低能プロット3「治癒能力を高めるために必要なもの」

1.プロットの構図(引いたカードの結果から)
  主人公の現在:慈愛↑「慈愛の白魔術師と呼ばれている」
  主人公の近未来:治癒↑「さらに優れた治癒魔術の探究」
  主人公の過去:信頼↑「高めあうことで信頼を深めた」
  主人公の援助者:公式↓「ライセンスがない白魔術師」
  主人公の敵対者:誓約↓「制約破りが目的未達成へ」
  結末・目的:勇気↓「信じる勇気が足りないことに気づく」

2.ごく短めにプロット紹介

ある村に双子の女の子が産まれた。二人は、近くに住んでいた、高名だがライセンスがない(公式↓)白魔術師の下で学んだ。彼女たちは、お互いをライバルとして「信頼↑」を深めていった。今では、「慈愛↑」の白魔術師コンビとして、名前を知られるまでになった。

二人は、自らの「治癒↑」能力をさらに高めたいと願った。年老いたかつての師の元を尋ねた。師は、二人でないと使えない秘術の存在を教えてくれた。ただ、修得のためには、試練に耐え、誓約を守ることが必要だと言う。二人に異存はなかった。

二人は、次々と試練をクリアした。しかし、最後の試練で、誓約を破ってしまう(誓約↓)。お互いを信頼しきれなかったのだ。二人は、お互いを信じる勇気に欠けていた(勇気↓)ことを痛感する。

3.補足説明のために少し長めにプロット紹介

ある村に、双子の女の子が産まれた。両親は、二人のやんちゃさに手を焼いた。そこで、彼女は、村はずれに住む、白魔術師の女性の元に、双子を通わせることにした。彼女はライセンスは持っていない(公式↓)が、高名で住民からも慕われていた。

二人は、すぐに白魔法の習得にのめりこんだ。二人は、お互いをライバルとして、技術を高めあった。その過程で、「信頼↑」と絆を深めていった。成長すると、二人は、コンビを組んで活動を始めた。今では、「慈愛↑」の白魔術師姉妹として、名前が知られるようになった。

二人は、さらなる高みを目指して、「治癒↑」能力の研鑽を欠かさなかった。ある日、二人は、ヒントを求めて、年老いた師の元を尋ねた。年老いた師は、1人では使うことができない強力な秘術があることを教えてくれた。それは、白魔術師たちの非公式なネットワークだけで知られたものである。自分はもう老い先短いので、教えることに異存はないと言う。

もちろん、二人にも、異存はなかった。師は、その秘術を身につけるには、試練に耐え、誓約を守り抜くが必要だと教えてくれた。二人は、師の紹介で、試練に挑んだ。次々と、試練をクリアし、誓約を守り抜く二人。しかし、最後の試練で、ついに誓約を破って(誓約↓)しまう。二人は、秘術の修得に失敗した。

二人は、最後の試練で、お互いを信頼するための勇気に欠けていた(勇気↓)を痛感させられた。ただお互いの技術を尊敬するだけでは、足りないことを学ばざるを得なかった。話し合いの末、二人は、あえてコンビを解消しないで、お互いの信頼関係を高める途を選択することに決めた。二人は、さらなる高みを目指して旅立った。

4.あとがきというか言い訳

私にはやはり、物語作家の資質はない。そのことを痛感させられました。「試練」って何だ?「誓約」って何だ?二人が挑んだ「最後の試練」って何だ?二人はどうして「誓約を破った」んだ?そこらへんが、全く浮かびません。プロの物語作家は、そこらへんのアイデアがないとやっていけませんよね。

最初の言い訳は、この辺にします。

本人的には、かなり産みの苦しみがありました。まずは、「信頼↑」「慈愛↑」がある人物が、「治癒↑」を通じて「勇気↓」を失うという物語の流れが、意味不明だったこと。カードを引いた瞬間から、戸惑いが始まりました。

