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BTS/TXTが描くLove Yourself

今年の考察今年のうちに!!!!ということで(?)わたしが2021年を図らずもささげてしまったBTS、TXT二組の考察からおもったことを書き残しておきたいと思います。

ザクっと目次!

1.Love yourselfと個性の確立


ビッヒ(と言い切りたいけど私はえないぷん未履修、、、)の言いたいことって結局すべてLove yourselfに集約されるんでは、と思っているのがこのnoteの発端なのですが、
私の言いたいことは全てBTS(RM)の国連スピーチに集約されているので、まずは見てください(オイ)


もうほんとこのスピーチに綺麗にまとまっているな、、と思っているのですが、
「私たちは名もないその他大勢でなくていい」「欠点も間違いも含めてそれぞれの個性」「個性・名前をを持った個人としてのあなたの話を聞かせてほしい(話をする権利がある)」というのがメッセージかと思います。

このスピーチに限らず、そもそものBTSのコンセプト(若者を社会の抑圧から守る)にも通ずるけれど、たぶん背景には韓国の文化や社会の状況があって。儒教を背景とした「らしく振舞うこと」が求められる風潮とか、熾烈な受験や就職競争に向けて「社会が規定した良い子」であることが強制されるみたいな中で、自分の名前すら忘れてしまう、隣のあの子と私の差って何?みたいな状況に青少年が置かれることが多いのだろうと想像します。(日本も似たり寄ったりかもしれないけれど、韓国のほうがより熾烈そう)

そんな状況の中、個性をどう確立させていくのか、ということがBTS(花様年華)でもTXTの楽曲・世界観の中でも描かれていると感じているのですが、アプローチが真逆だな!?とも思っているので、そのあたりを書いてみようと思います。うまく書けるかな;;;;

2.BTS(花様年華)におけるLove yourself(共通点を通しての個性化)


まずは、BTS(花様年華)でどうLove yourselfが達成されるのか、というはなし。
花様年華については本当に散々書き散らかしているのですが笑、私の解釈を要約するとこんな感じ。

①周りの期待する良い子であろうとする自分(親や周囲からの呪縛、Persona)と、自らの意思や倫理観(Ego)の矛盾による葛藤
⇒それぞれが抱える「誰もわかってくれない傷(Shadow)」を直視せず、時には自らや周囲を傷つけてしまう。(=自らの矛盾やShadowを罰してしまう)
②「同じ傷を持つ」ペアと出会い、初めて他人と分かり合う。相手の傷への投影を通して自らのShadowを直視する。
⇒相手の傷を救済したり、同族として嫌悪したり。
③自らの傷や葛藤も含め、自分自身であることを認め、許し、愛するようになる=Love yourself

BTSは、とにかく「他者との共通点」を軸に話が動いている印象(はっきり言及もしているしね)で、個性っていう観点はどうなんやろ、、と思っていたのですが、最近ユング心理学における「個性化」という概念を知りまして。
ユング心理学には、The Map Of The Soulシリーズにも使われているPerona、Ego、Shadowという概念があります。ざっくり言うとPersonaが外に向ける自分、Egoが自我、Shadowが自分には見えない影の部分。
で、Personaっていうのは、当初は無個性なものである、というのがユング心理学の立場。というのも、ユング心理学では生まれながらに持っている無意識という概念があるのですが、それは生きていく環境に問わず人類全てが同じものをもっているとされています。さらに、Personaは外に向ける自分=あるべき姿でもあるので、それこそ「社会が求める良い子」の姿ともいえるわけで、誰もが似たり寄ったりなものになりやすいわけですね。
そんな中、他人との差(=個性)は、「Shadowへの対応」によって確立されるものだ、というのがユング心理学における「個性化」です。で、Shadowは本来自覚できない領域なので、他人への投影を通して向き合うことによって対応の仕方を覚えていくわけです。
花様年華に置き換えると、それぞれが「同じ傷を持つペア」と触れ合っていく中で、自らの傷=Shadowを自覚し、どう折り合いをつけていくかを学んで、ようやく個性が確立されるってわけです。ソクジンが父への投影で自らの過ちを認め、「無個性な良い子」から脱却するのが代表例かな

