自己紹介 番外編

本題とはややそれてしまうのですが、どうしても文章にして残しておきたい出来事があるので番外編として書くことにしました。

私は26歳の時、当時交際していた会社の同期からプロポーズを受け、婚約しました。
お互いの両親へのご挨拶や両家顔合わせを済ませ、結婚式や入籍の日取りまで決めていました。

私のことを受け入れてくれていつも居心地が良くて何でも話せる、一緒にいる時の時間は楽しくて有意義でもうこの先彼以上に大切な人、かつ私のことをこんなに愛してくれる人は現れないと思ったので婚約しました。

入籍まであと少しとなった秋。
彼は体調を崩しました。頭痛と熱があり寝込んでしまったようです。
私たちはほぼ毎日夜に電話で話していたので様子を聞くと、もうほとんど良くなった、予定キャンセルしなければ良かったと言っていました。
それを聞いて私は安心しました。
しかし、夜遅くなってもなぜか彼は電話を切りたがりませんでした。

もう遅いから、切るね

と言って私から電話を切りました。それが彼との最後の会話でした。

当時IT職だった私は、システムトラブルが発生し日曜日に始発電車で会社に駆けつけていました。
その時、実家の母から電話がありました。

彼が心肺停止で病院に運ばれたとのこと。すぐ相手の家族に電話して

もう私は、何が起こったのが、彼の身に何が起きてるのか、ちゃんと助かるのか、訳がわかりませんでした。
彼の弟さんと連絡が取れ、上司に事情を話して病院に駆けつけました。

しかしその道中、弟さんから彼が亡くなったという連絡を受けました。
CT検査の結果、虚血性心不全だったそうです。

振り返ると、彼は会社の健康診断でいつもコレステロール値が異常値で要精密検査レベルでした。
しかしまだ20代だったこともあり、私たちはそこまで重くは受け止めていませんでした。結婚したら青魚使った料理たくさん作るからコレステロール値下げようねという若さ溢れる発想しかできませんでした。

あの時、軽く考えるのではなくちゃんと彼を説得して病院に連れて行っていたら。
あの時、電話をなかなか切らない彼に何か気にかかることがあるのか聞いていれば。
あの時、食べるものを変えていれば。
あの時、
あの時、
いろんな後悔が後から後から溢れてきました。彼が亡くなった本当の原因が知りたくて、心疾患の本を読み漁ったりもしました。

葬儀が終わり、私の心は真っ暗でした。
例えて言うと、真っ暗な底のない大きな穴の縁を歩いていて少し足を踏み外せば落ちてしまうような、そんな暗く不安定な状況でした。
会社は1週間行けず、食事も喉を通りませんでした。
ずっと部屋に閉じ籠っていました。
でも、ずっとこのままいたらもう二度と元の生活ができなくなると思った私は、とりあえず会社に行ってみようと思いました。
すると、
私の席がありました。
私のタスクがありました。
ああ、私にも外に居場所があるんだ。
それだけで心が救われるような気がしました。前職の企業の同僚上司に感謝です。

この出来事を乗り越えようとしなくて良いんだ。
悲しいものは悲しい。
寂しいものは寂しい。
それで良いんだ。
と思い、無理に乗り越えようとすることをやめました。
乗り越えるのではなく、自分の気持ちに素直になってしまおう、と思うようにしました。

1つだけ言えるのは、どんなに若くても健康診断の結果はしっかりチェックして悪い結果の場合はちゃんと病院で再検査を受けることが命をつなぐことがある、と言うことです。
今の制度では要精密検査で病院に行かなくても、特に罰則など何もないと思います。再検査を義務化するなど、何か対策があればなあと思います。

あれからもう6年以上の月日が経ちました。これまで1日も彼のことを忘れたことはありません。ずっと私の心の中で彼は生きています。

人間、いつ死が訪れるかわかりません。彼のように突然ということもあると思います。
日々を大切に、生を受けていることに感謝して
出会った人を大切に、感謝して
日々を過ごしていきたいと思っています。

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