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『いつかの(池袋の)メリークリスマス。ふたりはまだ、手をつないでる?』 トーキョー’90クロニクル vol.14

行きつけだった池袋のデートクラブの受付は、20代半ばくらいの、ストリート系のお兄さんだった。ぶかっとしたトレーナーに腰で履いたオーバーサイズのデニムからは、トランクスのウエストゴムが覗いていた。ロゴはTommy Hilfigerだったか、それともFILAだったか覚えていない。ツバをあげて被ったキャップに短髪。よく笑う人で優しかった。気のいいお兄さんという感じで、「聞いてよ、さっきの客、ヤバ―!」みたいな愚痴も黙って聞いてくれた。わたしのような出入りしている女子高生たちは、わりと野生動物みたいに警戒心が強かったというか、ミサンドリーといえばいいのか、とにかく男の人に対しては身構えていて、そのわりには好奇心もあるというアンビバレントさに揺れ動いていたけれど、彼に対してはみな、比較的心を許していた。

12月25日の朝だった。前日のイブの夜、親には友達の家でお泊りでパーティーをすると嘘をつき、女友達がどこからか連れてきた男の子たちと、居酒屋からカラオケボックスにハシゴしてオールバイトで遊んでいたわたしと女友達は、早朝、時間を潰すためにいつものデートクラブへと向かった。朝の6時に客なんてこないことはわかっていたけれど、家に帰るのはまだ早く、タバコの匂いたっぷりとが染みついた服を、別の服に着替えたかった

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