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本に愛される人になりたい(16)「剣豪小説」

 拙書「京の侍・音酒麒ノ介日乗」(https://bccks.jp/bcck/168058/info)シリーズの第一話を書くにあたり、室町・戦国時代の兵法家や剣豪を長年調べていました。なかでも、剣豪小説というジャンルの小説は、本屋やAmazonで買えるものは概ね買い読み漁りました。
 子供のころ、司馬遼太郎さんの「北斗の人」(北辰一刀流開祖の千葉周作)を読み、後年、坂本龍馬もこの北辰一刀流を学んだのだとか、新撰組の話など、歴史小説の一部として剣豪の物語を楽しんでいましたが、物語を書くにあたり改めて調べてみると、剣豪自体であったり、その流派の受け継がれ方はとても魅力的で、しっかり取り憑かれてしまった感があります。
 特に、「陰流」始祖の愛洲移香斎、そして「陰流」から「新陰流」(上泉信綱)、「新陰流」から「柳生新陰流」(柳生宗厳)の系譜を小説で辿る旅は特に楽しいものでした。さらに、この流れに塚原卜伝(鹿島新當流)や伊藤一刀斎(一刀流)が顔を出してくると、室町・戦国時代を描く戦国武将ものとは味わいが異なる世界が、私の頭のなかでグルグルと躍動しました。
 こうした剣豪小説ものですが、読むだけだと娯楽過ぎるものはあまり好きではなく、ほぼ史実に沿ったものが好きで、上述した拙書「京の侍・音酒麒ノ介日乗」では、愛洲移香斎の「陰流」なども参考にし、史実っぽいけれど娯楽的な小説を書き上げました。
 いつの日か、愛洲移香斎についての長編剣豪小説を、誰かが書いてくれないかと、願っているところです。文庫本全三冊ぐらいで。それを旅行鞄に入れて、旅をしたいと考えています。中嶋雷太

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