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音楽が好きという話/演奏する側としての、主にトロンボーン編

私の通っていた小学校には、金管バンドがあり、クラブ活動とは別に、高学年のクラスから何人かが推薦されて編成されていました。

私も金管バンドに推薦してもらい、友達と一緒に、小太鼓をやろうね、と約束して、いざ楽器を決める日。

先生がそれぞれの楽器を紹介して、やってみたい人が挙手をしていきます。

トランペット、トロンボーン、アルトホルン…と決まって行く中、ユーフォニウムには一人も手を挙げませんでした。

このあとチューバがあって、小太鼓はその次。

先生から、何度目かの、
「誰かユーフォニウム、やってみませんか?」

シーン…

ああ。我慢できない。

挙手、してしまいました。
一緒に小太鼓をやろうと言っていた友達からの視線が刺さりましたが、やってみたらユーフォニウム、音といい吹き心地といい、かなり好きでした。

中学生になり、吹奏楽部に入って最初のうちは引き続きユーフォニウムを吹いていましたが、トロンボーンの一年生が部活を休みがちになり、コンクールメンバーの人数が足りないということで、マウスピースの大きさが同じユーフォニウムから、トロンボーンへ移動することになりました。

トロンボーン、しばらく好きになれませんでした。
左手が痛い。
スライドワークが難しい。
ポジションを覚えるのが大変。
割り当てられた学校備品のテナートロンボーンが錆び錆びで臭い。
先輩も怖い。コンクールまでの短い残り期間で、私にトロンボーンを覚えさせなければならない焦りからだったのでしょうけど、当時の私からしたら部活が憂鬱で仕方なくなってしまいました。

コンクールが終わって、三年生が引退したら、ユーフォニウムに戻りたい。

そう思っていたはずなのですが。

まさか、それから、高校でも、大学でも、社会人になってからも、もうかれこれ25年、続けているなんて。

今、トロンボーンの好きなところは、ストレートで明るい音色、少しヒョウキンなところ、曲の美味しいところでバッチリ、空気感や温度を表現できる役割を与えられるところ、ですかね。

ソロもアンサンブルも本当に素敵です。

東日本大震災後、世界中のトロンボーン奏者によるチャリティの演奏動画が公開されたのですが、今でも観ると目頭が熱くなります。

奏者それぞれの個性や心根が、演奏に表れていて、深い真心を感じます。

私もトロンボーンを吹いているときは、自分の魅力が増している気がするんですよね。
オシャレをしたり、メイクをしたりする以上に。

好きな楽器を吹いている姿を、撮影してもらったものを後から観たりすると、「いい顔してるなぁ」「この仕草、姿勢、格好いいなぁ」と自画自賛してしまいます。

冴えない思春期を過ごしていた10代の頃の友人も、「りえちんのトロンボーン吹いてるとき、カッコよくて好きだわ」と言ってくれていました。
自分に自信を持てる数少ない貴重な瞬間でした。

今でもたまに、ユーフォニウムも遊びで吹きますが、もう完全にトロンボーンのほうがしっくりきています。
「やらされ感」たっぷりで始めたトロンボーンも、一生懸命取り組んでいるうちに大好きになってしまった、ミラクルなお話でした。

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