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悲しきガストロノームの夢想(59)「彷徨える海老天丼」

 はい、彷徨っています。
 かれこれ数十年も、最高の海老天丼に出逢いたいと願いつつ、彷徨っています。月に一度は「海老天丼が食べたい!」と叫びそうになり、知人に訊ねたりGoogleで検索したりして、良いお店を探し、もちろん足を運んで暖簾をくぐったりしていましたが、未だに最高の海老天丼に出会えず彷徨っています。
 有名で高くて評判だからというお店にも何軒も行きましたが、「うーん」とうなるばかり。世の中は、有名だったり評判だからと、お店の前に長い行列を作り、何十分も並んで楽しむ方もいらっしゃいますが、私の長年の海老天丼感からすると、「そこまでして食べるものか」というのが本音です。
 以前にも、この「悲しきガストロノームの夢想」で綴ったかもしれませんが、海老天卵とじ丼の最高峰は、京都の錦市場にかつてあった「やまもと」という蕎麦屋さんのものです。隣の魚屋さんが経営していたはずで、二坪(約6.6平米)ほどの店内でしたが、このお店の海老天卵とじ丼に勝るものは未だにありませんし、自宅で調理する身としては、あの完璧な丼は真似ようがないと感服しています。ただ、閉店したので幻の海老天卵とじ丼になってしまいましたが。さて、とは言え、卵とじではない海老天丼のお話です。
 ご飯の炊き方や器に盛られた量、使われている海老の種類や大きさや揚げ方や本数、そして決め手のタレ…。これらが完璧なお店にはまだ巡り合っていません。自宅でも何度かトライしましたが、まったくダメダメでした。
 2023年後半は、どうでしょう^_^ 中嶋雷太

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