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SLAの理論を日々の英語学習に応用する

今回は、SLA(第二言語習得)の理論の1つである「インプット仮説(The input hypothesis)」を紹介し、日々の英語学習にどのように活かすことができるかを考えていきたいと思います。

  1. インプット仮説(The input hypothesis)とは

 インプット仮説は、Krashenという言語学者が提唱した、5つの第二言語習得に関する仮説のうちの1つです。
 学習者の言語能力は、現在のレベルよりも僅かに高いレベルのインプットを理解したときに進歩するものであり、この理解可能なインプット(comprehensive input)が最も大事であると主張しています。
 具体的には、現在の言語レベルを「i」とすると、それよりも僅かに高い「i+1」のレベルのインプットを理解することが言語習得を進める上で有効であるとしました。

2. 具体的な実践例

 では、ここからは具体的にその理論をどのように応用できるか、4技能別に考えていきましょう。
 まずリスニングに関して言えば、いわゆる高地トレーニングが有効であるということです。英語の音声を聞くと、「速いな」「ゆっくりだと聞き取れるのに」などと思った経験は、おそらく多くの人がしてきたのではないでしょうか。
 そこで、インプット理論に基づいて「聞いて8割以上内容がわかる」程度のものを、1.5〜2倍速で聞くことがとても有効です。聞いても半分くらいしか分からないものをずっと聞いても、あまり意味がありません。これくらいが「i+1」くらいのレベルになるのではないでしょうか。

 次にリーディングです。これもインプット理論に基づくと、「多読」が1番有効とされています。多読とは、ただやみくもに本を読みまくるのではなく、読んでいて面白いと思う内容で、かつ8〜10割理解できるレベルのものを、たくさん読んでいきます。
 これだけ見ると、「そんな簡単なら、意味ないんじゃない?」と思うかもしれませんが、これを継続することで「英語を読む」ことに対しての抵抗が減り、英語を英語のまま解釈することにもつながるので、とても大きな効果があります。実際に多読に関する書籍や研究は多く存在するので、興味のある方はぜひご参照ください。

 ライティングの応用はなかなか難しいですが、とりあえず自分が「ちょっと難しいな」と思う程度の負荷をかけていきましょう。例えば「自分の趣味について60〜80語で書きなさい」と言われて、書けるかな?ちょっと自信ないな。などと思うのであれば、チャレンジすべきだと思います。仮にそれが簡単だと思うなら、次は「地球温暖化を進行させないために自分ができることを100語程度で書きなさい」と言われた場合を想定してみましょう。トピックが抽象的なものになると、より用いる表現なども難化するため、レベルが上がります。また、ライティングのレベルを上げるには、使えるフレーズを多く覚え、誰かに添削してもらい、自然な流れになるようにするなどの過程も重要になるので、その点はお忘れなく。

 最後のスピーキングにおいても、流暢さ、正確さなども重要になるため、応用が難しいです。しかしどの学習者にも共通する、スピーキングの力を上げるための方法はあります。それは、その日あったことを英語で振り返ることや、目の前で起きていることや今考えていることを英語で言おうとし、わからない単語や表現があればその場でどんどん調べて蓄積していくことです。これを繰り返せば、その学習者のレベルに関係なくスピーキングの力は伸びていきます。ただ調べるだけでなく、ノートなどにまとめて覚え、実際に発音もできるようにして使えるようにしていきましょう。

3. まとめ
いかがだったでしょうか。今回はインプット仮説という考えに基づいて、日々の学習に応用する方法を共有してきました。ぜひ英語学習の一助となれば幸いです。

次回は大学院入試の結果が出たので、それについてお話しします。


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