なぜやるのか。 社会的インパクトについて
こんにちは。EventHubの代表山本です。
これはEventHub Advent Calendar 2021 - Adventarの 最後の日、25日の記事です。私の前の記事は我らがプロダクトマネジャー、葛巻さんの「僕と会社とプロダクトマネージメント」です。こちらも是非ご覧ください。
今年はじめて実施したアドベントカレンダーでしたが、予想以上にこの企画を通じて自分のメンバーたちをより深く知ることができる企画でした。すごく良かった。
EventHubの最後のアドベントカレンダーは、創業者・代表の立場から見る、弊社の事業のやりがいやソーシャル(社会的)インパクトに考え、つらつら綴る記事です。
実はこの記事を書くまでに少しだけ紆余曲折ありました。笑。というのも、過去数日ドラフトを準備し、さぁ書き切るぞ〜と思っていたその時。
24日(前日)担当の葛巻さんのnoteの最後にこんな文章が:
・・・。いやいやいやいや!笑
(この時点で私は何を書くかを誰にも伝えていないためただの無茶振りである笑)
このような愛あるバトンを受け継いだわけですが、この振りに必ずしも応えなくても良いものの、「確かにもう少しEventHubの未来に関して関連あるテーマが良いよな、、、」と妙に納得してしまい(ありがとう葛巻さん)、その時点でおよそ3000文字あった別トピックのドラフトは一度今後どこかで使おう・・・とそっと仕舞い、新たに書き直すことにしました。
25日、クリスマスの朝、人形町のベローチェで書き始める。笑
「EventHubの過去と現在、そして未来」は流石に壮大過ぎるタイトルですし、10,000字に及ぶことは無いでしょうが、年の瀬ということもあり、事業の未来にも少々触れながら、「なぜこの事業をやるのか」に関してお話しできればと思います。
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いきなりですが、恐らくこれ以上進む前に説明がないとわかりづらい箇所もあるかと思うので、簡単にサービス紹介をさせてください。
弊社が提供するEventHubは一言で表現すると「All-in-One Event Management Platform」です。日本国内で300社以上の企業様(主にウェビナーやイベントマーケティングを実施する事業会社やビジネスイベントを開催するメディア・イベント会社)にご利用いただている、国内No.1シェアのイベントプラットフォームです。
用途はセミナー、カンファレンス、展示会、商談会、採用イベント、学会、国際会議などB2B利用が多いです。また、オンライン開催、リアル開催、そして今後普及すると思われるオン・オフ混合の「ハイブリッド」開催にも対応をしているのが特徴です。
事業において「なぜやるのか」の重要性
改めてですが、起業や事業をする上で「なぜやるのか」は、非常に大事です。当たり前ではあるのですが、事業をやっていると、大変なことやHARD THINGSがたくさんふりかかってきます。そういう時に踏ん張れたり、原点に戻れるのが「なぜやってるのか(=要はビジョン)」。
弊社にとってここ2年間は本当に目まぐるしい時間でした。2019年2月にイベント自粛になり、オンラインイベント対応を強化しリリース、からの猛烈に忙しい日々。直近1年間は社員数が4-5倍に増えたこともあり、以前と比べて組織課題も増えました。そして、コロナウイルス感染拡大がある程度落ち着き、一部「リアルへのリバウンド」があると認識しているのでそれに備える必要がある。など、当たり前ですが激動する市場でスタートアップをやっているので、大変なことは多いです。短期目線になりすぎたり、「なぜやるのか」に立ち戻らないと、余裕がなくなることもあります。
「マクロ・中長期視点で考える」ということと、「なぜやるのか」を立ち戻るのが非常に大事だからこそ、時間がある年末年始というタイミングでもありますし、つらつらと自分の言葉で綴ってみたいと思います。
非営利セクターで学んだソーシャルインパクトの重要性
起業のモチベーションは人それぞれです。自分の場合は、「◯◯◯億円の時価総額が目標」など数字が大前提にあるというよりは、事業を創った結果生まれる社会に対する影響やインパクトが一番大事だと思っており、一番モチベーションに繋がっています。そのインパクトを最大化するために、組織・事業規模が必要ではあるのが大前提なのですが。
脱線になりますが、自分は新卒で就職したマッキンゼー在籍時に、パブリック・セクターや教育セクターのプロジェクトに多く従事していたため、売上追求のみならず社会インパクトとの両立を提唱する「Double Bottom Line」経営や投資にも非常に高い興味を持っていたりしました。
そもそも掘り下げて社会インパクトとは一体なんぞや?という問いから、営利・非営利・Benefit Corporation等含む様々な組織形態の違いに好奇心が発展し、マッキンゼーの(1年間だけ好きな会社に所属し経営に従事する機会を提供する)出向制度を活用し、米国で有名なTeach For Americaの日本法人を立ち上げるというプロジェクトに参加しました。(これが16年ぶりに米国から日本に引っ越し、東京ライフをスタートしたのはきっかけでした。)
