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球際を惑う中島卓也に。バッターボックスで自分を見失う近藤健介に。チャンスで打てない4番に。いつ底の底につくのかもわからないチームなのだとしても。伊藤大海の瞳には、ファイターズの明日が映っているー。

2021 4/7 札幌ドーム F×H 2対6

逆転された7回。伊藤大海は、ショート中島のエラーにショックを受けたのではなく、自らの出したフォアボールと、ゲッツーを取れる絶好のピッチャーゴロからセカンドベースへの送球を誤ったプレーを悔いたまま、迎えた松田への一球に集中力を欠いてしまった。

わたしには、そう見えたし、きっとそうだったはずだ。

決して隙を見せてはいけないホークスに、見せてしまった一瞬の隙を、やっぱりマッチは逃さない。

6回裏のチャンスを逃し、7回裏ノーアウト一塁二塁で、バッター近藤。今のファイターズで一番調子が狂ってしまっているのは、近藤くんだ。あれほどのバッターが、まったく自信を失っている。打席での戸惑いが、テレビ画面からはっきり伝わるほどに。

実況解説席では、がんちゃんが「バントあり」という。近藤くんにバントさせて誰に打たせるの? すでに4番中田翔は、交代していた。栗山監督の采配なのか、アクシデントなのかわからないが、6回で4番を交代させるのは異様なことではある。

中田がいないのだから近藤で勝負するしかない。でもこの表情では無理だとしか思えなかった。監督にはわからないのか。見えてないの?

がんちゃんのバント説が信憑性を持った。空振り三振。

ピッチャーが右の岩埼に変わり、代打は谷口雄也。もう最後のチャンスだと谷口くんだってわかってるだろう。緊張と気迫に満ちた顔をしている。打てるとしたら外角ストレートに踏み込む時。だけどきゅんちゃんは、いつものように見逃してしまった。みるみるうちに表情は、目の光は、後退していく。自信のなさが、結果に現れる。空振り三振。

本当に多分、最後のチャンスが消えた。ここまで連敗中のファイターズで、今シーズンの打席は、ほとんど全て得点圏での代打。成功と失敗の裏表のコインの境目に、立っていた。チームの勝ち負けの水際に、谷口くんはいて、そして、全部に負けた。

一番最初の打席の当たりが抜けていたら、きっと結果は、真逆になっただろう。でも現実は変わらないから。受け止めるしかない。本人も今年に進退かかってる崖っぷちの覚悟だと契約更改の場で語っていたんだから。11年目のシーズンを、これからどう過ごすのか。どっかでまた物語は動き出すのか。見守ります。

素晴らしい投手。最高のルーキー、伊藤大海。報いてあげられないわたしたちのファイターズを、彼はでもきっとなんら不満も持っていないだろう。

チームを勝ちに導けないことだけを、悔んでいる。

エースの心を持っている。

足りないのは、なんだ。このチームに。どん底の、底まで落ちても。

考えることをやめるな。伊藤大海のように。

考えつづけるから。

また明日に続く。








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