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KMC退治

私の住む北東北では、ゴキブリは滅多にお目にかかりませんが、秋から冬にかけてカメムシ(名前を見るだけでおぞましいので、以下、KMCと略します。あくまで私にとってですが、少しだけ印象がマシになります)がよく発生します。

音もなくいきなりいる、という感じです。
恐怖です。不気味です。

田舎者のくせに、私は虫が大の苦手です。
いわゆる「生理的に無理」というやつです。

独身時代、ひとり暮らしで困ったことのトップ3には入ります、「部屋に虫が発生したときの対処」。
「風邪で寝込む」と同じくらいのレベルで困っていたと思います。
ただし、風邪で寝込んだ場合は誰かに助けを求めやすいですが、KMCが出たという理由でわざわざ人を呼ぶほど迷惑な人にはなれませんでした。
さらに、KMCの場合は、事態は一刻を争うため、誰かを呼んで来てくれるまで、待っていることもできません。
ああ、思い出すだけで背筋が凍りそう。

結婚して良かったことに、こんなことを挙げては夫に悪いですし、夫も決して大得意ではないですが、私が懇願するために仕方なく退治してくれますので、毎度頭が上がりません。

KMCの厄介なのは、下手に刺激すると臭いを発するところです。
我が家では布テープの粘着面で挟んで封印する手法で退治しています。
手を触れず実行できるこの方法ですら、私は恐ろしくて、見守ることしかできません。

昨日の朝、台所に置いてある、可燃ごみのゴミ箱の淵に、突如出現したKMC。
「うわぁぁぁ、見て、ここ、これ、うわぁ、無理無理無理!!」とパニックの私。

はいはい、どっこいしょ、と布テープを用意する夫。

「まってね、ふくからね」とどんぐり

え?ふく?

振り返ると、リビングでティッシュをスッと一枚とり、走ってくるではないですか。

何かこぼしたか、汚れたか、そんなふうに思ったのかも知れません。
普段自分が遊んだオモチャの片付けや、食事中にこぼしたものを拭くことも自分ではしないのに、私が大騒ぎしたら加勢しようとしてくれるどんぐりが、可愛いくて愛しくて、頼もしく思えました。

ありがとう。
でも、KMCは、ティッシュ一枚ではとても無理よ。

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