ある冒険者パーティーがあって、「勇気を失う」=「勇者を失う」という設定がまず思い浮かびましたが、どうもしっくりこなくて、今回は採用しませんでした。(今考えると、死線をさ迷い「治癒↑」されたが「勇気↓」は失った、でもよかった気がするが、後の祭り)

次に、「誓約↓」が敵対者であること。誓約破れば、ろくなことが起きないのは当たり前じゃないの?という感じで、全く魅力のない設定に感じました。(実は今、「誓約↓」を破り破門された「ダークヒーロー」にすればよかったかも、という発想が浮かびましたが、後の祭り。後々のために、取っておくことにします。)

最終的に、「公式↓」な「治癒↑」能力がある人ということで、ブラックジャック的な人物が思い浮かんだこと。「治癒↑」魔法と言えば、ファイナルファンタジーシリーズでは、白魔術師の担当だったよなというイメージから抜け出せませんでした。ファイナルファンタジーシリーズで白魔術師というと、イメージはいまだに「FF4のローザ」のイメージなので、主人公は女性となりました。

今考えると、別に「双子」である必要はないことに気づきました。「信頼↑」ということで、信頼関係がある「二人」としか考えが及ばなかったため、そういう設定を採用しました。ただ、読み返してみると、自らの技術に「信頼↑」を寄せているという設定にすれば、1人でもよかったじゃんと気づきました。技術だけじゃダメだと気づく。今後も多く見られる、私が採用しやすい設定です。

今回のプロットでこだわりがあったとするならば、二人が最終的にコンビを解消しないという結末でしょうか。私のイメージでは、彼女たちのような白魔術師(=専門家)は、むしろソロ活動を好むのではないかと考えています。実際、二人の師匠は、村はずれに(独りで)暮らす女性というイメージです。それなので、二人はあえて、困難というか面倒くさい途を選択したということにしました。

ただ、この結末にするためには、彼女たちの信頼関係が決定的に決裂していないという前提が必要です。だから、私としては、彼女たちのイメージは、「コメディーを誘発する」という、シリアスさの欠片もないイメージです。設定としては、幼い頃は両親の手に負えないやんちゃだったところにしか現れていませんけどね。

実を言うと、もう一つの元ネタは、RPGではないからです。それは、正木晃『性と呪殺の密教』という「学術」本です。本そのものについて、解説する余裕はありません。この本から、白魔術というのが、現代社会で言うところの「医療テクノロジー」であるというアイデアを採用しました。

ただ、本の題名に現れている通り、元ネタは、「性」と「殺人」に深く言及しています。ただ、元ネタをそのまま採用してしまうと、この「双子」の物語に合わなくなってしまいます。最初は、二人の師匠のイメージは、元ネタに登場する「怪僧ドルジェタク」でした。ただそうなると、物語がドロドロしてしまうので、「独り暮らしの女性」に変えました。

余談です。元ネタは忘れました。近代以前は、女性にも経済的に自立して生きていく余地があったそうです。近代になり、産業が発達すると、逆に女性が経済的に自立していく「道」を奪ったそうです。二人の師匠は、この近代以前、細々と、それでもしっかりと経済的に自立していた女性をイメージしています。

5.おわりに

つくづく「リアルな」プロットが作れないんだなと、痛感しています。文学史上に残る大作家になるつもりも、ベストセラー作家になるつもりもありません。なれるわけもありません。

ただ、「物語提供作家」として、「細々と」生き残っていくのも無理ですね。はっきり言って、その分野の競争の激しさは純文学の比ではないので、この程度のレベルでは簡単に淘汰されてしまいますね。

6.感謝

①ファイナルファンタジーシリーズ
②正木晃『増補 性と呪殺の密教 怪僧ドルジェタクの闇と光』(ちくま学芸文庫 2016年)
③「近代以前、女性は経済的に自立できていた」というネタを提供してくれた本

7.時間

2022年9月15日(木)14:58開始
2022年9月15日(木)19:35終了


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