携わっていた事業は、教育格差是正のミッションのもと、民間企業出身者等社会経験が豊富な教員を採用・派遣し、経済的に厳しい地域の学校に送る、いわゆる「教員派遣・紹介事業」でした。
当時派遣した教員との出会いにより、考えてもいなかった大学進学を志す、自分が住む地域を出て世界に目を向ける、など一人の教員との出会いによって人生が拓ける生徒を目の当たりにするのは非常にやりがいがありました。人というものはどんな逆境にいても新しい出会いや情報との触れ合いにより、「世界が拓ける」んだなぁ、と体感した出来事でもあります。そして、そのような出会いや情報提供が人や事業の可能性を発火させるという概念は、今の事業のビジョンとも繋がるところです。
(蛇足ですが:今回のアドベントカレンダーの4日目の記事👇を書いていた弊社人事の磯は、私が当時採用・派遣した教員です。)
ソーシャル・インパクトに関して学び、非営利の世界を垣間見た後、出向制度終了後は民間の世界に戻った自分ですが、事業を行う上でいまだに「いかに社会が前進するか」、「社会的インパクトがあるか」は自分のモチベーションの源泉であり、やりがいの物差しとなっています。
自分が好きな言葉にLeave this world a little better than you found it(和訳:「自分が生まれた世界よりも良い世界にしてこの世を去ること」)という言葉があるのですが、まさにこれを全うするのが起業や事業のやりがいなのでは、と思っています。
Empowering connections that matter
弊社のミッション・ステートメントは
日本語:人がつながる、世界が近づく
英語:Empowering connections that matter
です。
弊社はイベントプラットフォームを提供しているため、日頃弊社のツールを使って多くの企業・人がイベントを開催し、その中で参加者同士や企業同士が情報交換をし、つながっています。
企業がセミナーを開催し、新しい顧客と出会う
ビジネスセミナーを通じて参加者が新しい情報に触れる
展示会で、企業がリード獲得をする
転職フェアで求職者と企業が出会う
国際会議で、各国の有識者が集い情報交換をする
採用セミナーで採用候補者と出会う
・・・など、多くの人・企業が集い、学び、出会う場所として弊社のプラットフォームが活用されています。
自社のマーケティングでも痛感するのですが、弊社のウェブサイトにたどり着き、資料請求をしていただける企業は恐らくこの世の中のごく一部にしか過ぎません。本当は出会うべき顧客や企業は世の中にはもっといる。そのために弊社も日頃からウェビナーを主催したり、カンファレンスに出展したり、展示会に出たりしています。また、まだ黎明期であるウェビナー・オンラインイベントという分野のカテゴリークリエイションや情報発信のためにも、1000名以上の自社カンファレンスを開催することもあります。
👇のnoteでも紹介させていただいた通り、弊社では現在海外展開準備をしているのですが、日本国内では一定業界の認知があるとは言え、海外での認知はほぼゼロに近い。このような時も、ウェビナーや動画コンテンツでリーチを広げようとしたり、他国のカンファレンスや展示会に出展してマーケティング活動を強化しようと試みています。
このように、自社の経済圏の1歩、2歩、3歩先のビジネス開拓をする際に、ウェビナー・カンファレンスを開催する、イベントに出展する、などイベントマーケティングやコンテンツマーケティングが一定重要になってくると思います。弊社のプロダクトとしての役割は この活動をいかに楽にし、企業同士の接点や情報交換をなめらかにできるか、だと自負しています。
尚、補足ですが、私と共同創業者の井関は特にイベント業界出身者ではないため、「イベント」に固執するというより、ビジョンの実現方法の「HOW」でしかないと思っています。現在この分野・プロダクトが適切だとは思っていますが、逆にビジョンを達成できるのであれば必ずしも「イベント」に限らなくて良いと思っており、事業は常に発展するものと考えてます。
弊サービスの社会的インパクトについて
事業を行う上で社会的インパクトが非常に重要である、という点を共有させていただきましたが、では弊社のサービスはどのような社会的インパクトをもたらすのか?追求したいのか?は下記の通りです:
物理的距離をなくす
オフラインのセミナー、カンファレンス、展示会など、今までは例えば東京開催であれば、関東圏内の参加者がほとんどでした。他の都道府県、ましてや国外からの参加者や出展企業は渡航費・宿泊費を払わないと参加ができないのが普通でした。
それが、オンライン開催の世界では、ブラウザひとつで参加が可能となるため、世界各国から参加者、登壇者、出展企業等を募ることができます。参加者も移動時間なく参加できるため、集客数はオンライン開催時はリアル開催と比べ~2倍に増えることもあります。
多くの企業様は「オンライン開催に切り替え、今まではリーチできなかった地域の顧客と出会うことができた」とおっしゃいます。また、弊社のサービスはコミュニケーション機能が充実しており、オンライン空間上でも名刺交換をしたりその場で商談予約が可能なため、「参加」するだけでなく、そこから新たなつながりに発展している場合も多くあります。
