太極拳と年齢

当クラブには80歳以上のご高齢の方も何名か在籍していますが、太極拳を始めようと考える時に年齢を気にされる方もいらっしゃいます。年齢を重ねれば体を動かすことに不安を感じ、俊敏な動きなど到底できないと考えてしまうのは自然なことかもしれません。
また、一方では太極拳はゆっくりした動きしかないものと思い込まれ、物足りなさを言う方がいるのも事実です。

しかし、これらの認識を覆すのが今回の動画です。
呉式太極拳の馬岳梁さんという、故人ですが大変高名な達人であった方の85歳の時の表演です。
快拳という素早い動作を旨とする套路ですが、時々にとても機敏な動きを見て取ることができます。

例えば、45秒辺りの搂膝拗步は、異常とも言える速度の推掌(=手のひらを前方に押し出す動き)です。昔の記録なので一瞬ビデオテープが飛んでしまっただけとも思いましたが、噴水の後ろを歩いている人は普通の速さで途切れなく動いていますから、これは単純に馬岳梁さんの推掌が早過ぎるだけでした。
試しに0.5倍速にしても速い推掌で、0.25倍速でやっと少し目で追える感じです。つまり、その4倍の速度で実際の掌打がくるわけですから、私は想像するだけで絶句です。恐るべし。
そして忘れてならないのは、85歳でそのレベルの速さです。

馬岳梁さんは特別な達人ですから同じレベルが可能とは言いませんが、年齢を理由に限界を設けては勿体ないように感じます。
当然ながら無理してはいけませんが、向上心を持つことは大事ですし、太極拳が広げる自分の可能性というものを感じていただけたなら幸いです。


なお、余談ですが、快拳は一般的なゆっくりした動き(慢架)の延長にあるもので呉式に限ったものではないですし、全部の動きが速いこともありますが緩急をつけるものが多い印象です。
小さいお子さんも含め、お若い方もこの速さを目指して太極拳の修練に励んでみてはいかがでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?