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『飯島愛がアイアイ言っている一方で、細川ふみえは、にゃんにゃん言っていた』トーキョー’90クロニクル vol.3 

「ね、ポケベル欲しくない?」
すぐに怪しげな誘いとすぐにわかったものの、ポケベルは欲しい、喉から手が出るくらいに欲しい。頷くわたしを、キャッチの男はすぐそばの雑居ビルへと案内してくれました。

風俗店や街金の案内表示のあるエレベーターに乗って、連れていかれた先は『ツーショットダイヤル』の事業を行っている事務所。そこでわたしは『ポケベルと交換にツーショットダイヤルのサクラ』をしないかという打診を受けたのです。

念のために説明しておくと、ツーショットダイヤルとは、電話を通じて見知らぬ男女が出会い、会話をすることのできるサービスで、テレクラと違うのは、無店舗で営業していて、男女ともに好きな場所から電話をすることができること。もちろん実際に会うことを期待している多くユーザーもいますが、互いに近所にいるとは限らないために、即アポには向かず、どちらかといえばじっくり口説きたい、もしくはテレフォンセックスでささっと性欲を満たしたい、という男性ユーザーが多く利用していました。一方、女性ユーザーは退屈で誰かと話がしたい、刺激が欲しい、そしてやはりテレフォンセックスがしたい……といったところでしょうか。ちなみに女性はフリーダイヤルですが、男性はダイヤルQ2と呼ばれるNTTの情報料金課金回収代行サービスを使って通話時間に応じて課金されるシステムです。

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