読書してみて考えた⑭ 益田ミリ 旅の本いろいろ 前編

行楽の秋も終わり2022年も残りわずか。
さすがに 旅がしたい!
私の年末予定はガーラ湯沢、1泊2日で一か八かのスキー(自信が無いから半日だけ,おそらく8年ぶりのはず)。
さすがに出産以降は当直はしていないけど、GWも合間の平日は仕事だし、夏休みは2日のみでお盆は仕事ありの職場だったしで、我が家は行楽シーズンの旅はなかなか難しい。
世間は12月20まで旅クーポンだったらしいが、「お得な旅」「今話題の○×」って旅行は果たして旅と言えるのかしら・・・。
仕事と子育てでいっぱいいっぱいで読書もままならなかった頃、小説は途中でやめられなくなったら睡眠時間を削るしかないし、私は常に旅の本を探していた。
「世界一週ひとりメシ」イシコ
「行くぞ!30日世界一周」水谷さるころ(旅チャンネルで放送、面白かった)など。
そして2013年秋、仙台空港でたまたま購入したのが「47都道府県、女ひとりで行ってみよう」だった。

1「47都道府県、女ひとりで行ってみよう」
2011年4月初版の文庫本。
今回読み直そうとしたところ本棚に見当たらず。どうやら子供の漫画と一緒に売ってしまったようで、急遽同じ店で買い戻した。日頃古本を買わない派の私には屈辱!それより驚いたのは何と!34版!だった(ということは私が売った本ではない)こと。なかなかのベストセラーではないか。
ちょうど1年前、今となれば最後の?緊急事態宣言が解除された頃、品川のエキナカ書店ではこの本が売れ筋?になっていた。私がこっそり楽しんでいた益田ミリ旅の本がメジャーになってしまうようで、ザワザワした記憶がある。あの頃はコロナで海外旅行もできず、たまたま「47都道府県」の本が売れているんだ、と思っていたけど、それにしても34版にはビックリ。
内容は2002年12月~2006年10月まで、著者33~37歳の旅の記録。
2002~03年
青森、三重、北海道(網走)と行ったところで著者は一人旅に飽きてくる。おそらく一人旅の緊張感に疲れてしまったのではないか、と私は思う。そんな時ファンから 「私の県にはいらっしゃるのでしょうか?楽しみです」との手紙が嬉しく、著者は続けることにして茨城(わが故郷)に。
益田(島根県)、滋賀、岡山、そして石川県にて、
「ああ、いつになったらわたしは『名物』の呪縛から解放されるのだろうか。(中略)もう本当にやめよう。旅だからといっても、食べたくないものは食べないのだ」
私は旅先でもカレーや餃子でビールをのみたいタチなので共感してしまう。
埼玉、大阪(著者の故郷)、福井、そして11月佐賀県のバルーンフェスタに。佐賀県は私が今行きたい県のひとつ(ハウステンボスからの帰路、武雄温泉に立ち寄ったことはあり)。ポーセリンパーク、吉野ケ里、呼子のイカなど。あまのじゃくの私にとっては魅力度ランキングが低いのも行きたい理由、茨城人の勝手な親近感。ちなみに著者は「佐賀ってなんもないんでしょ」と何人かに言われたとのこと。私茨城人は何もないことを逆にどこか誇りに思っているフシがある。
12月長野県、島崎藤村記念館。藤村の最初の本も著者のデビュー作も同じ春陽堂だったという偶然。
2004年
「どうしたことだろう、ひとり旅が楽しくなりつつある。(中略)孤独なおばあさんになっても、わたしは意外と耐える力があるのかもしれない。」とある。
鹿児島への旅にて「ひとり旅の女が、淋しくみえないようにするにはどうすればいいのだろう?」
愛知、山梨、そして高知県、私の未踏(和歌山と高知の2つ)の地。梼原の隈研吾建築、カルスト、足摺岬、牧野富太郎、行きたいなあ。著者は横山隆一記念まんが館へ。「漫画とは話しかける画なり」横山隆一さんの言葉。著者はイラストレーター、漫画家?でもある。高知人の感じが一番好き、「気さくで、図々しくなく、親切で、卑屈でなく、威張った感じがしない」とある。私はますます高知県に行きたくなってしまった。
神奈川県はピンクレディーコンサート。著者はやっと会えたという感激で涙。そういえば私もこの夏やっと会えた松田聖子に涙した。「生で見られるなんて無理だと思っていたのに、こうして20数年の時を超え夢が叶ったのだ」とある。私にとって松田聖子は40年越しの夢、ホント人生何があるかわからない、生きてるだけで丸儲けだと思う。
