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驚くような当たり前のほうがずっとずっと長かった

あれって清少納言だっけ紫式部だっけと、ときおり作者名に迷子になってしまう「源氏物語」だけど、こうして現代の社会規範に照らして切り取って示してもらうと、とたんに身近になります。

平安とまではいかないまでも、ほんの少し前の映画や小説にも、いま触れると驚くような表現がいっぱいあった。

現実社会でも、ほんの少し前までは、容姿をネタに笑ったり、ホモソーシャルな集団が幅を利かせていたり、女はクリスマスケーキなどと呼んだり、不倫は文化、だなどと平気で口にしていた。

この、ほんの少し前までは、というのが重要で、つまりは今考えると「驚くようなこと」が当たり前だった時代のほうがずっと長く、深く深く心の奥底に根付いている。

だから逆に、「驚くようなこと」が当たり前だった時代に生まれた表現物をいま読み返したり、見返して、それに驚くこと、気づくこと、が大切だなと思う。

山崎ナオコーラ「ミライの源氏物語」


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