情報・機会格差を是正する
新しい知識やトレンドを知るのに有効なビジネスセミナーやカンファレンスは、多くの企業にとって出会いと情報収集の場としての役目を持ちます。
オフライン開催の場合は、多くのイベントが(例えば)東京に集約されていて、地方の企業や参加者は参加が難しいため、一部情報・機会格差のようなものが生まれてしまいます。しかし、今となってはライブ配信やその後のアーカイブ配信が当たり前になったいるため、どの地域に住んでいても、視聴・参加ができ、情報を得ることができる。情報収集だけでなく、オンライン上で出展することが当たり前になると、費用をかけずに地方の企業が東京圏の企業とつながることにも可能になる。これは、ある意味地域間の情報格差を無くし、どこに住んでいても最新のビジネス・業界情報を得ることができるということです。
言語の壁を超え経済をつなぐ
EventHubでは多くの国際的な会議・展示会・カンファレンス・商談会などが開催されますが、リアルの会場でなかなか英語で他社にアプローチをできなかった人が、驚くことにオンライン上だと可能になる、ということがあります。一部の国際会議や商談会では、リアル開催を上回る数の商談や対話がなされるものもありました。
・・・と、とあるイベントの主催者様に説明いただいた時は、「なるほど」と思いました。似た話ですが、以前弊社のカンファレンスにEvernoteの共同創業者で、オンライン会議ツール「mmhmm」(ンーフー)のCEO Phil Libinさんに登壇いただいた時も、似たようなことをおっしゃっていました:
対面(リアル)の世界ではなく、ウェブ会議含めオンラインの世界へのシフトはテキストや非同期コミュニケーションが増えるため、非ネイティブスピーカーにとってはコミュニケーションがしやすい、という点は非常に面白い着眼点だと思います。
まだ弊社は機能として提供できていませんが、今後リアルタイム通訳やリアル翻訳機能も備わったら、もはや「良いコンテンツ(動画やイベント企画等)」さえあれば、言語や国を超えて集客し、人・企業と出会える世界になると思います。
自分は小学校低学年から社会人までをアメリカで過ごしたため、物心がついてからのほとんどの時間を海外で過ごしてきました。社会人になって日本に来た際に、日本の教育レベルの高さや人の優秀さ、企業・商品の素晴らしさに感激した一方、言語の壁による大きな損失があることも痛感したので、このように言語を超えて経済圏をつなぐのは個人的にも非常にやりがいを感じれる部分です。
(そのほかにも、アクセシビリティ問題の解決や、環境への負担軽減※Co2排出量を抑える、ペーパーレス化などなど、社会的な好影響はまだまだあるのですが、非常に長くなってしまうので一旦ここまで・・・。)
今後の波を見据えて
この市場はまだ黎明期にあり、今後まだまだ成長の波が控えていると思っています。
オンラインイベント市場はグローバルで10兆円(2020年)から40兆円程度(2027)までCAGR 23.2%で伸びると言われている。その中で一番の成長市場だと言われているのはアジア(CAGR 25.8%ほど)(出典:Grand View Research)
経済のグローバル化はより加速する一方なので、国外から参加者・出展企業・登壇者を募る動きは今後更に進むと思われる。
5Gの普及も伴い、動画コンテンツの消費は一層普及する。企業のコンテンツマーケティングも、より動画コンテンツやライブ配信の比重が高くなる。
これらのトレンドを見ても、中長期で見たらまだまだこの分野は黎明期であり、今後ますます面白くなる、と思っています。変化が激しい市場だからこそ、常に「なぜやるのか」を掘り下げて考え、Long-term visionに磨きをかけないといけない、と一層思うそんな2021年の年末でした。
最後に
全然本題とは関係ないですが、自分は結構な文章コンプレックス(日本で最後に教育を受けたのが小学校3年生ということもあり、変にコンプレックスを抱いている節がある)を持っている人間なので、長い文章を書くのは相当勇気がいる作業でした。2022年はまずこのコンプレックスを克服するためにアウトプットを強化する年にしたい・・・!(誤字脱字、ですます調の統一のなさなどあったかと思います。大目に見てやっていただけると嬉しいです。。。)
つらつらと書きましたが、まだまだやらないと行けないことはたくさんありますし、解決しないといけないビジネス課題も山盛りです。また、進めたい新しい企画などもあるけれども全然手が足りていない状態です。
少しでも興味を持ってくださった人は、是非DMください・・・!
(👇の通り最近は毎週ハッピーアワーもやっているのでオフィスにも遊びに来てください!)
これにてAdvent Calendar終了です!
それでは皆さん、良いお年を! Happy holidays!
(最終的に、文字数カウントは7000文字弱でした。10,000行かず!悔)
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