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「外、風強い?」に対する内向型人間の頭の中

ある春の日、出社すると開口一番にこう聞かれました。「外、風強い?」
内向型人間であるわたしりほまるは、それに対して口ごもり、「あ~、強かったような……でも、そうでもないような……。」と曖昧な返事。

天気に関する話題に限らず、「最近忙しいの?」とか、「調子どうよ?」のようなざっくりとした質問にも、わたしはすぐに反応ができません。

こんな風に、相手にとってはただのアイスブレイクにすぎない雑談にすぐに反応できないのも、内向型の特徴だと言われています。

雑談が苦手なのはどうして?

「外、風強い?」に返答するまでに、実はわたしの頭のなかではいろいろな思考が駆け巡っています。

たしかに風は強かったな。でも、木が倒れたりするほどではなさそうだったし、強風の日は片づけるようにしている会社の看板も、今日はそのままで良さそうだ。
あっもしかして、風でわたしの髪の毛が乱れているのが変だったから、「風強かった?」って聞いて暗に教えてくれてるんだろうか。
それとも、オフィスにホコリが入るから、風が強かったなら廊下の窓を閉めて来てってことなのかな?

その質問の裏側にある相手の意図を、それも何パターンも考えようとしてしまって、アウトプットまでに時間がかかってしまうのです。

さまざま考えた末に「強かったですね……」と事実だけ答えると、「そうなんだ~」で話が終わってしまうこともあります。また、「電車、遅延しないといいね。みんな遅刻しちゃうし」なんて、相手の思考が目の前にいる自分を飛び越えていっていることもしばしば。頭の中で考えた複数パターンの台本は、役割を終えることなく頭の中に消えていくのです。

内向型人間の中にはわたしと同じように、「雑談を振られるのがめちゃくちゃ苦手!」っていう人も多いんじゃないかなと思っています。わたしも「雑談に即レスできない」特性と上手に付き合っていくために、こんなことにチャレンジしています。

YES/NOで答えて、相手にそのまま投げ返す

これがレベル1です。意識さえしてしまえばめちゃくちゃ簡単な方法だと思っています。たとえば……

先輩「外、風強い?」
わたし「はい、強かったです。○○さんが出社したときはどうでした?」
先輩「わたしが来たときもかなり強かったよ!駅前の自転車がいっぱい倒れてた!」

ほかにも……

友だち「りほまる最近調子どう?」
わたし「いい感じだよ。○○くんはどうなの?」
友だち「ボクはね、最近すごく仕事頑張ってて、今度昇進するんだ!」

YES/NOで答えてそのまま投げ返すと、いったんボールは相手の側に。相手が話すのを聞き続けるのもよし、相手が話しているうちに自分が話すことを考えておくのもよしです。

そもそも雑談って、相手が話題の提供をしてくれているだけで、その裏側にメッセージを込めていることってあまりないんですよね。だから、アイスブレイク的な雑談に深く思考をめぐらせることってあまり意味がないのではないかと最近は思うようになりました。

定量的に表現してみる

これがレベル2です。そもそもなぜ雑談に対しての返答が難しいかというと、「人によるやん……」って内容が多いからのような気がしています。

たとえば先ほどの風の強さの話。「強い」と思うのか、「そうでもない」と思うのかは人それぞれですし、本来はそれぞれの感覚を持っていてよいはずなんですよね。

内向型のわたしの場合「わたしは『強い』と言ったけれど相手は『そうでもない』と思っていたらどうしよう」と思ってしまうのです(本当はどうしようもこうしようもないんだけれど。笑)。

そんなときに使えるのが、事実を定量的に表現してみること。

先輩「外、風強い?」
わたし「駅前に停めてある自転車、20台くらい風で倒れてましたよ!」
先輩「うわー、それは風強いね!」

そして…

友だち「最近仕事忙しいの?」
わたし「毎日2時間残業してるくらいかな~?」
友だち「そっか!じゃあいまはちょっと忙しいんだね」

こんな調子です。事実を数字でいうことで、それをどう感じるかは相手にゆだねる作戦。感じ方が違っていたらどうしよう……と不安に思うことがなくなるので、ちょっぴり楽になりますよ。

答えを待ってくれる人としか付き合わない

これはレベル3です。会社や不可抗力的に参加しなければいけないコミュニティではなかなか実現できなさそうですが、友だちの中だけであれば自分でコントロールできる事柄でもあります。

わたしは友だちと話をするときもなかなか言葉が出てこないタイプ。理由のひとつは「思い付きでモノを言いたくないから」。そしてもうひとつが、「自分の気持ちとなるべくぴったり一致する言葉を探したいから」です。

一緒にお酒を飲んだり、頻繁に電話したりする友人はそれを理解し、わたしの言葉を辛抱強くまってくれる優しい人ばかり。

「うーんとねえ………」からわたしが5秒無言になっても、冷たくなったフライドポテトをつつきながら待っていてくれます。「とりとめもなく喋るね!?」のわたしの前振りに「もちろん(笑)」と笑ってくれます。わたしの言葉にある意味で"期待していない"人たちだからこそ、わたしのペースで言葉を探すことができるのだと思っています。

雑談で評価されているわけじゃない

気にしすぎ、考えすぎな一面を持っている内向型。忘れないでおきたいのは、雑談は相手が自分を攻撃したくて投げかけているものではない、ということです。

こうして書いてみると当たり前のことのように思えますが、即レスが苦手な内向型はどうしても、「雑談にも上手に答えなくちゃ!」と身構えてしまいがちですよね。

けれど実際には、相手が雑談を通じてわたしたちを評価しようとしているわけではありません。むしろ話題を提供してくれているのは、わたしたちといい関係を築きたいと思っているからこそ。

完璧に答えようとするのではなく、下手でもいいからまずはボールを投げ返すことにチャレンジしていきたいなーと思っている今日この頃です。