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頚椎捻挫のあれこれ その②

前回の続きを行ってみます。ちと長くなりそうです。。。

頚椎捻挫の要因

頚椎捻挫を起こす要因はいくつか挙げられますが、
ここでは個体的要因環境的要因についてお話ししていきます。

・個体的要因

頚部の関節可動域の低下or増加
頚部筋力低下
先天性奇形(癒合椎、脊椎分離滑りなど)
アライメント異常(頚椎前弯減少or増加)

以上のことが要因として挙げられますが、、、、、
そりゃそうだろうなあと思いました。
ところが、1つ補足があり、「筋力低下」については頚部よりも
体幹固定や肩関節周囲筋の機能が重要みたいです。
やっぱり患部外の大切さを感じますね。。。

・環境的要因

こちらに関しては防具の適合やサーフェスの状態に加えて
暑熱であること(水分枯渇)もリスクになるとのことです。
理由は謎ですが、熱中症や卒倒リスクが関係しているんですかね。


どんなこと評価したらいい?

次はリハビリを進める時に必要なのは評価項目を挙げていきます。

・疼痛誘発テスト

痛くなるはずの事をして痛くなるかをみます。
なので原則として「練習への参加が可能な状態」「受傷機転と同じストレスが加わっても症状が出現しないことを目的とする」事が必要になります。
むやみにやっちゃ行けないです。痛いですもん。

Jackson compression test
 側屈+軸圧により側屈側の疼痛が出現すると陽性
Extension compression test(スパーリングテスト?)
 頚部30°伸展+頭頂部の圧迫により痛みの反応をみる
 疼痛の場所により頚椎の前方の問題なのか、後方の問題なのかを推測する

・ROM

コンタクト系の競技者は頚部〜肩の筋肉が発達しやすく、「斜角筋」の緊張が
上がりやすいそうです。「斜角筋」は第2〜7頚椎横突起に付着しているから
中〜下位頚椎の動きが制限されて、上〜中位頚椎の動きが中心になってしまいます。その結果、頚椎のROM制限が生じ、頚椎の前弯が減少するという良くない事が起こってしまいます。

・筋力

頚部の筋肉は頚部のアライメントや共同筋力で働きが変わります
例えば、胸鎖乳突筋は頚部屈曲位だと屈筋として、伸展位だと伸筋として作用します。頭長筋や前頭直筋(頚部屈筋群)が弱く、頚椎の固定が弱いと胸鎖乳突筋の屈筋としての作用が落ちるという現象が起こります。

リハビリの進め方

次は受傷〜競技復帰までのポイントを時期に分けて行きます。

・急性期

安静、アイシングが基本。RICEってやつですね。
移動時にはカラー(頚椎装具)で固定することもありますが、骨損傷が
なければ固定は外してもいいです。

・急性期以降

具体的に「○週間後」とは言えませんが、徐々に動きを取り戻して行きます。
まずは自動ROM練習から開始して行きます。今までは安静にしていたので
ROM練習時は初めの内は痛みや引っ掛かりが多いです。柔軟性の獲得と並行して
静的・動的筋力の改善を図って行きます。
ROM、MMTともに正常値になったらアスレティックリハビリテーションへ
移行して行きます。

※リハビリテーションは時期によってメディカルリハとアスレティックリハに分かれます。イメージで言うとメディカルリハはマイナスからプラスにしていくこと、アスリハはさらにプラスを大きくしていく感じです。

・アスリハ

損傷に至った方向への負荷は最終的に行うように行うが、外力に対して頚部の固定性を損なわない姿勢の習得が必要となる。特に、顎を引き胸部に引きつける(チンイン)事で、頚椎前弯の減少と胸鎖乳突筋の収縮upを狙う事ができます。

頚椎の不安定性が残存している場合は頚部の筋力強化に加えて頚部を固定する筋の同時収縮や拮抗筋間の素早い切り替えの筋交代反応の獲得を目指します。
筋力強化は負荷が低いものから行いますので

等尺性収縮→同時収縮トレーニング→動的筋力強化→腹筋との協調性up

という流れで筋力強化を図ります。
筋交代反応はバレーボール程度の硬さから徐々に反発力があるものへ変えていき、最終的にはパートナーから多様な方向へストレスをかけてもらってもそれに対抗できるように練習を重ねて行きます。

あたり動作時には頚部の固定性がさらに必要となり、レスリング競技では
ブリッジ動作で頚部トレーニングすることもあります。

・競技復帰基準

明確な基準がなく、症状の強さによって分類する。
受傷後、運動制限がなければ、アイシングを行い、3日間はコンタクトを中止するが、それ以外の競技には復帰させる。
運動制限がある場合は受傷翌日まで安静とし、病院への受診を促す
完全に競技復帰する際には神経症状がないこと、疼痛誘発テストが陰性なこと、
頚部筋力が正常であることに加え、外傷を避けるための知識と技術があることが必要になります。特に、競技者には少年期からでも頚部の外傷の危険性について教育をしていく必要があるとされています。


頚部捻挫はやっぱり怖い外傷の1つだと思いますが、リスクがある競技は限られるとは思うので、「予防」の観点からしっかりと教育的指導を行って行きたいですね。

話は変わりますが、以前に四国の父母ヶ浜に行ったんですが、「日本のウユニ塩湖」と呼ばれるくらいとても綺麗な反射を利用した写真が撮れたんですね。
それをこの記事の写真を見て思い出しました。と言う話です。笑

それでは、次回!

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