「何々のように」という言い方

 こういう文章に時々出遭って、さて、どちらだろうと思ったことはないだろうか。
 例えば「Aさんが言うように、軍備を増強しても国は守れない」という文章があったとする。
 文脈を注意深く読んでいるならおそらく分かるのだろうが、この文章だけを取り出すと、Aさんは果たして軍備を増強すべしと言ったのか、それとも「軍備を増強しても国は守れない」とまで言ったのか、どちらだろうと疑問に思えるのである。
 言うまでもなくこれは「言うように」が、「軍備を増強し」までかかるのか、「国は守れない」までかかるのか曖昧だからである。
 英語の"as"を使うような場合はどうなのだろう。asのあるセンテンスの訳に困った経験はないだろうか。
 先の文のような場合、読点があるから、言うようには、「国は守れない」までかかるのだという主張もあるかもしれないが、やはり文脈を確認するまでは曖昧のままであると私は思う。
 「誰それが言うよう」には特に気をつけたい。日常会話の中でも時々わからないことがあった。
 英語の"as"の用例の曖昧さの度合いについては、英語に詳しい人に訊いてみたいと思ったことがあるが、まだそこまで至っていない。日本語と同じようにやはり曖昧になってしまうことがあるのだろうか。

 「何々のように」の次の例はどうだろう。
 「私はあなたのようにお金持ちではない」。
 果たしてあなたはお金持ちなのか、そうではないのか、どちらだろう。
 「私はあなたのようにはお金持ちではない」のか、「私はあなたと同様お金持ちではない」のか、日常会話でも紛らわしいことがある。

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