宮城、福島(高玉金山、私は風呂だけ行った記憶が)、静岡。著者は浜松からグリーン車で帰路に。「背もたれを最大限に倒している小学生の後ろで貧富の差を感じる35歳のわたし。せっかくの初グリーン車の思い出が、お金持ちの子供に踏みにじられたのであった」とある。医師歴も10年を過ぎればグリーン車を利用していた私だが、子供が生まれてからめっきり乗らなくなった。一番は金銭的な理由だが、あの静かな空間は大人の世界だと思うし、グリーン車は将来子供が自身の価値観で選べばいいと思うから。実際、一度だけ誤ってポチッとしてしまい(ガラケーで!)、子供と乗った東北新幹線グリーンもなんだか落ち着かなかった記憶がある。
山口、千葉、栃木、12月は福岡。「わたしは勝手なイメージとして、福岡の人は『人懐っこい』のではないかと思っていたんだけど、そうでもなかった。でもシャイとも違う。(中略)特に女の人は凛としている。というか強そうだった。」なんか分かる。私は聖子ファンだが、森口博子、蛯原友里、小柳ルミ子、浜崎あゆみ、皆さん強そう。それでいて女性ホルモンも十分で、かつてギャルオヤジ(当時の流行語はオヤジギャル)と呼ばれていた私には、とても眩しすぎて、こちらが恐縮してしまう感じ、なんだよな。
2005年
熊本県、「いきなり団子」に出会えて大満足の旅、と書いてある。実は今回読み直すにあたって私がこの本で唯一覚えていたのがこのエピソード。まあ9年前(2013年)の記憶だから仕方ない。
2月長崎、3月は山形。
著者は「なんだか心がささくれて」日帰りでもいいからと山形新幹線に乗り結局は3泊。「ひとり旅、元気が出たなぁ。山形は女の人の感じが良くて好きだ。」とある。「旅は学びたまえと主張せず、ただポンとわたしの前に置かれるだけ。ふわふわと自分の心と話せる自由時間である」と。そういえば私はこの夏、旅をしなかった。結婚して19年で初めて。もしかすると18歳で実家を出て以来初かも。この秋、なんとなく心が落ち着かなかったのはそのせいかも。
群馬県(山田かまち)、新潟県(水島新司)、兵庫県(姫路)、奈良(大和郡山)、富山県(黒部ダム)。
鳥取県からの帰路は「サンライズ出雲」。羨ましい。私は茨城在住時もこちらに転居してからも何回かみどりの窓口でチャレンジしているが 個室がなかなか取れない。平日休めない人間には無理なことは重々承知だけど。
11月沖縄、12月は香川県、金比羅宮に。途中の表書院で丸山応挙のふすま絵を鑑賞、と書いてある。知らなかった。私は子供2歳、4歳と雪がちらつく中の必死のお参りだったから 何も覚えていない。年齢的にも膝が壊れるまでにもう一度、こんぴらさんに行きたい。2006年
愛媛(道後温泉)、秋田(横手かまくらまつり)、宮崎県、フエニックス動物園へ。
私が夫の郷里に転居したのは子供がそれぞれ2歳、10か月の春。GW明けたら働くぞ!と市役所に行ったところ、8時間×週5で働かなくては保育園には入れません!で、結局週6でさらに遅番もあって、すっかりヘトヘトの軽い育児ノイローゼになってしまった。その翌年2月、ANAマイルを消化しようと宮崎へゴルフの旅に行ったのだった。子供を託児所に預けリフレッシュのつもりが、やっぱり罪悪感はあったから、家族でフエニックス動物園に行った思い出、懐かしい。
岐阜(郡上八幡)、広島(呉)、岩手(中尊寺)、7月末に徳島県へ。
大塚国際美術館、いいなぁ。私は2016年上の子の小学校卒業、春休みにUSJ→高速バスで淡路島、鳴門のホテルに泊まり大塚美術館の旅を計画した。結局は夫から「母ちゃん!春の大潮だよ!うず潮を見ないでどうする?」と言われ、大塚美術館を断念したのだった。家族で多数決の結果、3対1で美術館の負けだった。子供達には「どうせニセモノなんでしょ」と言われる始末。
8月和歌山。私には行きたくてもいけない。というのも私が生まれる前に祖父が高野山で脳卒中~命からがら茨城に戻るも数日で亡くなり、その十数年後には義理叔父が周囲の反対を押し切り高野山に行き、翌年白血病で亡くなっている。だから高野山には行かないと決めていた。さらに10年ほど前、私は新宮行きのワイドビュー南紀指定券を購入(宿は川湯温泉と南紀勝浦)したのに、前日息子がおたふくかぜ、当日は紀伊半島は大雪となり中止したことがある。なんだか恐ろしくゾクゾクして以来、私は和歌山県には行けないのかも、と思うことにしたのだった。
9月大分県。人の感じについて「ここにきて大分県が一番になった。なんだろう、人に親切にするのにもったいぶらない雰囲気っていうのかな。」と書いてある。なんか分かる。私の大学時代からの友人は国東半島の女。おとなしいけど芯がしっかりしている感じ、そして優しい。
最後は10月中旬、東京都。
続きます


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