まとめると、共通点への投影を通して、他人との違いが確立され、「名前を持った個人」としての自分を認める=Love YourslfがBTS(花様年華)。

3.TXTにおけるLove yourself(違いによる補完)


一方のTXT、グループ名の由来が「異なる君と僕が同じ夢のもとで集まって明日をつくる」ということもあり、とにかく「違い」を軸にしている印象。
(因みにですが、いわゆる+UやMVの内容は難しすぎて完全にお手上げなので、タイトル曲の歌詞に絞った考察ですw)

TXTの物語は、「僕」の頭に突然ツノが生えたことから始まります。デビュー曲CROWNの歌詞等に描かれているように、本人はツノが生えたことにより自分が悪魔になってしまった、一人ぼっちになってしまったと悩みます。

その後、翼をもった君(たぶん天使)に出会ったことで、心が救済される流れ。The Chaos Chapter(0x1やL=L)もざっくり同じ流れが描かれているように感じてます。(ノリでまとめたチャプター同士の比較を貼っておきます)

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自らとは異なる君と出会うことで、なぜ救済されるのか、というのを考えていたんだけど、TXTの歌詞の中でよく出てくるのが「自分の半分を探す」だとか、「穴を埋める」みたいな補完し合う概念。自分が救ってもらうだけじゃなく、自分も「君」の半分を埋めたりしている。何が言いたいかというと笑、自分とは異なる個性をもつ人に出会うことで、自分の個性も相手の個性も特別なものと認めるようになる流れなのかしら、、、と思うわけです。一見善である天使(=翼をもつ君)の半分が、一見悪である悪魔(ツノを持つ僕)の半分なので、、。
BTSに倣ってユング心理学的に言い換えると、Personaだけの人も、Shadowだけの人もあり得なくて、人は善悪両面を持つし、その善悪の基準をどこに置くか(Personaが何であるか)によって、ツノが善で翼が悪になることもある。そんなことをお互い補完し合うことによって理解していき、自分の個性を受け入れる=Love youselfなんじゃないのかな~とおもっています。

TXTも芽生えかけた個性を、社会が求める同質化に抗って、自分で受け入れる戦いを描いているんだと思うんだけど、やっぱり自分と向き合うことって簡単じゃなくて、それが「ツノが生える頭痛」や「翼が生える痛み」なのかねって。そしてその痛みを共有していく君と僕、、。さらに言うと、TXTの曲によく出てくる「僕の名前を呼ぶ」というフレーズも、誰しもその他大勢でも、悪い子でも、いい子でもなく一人しかいない自分自身なんだって主張なのではないかと思います

一方で、「他人に補完される個性」って本当に個性か?という疑問もあり、やっぱり今後本当の意味での「自分自身」を確立していく流れを描いてほしいんだよな~。その証拠として「補完し合った二人」はこの世界の外に逃げることで相手を永遠に閉じ込めるしかないわけじゃないですか、、。

4.BTSとTXTの共通点


BTSとTXTの共通点として感じているのは(個性を受け入れるLove yourselfということとは別に)主にふたつ。

①「他者」の必要性


当たり前っちゃ当たり前なんだけど、個性・自我を確立するためには他人が必要だよねということ。
BTSでいえば、「共通点・同じ傷を持つ他人」で、TXTで言えば「異なる個性をもつ他人」でアプローチは逆だけど、自分一人じゃないからこそ、自分の特別な部分が見えてくる、他人との比較・投影があってやっと自我を自覚するというのは共通する概念だな~とおもいました。
同じが先か、違うが先か、というのはまあにわとりたまごだよね笑

②相手を「運命」にしてしまう恐ろしさ


思春期の青さなのかな、、とも思いつつ。
BTS(花様年華)のペアも、TXT(両チャプター)の僕と君の関係も、本人たちは運命だ!君しかいない!と感じているようだけど本当にそうか?というはなし。

