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金継ぎって何ですか

漆を使用し修繕する金継ぎ

金継ぎと聞くと、金を使って器を継いで直すのかなと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、修繕には漆を使います。
漆は漆の木の樹液。
一本の木からほんの少ししか取ることのできない貴重なもの、かつとても万能なもの。
漆は器が割れてしまったときに接着する接着剤にもなれば、土などと合わせて欠けた部分の充填剤にもなり、そしてひび割れた部分の線に沿って描けば美しい塗料にもなります。

簡易金継ぎと伝統的な金継ぎのメリットとデメリット

最近は簡易金継ぎと呼ばれる漆とは別物の合成うるしを使用して修繕する方法もありますが、私が行っている方法は本漆を使用した伝統的な修繕です。
簡易金継ぎのメリットは漆ではないので乾く時間が早く修繕に時間がかからないこと、よって修繕にかかる金額も漆を使ったものより安価であることそ
デメリットは食器等食べ物をのせたり口をつけたりするものを直すには溶剤であるため口に入った際に安全ではない、もしくは安全性が低いということです。
対して本漆を使用して修繕する金継ぎのメリットは古来から食器として漆器が使われていることからもわかるように口につけても安全であることと、修繕する技術にもよりますが細い線などにもしっかりと入れることが出来たり面に対してもなめらかな美しい修繕ができること。
デメリットは漆は乾くのに時間がかかるため修繕に数か月単位の長い時間がかかってしまうということです。
私が行っている金継ぎは本漆による修繕で、安全性の観点もありますが、大切な器をせっかくお直しするのであれば時間がかかっても美しいお直しをしたいと思っています。

金継ぎの仕上げ方法

さて、その本漆による修繕はいくつかの仕上げ方法があります。
一つは金属粉を蒔いて仕上げるもの。
金属紛には、金継ぎの名称のごとく金粉を筆頭に銀紛、真鍮紛、錫紛などがあり、器の持つ雰囲気により使い分けています。
最近は金が高騰しており、ほんの少しの欠けくらいでしたら使うこともできますが、割れた線が長い場合や大きな欠けの場合には使う金の金額が万単位になってしまうため、普段使いの器には使いにくくなっているのが現状です。
最近は代用金として真鍮紛を使うことも多くなり、違いは色味や質感以外に時間とともに色が変わるということです。
しかしアンティークによくあるような時間が経って鈍い色になってきた真鍮が魅力的ということもありますし、器の持つ雰囲気により、持ち主の好みにより選んでいただくのがよろしいかと思います。
錫紛もまた気軽に使える銀色のもので、銀と比べるとざらっとした質感で民藝の器などの修繕にとても合うと思っています。
金額的には金>銀>錫・真鍮となります。

金属紛を蒔く仕上げとは別に漆で仕上げる金継ぎもあります。
漆も色を選ぶことが出来、黒い色の黒呂色漆でシックに仕上げたり、赤い色の弁柄漆で華やかに仕上げたり、カフェオレ色のような白漆や器の色に合わせたそのほかの色漆で仕上げることもあります。
白漆がカフェオレ色であるというのは、漆は茶色いため真っ白の色を作ることはできず、茶色がかった白になるからです。
ほかの漆にも当てはまることですが、その色は時間とともに変化し、白漆は最初は濃いカフェオレでもだんだん薄い色に変化していきます。
そんな変化を楽しむのも金継ぎをした器を使うことの楽しみのひとつです。
また、金属紛を蒔く仕上げと比べて安価となることが多いことも魅力です。

金継ぎの依頼時にお好みの仕上げ方法を選んでいただくこともできますし、どんな方法が良いのか迷っている方にはご相談いたただければいくつかこちらから提案をさせていただくこともできます。
せっかくのお直しですのでたくさん迷って悩んで、素敵な方法にたどり着いていただければ、そのお時間も楽しいのではないでしょうか。
依頼するかどうかは、見積りを見た後に決めていただいても全くかまいませんので、どうぞお気軽にお尋ねください。



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