物の中や屋上にも上げて頂き、結局は屋上防水と外壁塗装をまとめてご成約頂きました。

議論しない

また、それとは別にこんなこともありました。

あるマンションの前に立つ私。
工事をさせて頂いている現場近くのマンションです。

屋上を見上げ、「気になるなぁ、このマンションの屋上…。」と思う私。

目に入る情報からすると、どうやら個人所有のマンションのようです。
おそらくオーナーは最上階にお住まいだと判断。

目指すオーナー宅のインターフォンを押しました。

私は、インターフォンでは多くを語りません。
全てを語れば断られる可能性が大きいからです。

すると、私の言葉で奥さんが出てこられて、こちらの話を聞いたとたんこう言われました。
「うちは、工事はやりませんから!」

そこでわたしが言ったことは、次のようなことになります。

・近くで工事をしている工事会社の者です
・建物の状態、特に屋上防水の状態がすごく気になるのでお邪魔させて頂きました
・近くで工事をさせて頂いているのもご縁なんで、もしアドバイス出来ることがあれば、それだけお伝えして現場に戻ります

すると奥さんの顔つきが柔らかくなり中に入れて頂けました。
中に入ると、再び

奥さん「ほんとにやらないわよ!」
私「はい!けっこうですよ。」きっぱりと言い切りましたw

ここでも議論しません。
こちらの都合で話をしない。

中に入るとご主人さんが居られました。
どうやら私と奥さんの話を聞いておられたように思います。

「屋上でしょ?」、とニヤリとするご主人さん。そのままご一緒に屋上へ。
屋上に上がって防水の状態を見ると、やっぱりな…と感じました。

「そんなに悪いの?」とご主人さん。

そこから、ご主人さんと屋上で色々とお話させて頂きました。
必要性に関して丁寧に誠実に説明しました。

その後階下に降りると、「安くないとしないわよ。」と奥さんの本音が出ましたw
これも恐らく後ろでこっそりとご主人さんと私の会話を聞いておられたのだと思いますが。

結果、屋上防水の成約がとれ、なんとお隣のマンションのオーナーさんもご紹介頂き、そちらも成約となりました。感謝!

この場合も相手の断りを一旦は受け入れています。
「そこだけお伝えして現場に戻ります。」という言葉は、「私は、売りつけませんよ。」という意味を内包しています。だから中に入れてくれたのだと思います。

必要性さえ本気で伝われば、帰りたくても帰してくれませんw
このように断りというものは、儀式のようなところがあり、そこから始まる場合が少なくありません。

どうすれば相手は安心するか?

潜在意識では工事をしたくても、売りつけられるのはやはり嫌なものなのです。
大事なことはどうすれば相手が安心するかということを絶えず考えることです。

あなたなら、いきなり飛び込んで来た人からものを買いますか?
わたしなら、買いませんw

しかし、昨日までお互い見ず知らずだったのに何百万円(マンションなら1,000万円を越えます)も掛かる工事を成約して頂けるのが、この営業の醍醐味です。

気に入ってくれたら、初めて訪問したその日に成約して頂ける場合もあります。

別に上手い事ばかり言って成約を取ってきているわけではありません。
相手が会社で相見積もりになった場合でも、「あんたのところの方が少し高いけど、あんたに任すよ。」と言ってもらえます。

会社の経営者さんはいろんな意味でシビアだし、ものの相場もよくご存じです。
上手いこと言ってだませるような甘い人間では経営者は務まりません。

「いつもは断ってたんだけどなぁ…。」と相手は苦笑いされます。
でも、どこか吹っ切れたような笑顔も見せられます。

いつかやろうと思っていたのだけれど、今やろうというきっかけを営業が作った。
相手の肩を押したということです。

では、なぜいつもは断っていたのに、今回はやる気になってくれたのか…?

売れる理由

一般的にものが売れる理由は2つあります。

1. まず、最も重要な「必要性」
2. それに対してこちらは何ができるのか

しかし、この2つは営業マンならみんな分かっていることです。
売れる営業マンはこの2つに何かプラスαを加えているのです。

まず、「必要性」に関しては、わたしはど真ん中へ直球を投げます。
「失礼ですが…」と前置きだけはして、

あとは、回りくどいことや遠回しにものを言いません。
ただし、専門家面して上からものを言うのではなく、一緒になって自分事のように心配します。

実際にその状態によっては、鳥肌が立っていることもあります。
対面ではなく、一緒に肩を並べて悩み心配して力になろうと本気で思います。

重要なのは、その本気の気持ちが相手に伝わるか伝わらないかです。
伝わらないのなら、わたしの気持ちが弱かったということです。

その場で、わたしという人間を品定めされているのだと感じます。
相手が経営者なら、人を見る目が肥えているはずですから。

ならば、こちらは何が出来るのか?
わたしは自社の商品の説明する際は、本当にいいものだということを相手に伝える手段を駆使します。

製品の仕様はカタログを見れば分かりますが、それがその建物にとってどう必要なのかを素人の方にも分かるように丁寧に説明していきます。

「あんた自信持ってるんだねぇ。」と言われることもあります。
そんな時には、「自信がないものをお勧めできませんから。」と返します。

こんな感じで営業しているので、弱腰なお願い営業はしません。
というか、必然的にそんな営業にはなりません。

それをやるとお互いに良い人間関係が築けませんし、商談の際に露骨な値引きの話を繰り返す寂しい営業になったりします。

「営業は自分を売る仕事」と言われますが、それは間違ってはいません。
口下手でもかまいません。それでも売れます。
要は、「信用できそうな人だな…」、と感じてもらえればいいわけです。

その中で、挨拶、感謝をはきはきと伝えることを忘れないこと。
そして、相手の気持ちや立場になって考えてみる。

自分が相手の立場だったら、どうされたら不安が無くなるだろうか?
こう言ってあげたら安心するんじゃないか?

これを、絶えず考えて営業することです。

そして、私は最後にこう言います。

「社長、この工事わたしに任せてください。」
相手が経営者さんなら自信のない営業マンの話など信用しません。
頼りになりそうだと思われたら相手の反応も変わります。

そして一旦ご成約頂いたら、当たり前ですが最後まで自分が責任をもつ覚悟が必要です。
それが、その後の営業マンの信用にもつながります。

成約は終わりではなく始まりです。
お客様とはいつでもWIN-WINの関係でなければなりません。

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