特に花様年華の「同じ傷」って本当にそうなのかな?というのは極めて疑問。雛鳥が最初に見たものを親と思うように、つらいときにそこにいた人に対して、「あなただけがわかってくれる、、!」と思っているように見えたりします。
最近、TXTの0x1=LOVESONGの元ネタと言われている「the end of f**king world」というドラマを見たのですが、これはまさにそういう二人組の話だったのですが、すごく印象的なセリフがあって。「相手に答えを求めてはだめ。一歩間違うと永遠に囚われてまう」。
他者への投影は成長に必要不可欠だけど、思い入れが強すぎると人生を棒に振るかもしれない、、し、、、思春期に出会う人を間違えると人生がおかしな方向に行くのだな、、、と思ったりします。
花様年華だって救済しあっているようでそれぞれ出会わなかったほうがいいのでは、、と思うこといっぱいあるし、TXTは「君と二人でどこかに逃げようとしている」(そしてそれはきっとこの世界の外側)ので、依存や思い込みは恐ろしいな、、というのも伝えてきている気がします。(BTSはSave MeからI'm Fineへの転換できっちり自立の必要性を伝えてきていますね)

まとめ:BTSもTXTもすべての道は個性の受け入れ、Love yourselfに通ずって話でした!笑


5.おまけ(最近見たもの読んだもの)


<BTS関連>
・BANANA FISH
一部でヤンコチの元ネタか?と言われているらしいやつ。
ドンピシャのオマージュとかはないけど全体の流れが確かに花様年華っぽいし、出会わない方がよかった(お互いを救うけど同時にお互いを閉じ込めてしまう)共依存の二人の話だなあ、、、と思って結構しんどかったです。花様年華を拗らせた人は気を付けて読んでほしい。
因みに(?)番外編の光の庭を読んだ後にSpring Day聞くとアッシュと英二の歌にしか聞こえなくてヤバい

・スノーピアサー
Spring DayのMVの元ネタと言われているやつ。そこまでオマージュ拾えなかったんだけど(雪道と列車くらい?笑)、他にでてくるオメラスの概念だったり、セウォル号の話と合わせるとなるほど階級社会の理不尽さ、、とは思う。
面白かったけど結構グロくて夢に出そう。

<TXT関連>
・君の名は
0x1日本語バージョンがあまりにも君の名はなので見直した。「たまたま出会った」「僕の半分の君」と「明日を変える」話ねえ、ふ~~んと思いました、、。
「名前を呼んで」というフレーズたちもだし、TXTの一番のベースはきっと君の名はだな。そう思って歌詞を拾うと君の名は的なフレーズが多いこと、、。だから何というところまではたどり着けていない。

・秒速5センチメートル
なんとなく見てみた。相手に閉じ込められちゃった男の子~とおもって、相手に答えを求める恐ろしさを感じる。たまたまつらい時に居合わせただけで本当に運命か?問題はこれからも感じました。

・天気の子
We lost the summerの韓国題が「天気を失ってしまった」だと知ったので。パンPDは家出少年少女が好きすぎるのではないでしょうか、、。笑
We lost the summerにおけるコロナが雨なのかなあ、とか思ってみていたけど、天気と引き換えにでも僕は君を救うんだな、、と思うと、こんな世界でも僕は君の方が大事だよ、という希望の示し方なのかしら、、、とか思ってみていた。こちらも本当に運命か?問題を感じたネ。
あと0x1日本語バージョンMVの冒頭は天気の子だね!笑

・the end of f**king world
0x1とL=Lの元ネタ(公式)なので、、。オマージュされている部分はシーズン1で拾いきれるけど、シーズン2まで見るのをおすすめ。
これも「出会わない方がよかった、人生を変えてしまった運命の二人(家出少年少女)」のおはなし。「君さえいれば!」と思える青さがうらやましい一方、おねいさんは君たちが心配だよと思った、、。笑
TXTくんの世界では今後どうなっていくんでしょうか、、。

・世界の終わりとハードボイルドワンダーランド
勝手に並行世界の感じがTXTっぽいなと思っている村上春樹の小説。
「世界の終わり」は完成されていて苦しみのない平和な世界なんだけど、それは住人に自我がないから。だから傷つくこともないけどどこにも行けない、というはなしです。
TXTくんたちが逃げていった世界もこういう感じなんじゃない?と思っていて、どこにも行けないと気が付いて帰ってくんのかな、、とか勝手に想像しています。

おっしまい!良いお年を!


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