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アラフィフ、自分のために絵本を買う

自立した次女が、お気に入りの絵本を持っていったので、我が家から林明子さんの絵本が消えた。
お気に入りが、ほとんど林明子さんの絵本ということだ。
「あさえとちいさいいもうと」
「はじめてのおつかい」
「いもうとのにゅういん」
「とんことり」
「おでかけのまえに」
いや、書ききれない。

我が家は林明子さんの絵を崇拝している。

林明子さんが世に絵本を送り出したのは1978年だそうだ。

すでに小学生も半ばとなっていた私は、童話や児童書など文字多めの読書へと移行していたので、幼少期に彼女の絵本を知らずに育った。

出会ったのは2人の娘を生んだあと。

母(祖母)が「あさえとちいさいいもうと」という絵本を買ってきたのが、衝撃的な出会いとなる。

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母がこの絵本を選んだのは「絵が次女ちゃんに似ている」からだった。
本当にそっくりだった。

次女がモデルかと妄想するほどに。
長女が絵をみて次女の名を呼ぶほどに。

単に我が娘が、絵で描くような よくいるタイプの幼児だっただけ、なのかもしれないけれど。



次女が「出演」していたために、当時、林明子さんが描いた絵本が、我が家の本棚を埋め尽くしていくこととなる。

筒井頼子さん作、林明子さん絵、というのがお気に入りで多かった。
その後、ご夫婦でのコラボ作品である、征矢清さん作、林明子さん絵の「はっぱのおうち」も加わった。


どの絵を見ても、はぁ~かわいい、と感嘆する。

手に取るように感じられる仕草。
触れたら伝わってきそうな、まんまるいぷよぷよほっぺ。

何故こんなに惹かれるのだろう。単純に我が子に似ているから可愛いのか?ひいき目ってやつなのだろうか。


私のツボは立ち方。

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この足の開き具合。角度。膝から爪先までの力の入り方。

一生懸命立っているけれど、立つことにまだ慣れていないぶっきらぼうさが表現されていて、きゅんきゅんする。ああ、娘たちもこんなふうに立っていた。見覚えがある。頼りなげで可愛くて抱きしめたくなる。

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下を向くこの立ち方。お腹と肩のライン。少し上がりぎみでふわっとお腹のあたりが膨らんだズボン。たまらない。いるいる、こういう子。あ、次女だ。


絵の上からナデナデ、ヨシヨシしてしまうくらい、かわいい。
ぴったりの言葉を使うならば、めんこい。

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後ろ姿の足の位置もやっぱりツボ。

そして、手。
上↑に載せた「あさえとちいさいいもうと」表紙のいもうとのあやちゃんが、あさえの腕に、しっか、とつかまっている小さな手。

砂場で遊んでいたあやちゃんの、上げた手。

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この微妙な指の開き具合。
もう、どうしても紙のうえからでもナデたくなる。いやナデてしまう。

あげたら全ページについて語ってしまうくらいにキリがないので、このへんにしておく。

林明子さんは、自分の姪っ子さんや甥っ子さんをモデルにして、実際にポーズをとってもらうこともあったようで、
そうした細かく丁寧な描写が、心の奥をくすぐってくるのかもしれない。


イラストなんだけれど、リアリティーがあって、リアリティーがあるんだけどイラスト。この絶妙なバランス。
時間を忘れてずうっと眺めていられる。
実際ポストカードを飾っているくらい。

絵本を見比べていくと、リンクされているのにも気づいて更にたのしい。

「あさえとちいさいいもうと」のあさえとあやちゃんが少しおおきくなって「いもうとのにゅういん」に出演している。

みいちゃんが牛乳を買いにいく「はじめてのおつかい」に出てくる筒井商店は、作者の筒井さんのお名前。
そして、あさえがあやちゃんを探すシーンには、そのみいちゃんがおつかいに行った通りではないかと思わせる筒井商店の文字があり、通りには同じ人たちが描かれている。

宝さがしをするように、絵本で遊ぶことができるのも魅力のひとつ。

そして代表作の「こんとあき」
私は大人になってから読んだのだけれど、かなりの頻度で泣いている。何回読んでも泣いている。
ストーリーが絶妙。
親目線で読むと涙腺崩壊。
残念なことに子どもの頃に出会ってないので想像でしかないが、きっと子どもたちは、あきに感情移入してハラハラドキドキするのだろう。
大人になってからは、我が子の旅の無事を祈るかのように見守り、ぐっときて涙ぐむ。

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生まれた時から林明子さんの絵に囲まれて育った娘たちは、完全に洗脳され、自らを投影した次女は、九州にある絵本博物館で林明子さんのハガキブックを購入し、部屋に飾っている。
何枚か私もいただいた。


我が家の家族LINEのスタンプは林明子さんで埋め尽くされたりもする。ちなみに上↑の「えっ」と文字の入っているのはLINEスタンプ。


こんなふうに、家族総出で彼女の絵にやられている。

我が家で絶大なる人気のため、娘が自立したあと、手元に置いておきたいモノが一緒だと、一家にひとつでは足りないということに気付く。


もはや小さい子もない、アラフィフひとり暮らし。
今さら同じ絵本を購入するのもどうかと、
しばし悩んでいたけれど。

結局購入。

いくつになっても好きなものは好きで、手元に置いておきたいものがある。

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その気持ちに正直に。

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