文春野球コラムに代打で登場!顛末記2

エピソード2 執筆編

 「スカウトです」 えのきどさん本人から届いたメールには、内容は自由、文字数は2000~2500、掲載時期は6月と書かれてあった。

もう本当に舞い上がってしまって、返信には、綿々と自己紹介文を書いた。それと書いてみたい内容を思いつくまま、何本か。あちらは、ツイッターで見たと言ってるけど、わざわざ素人のファンに書かせようというのだから、どんな人物なのかわからないといけないだろうと勝手に忖度してみたのと、やっぱり憧れの人に自分のこと知ってもらいたいという気持ちと昔とった杵柄の「文章書けるんですよ、わたし」的な自己顕示欲もあったと思う。

どんな返信が来るだろうかとドキドキしていた。

そしたら「スカウトです」のときとは打って変わって、冷静沈着な文面で、わたしの送った内容にはピンとこない、自己言及や持論はそんなにいらなくて、そのとき見たファイターズに感じたこと、「2018年のファイターズを書いてください」と書かれてあった。

・・・・・・・・・・・・・・・(再び内容を解釈しようとする表現)

これは、ちょっと前のめりすぎるというか、聞いてもいないのに自分のことばっかり語るから、ドン引きされたんだな、やってまった・・と青くなる反面、内容は自由って言ったじゃんと反発心も湧いてくる。

でも、自己言及や持論を綿々と展開させなくても、自分の考え方や感情は、文面から漏れ伝わるものですという、えのきどさんの言葉は、納得できた。わずかな経験上からも、おらがおらがと吐露する文章より、対象に寄り添い語ることに徹した文のほうが「理絵ちゃんらしい」といつも言われていたから。

今から思えば、あまりに舞い上がり気味のわたしに対して「ちょっと冷静になってね」というメッセージだったのかもしれない。

6月まで時間はたくさんある。えのきどさんや文春編集部からは、取り立てて何の指示もなかったので、まずはまともな文を書くために鈍った勘を取り戻さなければと、練習を始めた。

2000字の100本ノックだ!

と張り切ってやり始めたけど、これが、全然できない……。長い間、漫然と思いつくまま、だらだら書いているだけだったし、2000~2500字は、コラムの分量としては多いほうで、一つのエピソードやアイディアでは埋めることはできない。複数の場面や展開を入れながら、最終的に「言いたいこと」に落とすのは、簡単なことじゃない…んですよ。ほんとに難しいのよ…。

ファイターズの話だから、ネタはいくらでも転がっているというか、毎日毎日提供されるので書くことには困らないけど、何を選択するか、何を切り取るか迷ってしまうし、うまくつなげることができない。

ほんとに書けるんだろうかと、だんだん不安になり自信がなくなっていくけれど…ひょんなことから書いた中島くんの満塁ホームランの話(ノートに上げてます)に若干の手応えがあった。勘が戻ったような気がして。

とりあえず、どんどん書いてみて、締め切り近くに一番ぐっときたと思えるもので行こうと決めた。

6月の声が聞こえるころ、えのきどさんに連絡して、締め切りや、入稿の行程、原稿料についてなどの確認をした。

勝手に書いて、差し障りがあったら困るので、中身は書きませんが、ちなみに16年前、わたしが北海道新聞で書いていたマンガコラムは、800字で原稿料は、二万円だった。そんなにもらえるんか!?と思われるかもしれないけど、全然高くなんかないんだよ。800字1本の新作マンガの紹介のためにそのとき出てる新刊本を何冊も買うし、資料も必要、なんなら取材もしなければならない、しかし経費は自腹。トータルしたら全然儲からないんです。そういう商売なんだよね。

脱線したけど、ここからが、わたし的には、とんでもないてんやわんやの始まりだったのだった・・。

                           つづく



                            さらに続く


















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