レディーファースト 第29話
奈 : やっぱりいた…
ブランコの椅子に座り下を向いてる
足が長くモデルを彷彿させる女子高生
少しの間、疎遠になってたとはいえ
大好きな友達の姿はわかる
沙 : 茉央…
奈央と沙耶香、深川先生は中学生の頃に
過ごした例の公園にきていた(第24話)
こちらの気配に気づくとイスから立ち上がり
ゆっくりとこちらにやってくる
茉 : さっちゃん…
沙 : 久しぶりだねニコッ
茉 : 3人揃って何の用?
3人での再会を喜びたいが
茉央の眉間には皺がよっていた
沙 : ここ懐かしいよね〜
沙 : 私の思い出がいっぱい詰まった大切な場所
沙 : 3人の思い出は、ほとんどこの公園から
作られたよね…
沙 : だから、何かあったらここにいるんじゃないかと
思って来てみたら…やっぱりいた
茉 : だいたい言いたいことはわかってる
けど..今更止めようと思っても無駄だよ?
茉 : もうじき○○は私のものにn…
深 : 無理だよ
茉 : 先生…知らないんですか?
茉 : さっき○○君の所に行って、遠藤家の過去を
全て伝えたので…
奈 : 茉央!!
深 : その件だけど…先程 白石校長から電話が
かかってきて…
「もう〇〇君は遥香ちゃん達と和解したって」
茉 : うそだ!!
魂の抜けた声がら急に声を荒げだす
沙 : 嘘じゃない!!
沙 : 〇〇君達は、今から遥香ちゃん達の家に行く
茉 : そんな…
あんなに言ったのに…なんで…
なんで仲直りできるのよ…
彼女達は裏切ったのに…
深 : 嘘だと思うならあなたが〇〇君に取り付けた
GPSで確認してみたら?
沙,奈 : !?
奈 : (おかしいと思ったんだ…)
〇〇君と会う事が多かったから
もしかしてだと思ったけど…
奈 : そこまでして〇〇君の事を…
茉央は携帯を取り出してじっと画面を見つめていた
表情が険しい…深川先生が言ってた事が嘘じゃないと
わかったらしい
茉央は呆然としていた
沙 : 茉央…中学の頃はあんなに明るかったのに…
沙 : 今は…別の茉央を見てるみたい…
奈 : 私とさっちゃんがいなくなってから
何かあったんでしょ?
茉 : っ…
歯を食いしばり両手を強く握っていた
奈 : 茉央…溜め込んでても良い事ないよ…
奈 : あの時、自分で約束したよね?
「隠し事はしない」
茉央は諦めたのか少しずつ自分の過去を話し出した
茉 : 2人が小学校を卒業した後
私は地元の私立学校に進学したの…
茉 : ここまでは知ってるでしょ…
奈 : うん
茉 : 私は中学校でも、小学校の時のように
明るく誰とでも話すようにしてた…
中学の時も友達も多くて
何不自由なく学校生活を送っていた
小学生の時のように何も考えず振る舞っていたの
けど…思春期の学生相手にもなると…
そんな事は通用しない…大きな間違いだった
そんな事も知らない私は、
皆んなに放課後や日常の出来事をよく話していた
行きたい場所に連れてってもらったこと
欲しい物を買ってもらったこと
そんな話を続けていたら、気づいたら周りには
誰もいなくなっていた
そして、私の周りに増えたのは
私をいじめてくる人たちだけ
私は他の学生達と違い
秀でたお金持ちだという事が徐々にわかった
嫉妬だったのかもしれない
それとも私が何も考えず、好きなだけ話してしまう
無知な性格の影響だったかもしれない
いじめが続きストレスもどんどん溜まっていく
そんな辛い生活を私は毎日送っていた
けど、相談できる友達は誰もいなくて
両親は仕事で忙しくて..誰にも話せなかった
いつも明るく、笑顔で話していた私が
徐々に暗くなり、寡黙になっていった
そんな時に私の異変に気づいてくれたのは
△△さんだった
すごく嬉しかった…
私の唯一の心の拠り所
それが△△さんで毎日、私の愚痴を聞いてくれて
時には△△さんに当たったりもしてしまった…
それでも..何一つ嫌な顔せず笑顔で話してくれた
気づいたら私の愚痴を毎日話し
△△さんは自慢の孫の話をするようになった
もう学校に行きたくない…
いじめられたくない…
段々と不登校になっていき…
外の世界と遮断するようになっていた
両親には「自分のやりたい事をやりなさい」
と言われ、自分の生き方については
反対はされなかった
私は学校を辞めようと思い
その日だけ、頑張って学校に行くことにしたの
今でも覚えてる…
その時…私の運命が大きく変わった事を…
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先生 : はーい今日は新しく転校してきた
生徒を紹介します。
入ってきて…
「一ノ瀬さん」
To be continued
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