今のところ、人生で一番辛かったことのお話
前回のお話の続きです。
信じられない出来事
同棲を始めて5ヶ月ほど経った2010年8月28日、彼氏はその日、職場の同僚や先輩の9人くらいで千葉県館山市の会社の保養所へ1泊2日の旅行に行きました。
その日は土曜日で私も家にいたので、いってらっしゃい、気をつけてね。と朝にお見送りしました。
そして私はその後、クラブイベント友達の家のホームパーティーで都内に行って、仲間とお酒を飲んでおいしいごはんを食べて、お家の屋上でみんなでおしゃべりしていました。
夕方16時頃、彼氏の携帯から電話がかかってきたので出てみると、電話の声の主は彼氏が一番仲が良くプライベートでも遊びに出かけている同僚のKくんでした。
いたずら好きな彼氏だったので、わざとKくんを電話口に出してふざけてるのかな?「同僚のKですけど…」と言うKくんの声が震えていたので、笑いを堪えてるのかな?と思いました。
でも次の言葉は、「O(彼氏の姓)が、息を引き取りました」でした。
さすがにふざけすぎじゃない?と思った私は、「え?何言ってるの?」と笑いながら言いました。
Kくんは無言で、大泣きしはじめました。
これは本気なのかと思い、咄嗟に「上司のHさんそこにいるの?電話変わって!」と口から出ていました。
Hさんは彼氏の上司で、私も何度もお会いしてお食事に誘ってもらったりと交流があったのです。
すぐにHさんが電話に代わりましたが、HさんはKくん以上に泣いていました。
「あぁ、これはふざけてなんかないんだ…」
心臓がバクバクして、頭がボーッとして、手が震えました。
自分でもわかる震える声で、なぜ彼氏が息を引き取ったのか聞きました。
昼食の後みんなで宿の前の海に行って、泳いだり散歩したり自由に過ごしていて、2時間くらい経ったけどOだけ戻ってこない。
みんなで探しに行ったら、テトラポットのところでうつ伏せで浮いていた。
急いで引き上げて人工呼吸とAEDをやって救急車で運んだがその時点で心肺停止、救命の甲斐なく先ほど息を引き取った。
最後にOを見たのは、数人で泳ぎの競争をした時。それから誰も見ていない。
なんで?誰も見ていないの?9人もいてどういうこと?
頭の中がごちゃごちゃしているけど、とにかく、彼氏が死んでしまった。ここにいるみんなも彼氏の共通の友達だから、言わなくちゃ。
でも電話している私の様子から何が起こったかすでにわかったようで、みんな騒然としていました。
私は腰が抜けたようになって立ち上がれず、電話を切ってからは泣きながら、どうしよう…としか言えませんでした。
ひとまず自分の母親に電話して、彼氏が亡くなったことを伝えました。
彼の実家にも電話したけど出ません。携帯番号は聞いていなかったので、後悔しました。
そして、今からすぐにでも館山に行きたいけど、電車でどのくらいかかるんだ。
気が動転したままひとりで泣きながら、そんな遠くまで電車で行けるのかな。どうしよう、どうしよう…。
出てくる気持ちは「どうしよう」ばかりです。
すると、友達たちが車を出してくれて、お酒を飲んでいない人が運転してくれて、4人が一緒に館山までついてきてくれることになりました。
あの場にいたみんなには本当に申し訳なくて、いろいろと助けてもらって、感謝しかありません。
もし一人の時にこの連絡を受けていたらと考えると、恐ろしくなります。
遺体との対面
館山に行く道中の車内はみんな無言で、私は心ここに在らずでよく覚えていないけど、3時間くらいはかかったのか館山警察署に着いた時にはもう真っ暗でした。
車内で、月曜日からしばらく仕事に行けないと自分の上司にメールしたのは覚えています。
警察署には彼氏の同僚たちがみんな憔悴しきった表情で座っていて、一人ずつ取り調べを受けていました。
私は警察の人に彼に合わせてほしいとお願いしましたが、親御さんがくるまではダメなんですよ。と言われてしまいました。
ですが私がずっと大泣きしているのを見かねたのか、特別に会わせましょうと言ってくれ、遺体安置所に連れて行ってくれました。
安置所まで歩いて行く時、死んでいる彼を見るのが怖くて、一緒についてきてくれた友達の手を握りしめていました。
安置所にいた彼は、冷たくてかちこちで、顔は青ざめて、唇は紫色で、目は閉じていたけど口は開いていて、本当に死んじゃっていました。
名前を呼んでも起きない。信じられませんでした。今朝まで動いていたのに。笑いながらバイバイしたのに。普通に帰ってくると思ってたのに。
しばらくして、彼氏のご両親が到着しました。
運転は気が動転して危険なので、埼玉からタクシーで来たとのことでした。
彼氏のお兄さんも電車で来て、その日はもう日付が変わる時間になってしまったので、送ってくれた友達たちは帰宅し、私は彼氏の家族と一緒に近くの民宿に泊まりました。
彼氏の家族とは食事したり何度も会ってはいたけれど、こんな形で初めて一緒に泊まるなんて思いもしませんでした。
何も食べていないし何も持ってきていない、喉を通らないけどちゃんと食べようとお母さんに言われ、コンビニでおにぎり、携帯充電器、歯ブラシを買いました。
私もお父さんもお母さんもお兄さんも、眠れない夜でした。
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