水の中に沈んでいく、白い影。息を吐いて、すーっと力を抜くと自然に浮かんでいく。そんな空想をした。今がどん底の金子チヒロー

43試合目 F×E 3対13 札幌ドーム

できれば、投げて欲しくなかった。朝。金子チヒロが、先週の楽天戦の傷から立ち直っているのか。うまくいかない蓄積が、相当溜まっているように見えていた。できたら一回飛ばして違うチームに当ててもらいたかった。イーグルス絶好調…。

相手は塩見投手。これまた打てる気がしない。やだなあ。という気持ちのまま、遅番の仕事してて、仕事終わりに即見した一球速報に、泣きたくなった。

4回表1対4 ピッチャー吉田侑樹。金子チヒロはマウンドを降りていた。

嫌な感じとか外れないのって何でなのかしらねって。そりゃこれまでの経過があり相手の状況があるわけで、連日見ていればそれなりの予測はできるようになる。

ちーちゃんは、相当なプレッシャーの中、結果が出ない中、もがき続けている。一人でもランナーが出ると焦りが見える。打たれてこんなはずじゃないこんなはずじゃないといらだち、冷静さを失っていく。

水面に片足で佇む美しい白い鳥。その足元の水紋が渦になり、飛び立とうとする鳥を吸い込もうとする。必死であらがおうともがけばもがくほど、水の底へ。

ちーちゃんの周りに、絡みついている色々なものを取り除くために必要なものはなんだろう。ちょっと休憩だろうか。それとも投げ続けることだろうか。勝ち星だろうか。チームが勝つことしかない。

そのために投げている。

その道は間違えてはいないのだから。栗山英樹はブレないはずだから。

水底から浮かび上がる方法。もがくのをやめ、体の力を抜く。息を吐いて、自然と体は浮かび上がっていく。

そのときは必ずやってくる。


ファイターズ 20勝21敗2分。







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