ロシアの情報戦 その69:JBpress/矢野義昭 再び

【概要】

「ウクライナ軍はまもなく大敗北喫し戦争終結、これだけの証拠」というタイトルの記事が2023年03月01日にJBpressに掲載されました。

矢野義昭はダグラス・マクレガーやスコット・リッターを情報源としており、事実上のロシア・プロパガンダ記事になっています。

JBPressも読者も「言論の自由の範囲」を一度考える必要があると思います。

矢野義昭がなぜこういう言動をするかは謎です。Twitterでディープ・ステート陰謀論にも言及しており、Qアノンに関連したデマを信じ込んでいるようにみえます。親露のスタンスを取る人間に影響を受けている可能性もあると思います。

このデマだらけの記事は、
 1:デマを信じて書いた
 2:デマと知っていて書いた
 3:その両方
どれでしょう?

因みにですが、矢野義昭が参政党の松田学と対談している動画がYouTubeに上がっています。参政党もロシアとの関係が懸念されます。矢野義昭の言動は外交と情報戦の境界線上での活動と言えるかもしれません。

こちらは2本目のnoteです。1本目はこちら

【記事】

記事のURLはこちらです。

【情報源】

①矢野義昭はスコット・リッター/ダグラス・マクレガーを情報源にして記事を書いています。二人ともロシアに買収されているとしか思えないような人物です。

【分析】

①矢野義昭は「ロシア軍は数年間かけて現代的な戦い方を研究して最新兵器を装備して訓練してきたので強い」というようなことを言っています。私は軍事には疎いので、本当かどうかわかりません。

バフムートはロシア軍に包囲されつつあり、じりじりとロシア軍が進んでいる状況にあるようです。ただし、ロシア軍の被害も大きいようです。

②矢野義昭は「半導体の輸入には迂回路があるので経済制裁は効いていない」と主張しています。半導体に限らず、ロシアは産油国であり農業国でもあるので経済制裁に耐性があるようです。

③矢野義昭は「NATOからの戦車の支援が到着するのは2023年08月頃になる予定。それまでにウクライナ軍は敗北してしまうだろう。」というダグラス・マクレガーの予測を紹介しています。

④JSF氏からの反論。「ソースがダグラス・マクレガーとスコット・リッターなので、この記事の予想は確実に外れる」だそうです。

⑤矢野義昭はロシア軍とウクライナ軍の戦死者の比率を提示しています。「ロシア軍1人に対してウクライナ軍8人とダグラス・マクレガーが言っている」と主張しています。

「麻原尊師は『もうすぐハルマゲドンが発生する』と言っています」という文章を公開しても意味ないですよね。この記事は、明らかに怪しい情報源を元に書かれています。JBPressはジャーナリズムをどのように捉えているのでしょう?

⑥「膨大な戦死傷者でも余力ある露軍」という項目で、ロシア軍とウクライナ軍の継戦能力を比較しています。いきなり「ウクライナ軍は既に崩壊寸前」という文章から始まります。

⑦矢野義昭は不明瞭な説明を続けたのちに、最後に「崩壊に瀕しているウクライナ軍よりロシア軍の死傷者の比率が高いはずがない」という結論でこの項目を締めています。

JBPressはなぜこのような文章を掲載したのでしょう?

⑧JSF氏の反論です。「読む必要がない」だそうです。

⑨矢野義昭は「核保有国が核非保有国に殲滅を目標に予防戦争を仕掛けた」というような文章を書いています。

ロシア軍はウクライナで恐怖戦術の一環として子供を殺しています。矢野義昭の中ではこれも予防戦争の一部なのでしょう。

⑩矢野義昭は「ウクライナはますます領土を喪失するだろう」と主張しています。この争いを「ロシアによるウクライナに対する侵略戦争である」と見做しているようです。

⑪2023年02月20日のバイデン大統領のキーウ訪問について言及しています。矢野義昭の中では「ゼレンスキー大統領にこれ以上支援できないことを伝えるためにバイデン大統領はキーウを電撃訪問した」ということになっているようです。そういう内容だったらメール一本で済ませますよね。

⑫バイデン大統領のキーウ訪問に関するBBCの記事があります(こちら)。バイデン大統領はゼレンスキー大統領に「必要な限りいつまでも(ウクライナを)支え続けます」と伝えたようです。

⑬矢野義昭は「『ロシア軍は三方面から大規模攻勢をかける準備を完了した』とダグラス・マクレガーが言っている」と主張しています。

ダグラス・マクレガーの解説を紹介する前に、この人物の予測が今までどの程度当たったかをキチンと説明するべきだと思います。

⑭仮にロシア軍が北部から侵攻したとして、仮にポーランドとウクライナの国境付近に迫りNATOからウクライナへの補給慮が脅かされる状態になったとして、仮にポーランドなどのNATO加盟国が戦闘に直接参加した場合に、ロシア軍とNATOの直接対決に発展する可能性がある、と危惧しています。

仮定が多すぎます。「軍隊と軍隊が緊張状態にあれば、不測の事態をキッカケにして戦争状態に入る可能性がある」ということは、高校で世界史を学習した人は理解しています。矢野義昭はそれ以上のことを言っていません。

⑮核戦争に発展する可能性があるので、日本は停戦交渉を仲介するべき、と主張しています。

プーチン政権はしばしば「核戦争の危機が迫っている」というメッセージを発信します。プーチン政権が存続するためには占領地が拡大した状況での停戦成立が必要です。プーチン政権は誰でも良いから停戦を仲介して欲しいでしょうね。

矢野義昭は「プーチン政権をアシストすべし」と主張しています。

⑮矢野義昭は「日本は台湾有事に備えるべきだから、ウクライナ問題に深入りするべきではない。だから停戦実現に尽力すべき。」と主張しています。

「停戦実現に尽力すべし」という提案内容は直前の文章と同じですが、提案の根拠をすり替えています。ずいぶんロシアに都合の良い話ですね。

【JSF氏による指摘】

①ダグラス・マクレガーが予想を外した事例の紹介です。元TweetはJ Satoです。

②スコット・リッターが予想を外した事例の紹介です。元Tweetはタマホイです。

③ダグラス・マクレガーもスコット・リッターもロシアに買収されて喋っているとしか思えない人物です。Акичкаが頻繁に彼らの動画に和訳を付けてYouTubeに公開しています。

【まとめ】

なぜスコット・リッターやダグラス・マクレガーをソースに戦況解説を書くのでしょう?彼らの予測は架空戦記のように華々しいですが、当たりません。

空想レベルの戦況予測を続けた後に、「米国がウクライナを支援しすぎると台湾有事に向ける米国のリソースが減少するから、日本は早期停戦実現に取り組むべし」と主張しています。

無理矢理にロシアに都合の良い結論に導いています。ロシアに頼まれて書いたのかも知れませんね。

【補足1:即時停戦】

①矢野義昭はウクライナの劣勢を印象付けるデマを発信した上で即時停戦を提案しています。ロシアに都合の良い話。

【補足2:デマ】

①ブチャの虐殺の責任を実行犯であるロシアから被害者であるウクライナに転嫁するデマを撒き散らしています(こちら)。

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