見出し画像

【関係人口インタビュー】私が地域に惚れたいきさつ【山形県朝日町】(後編)

東京に住みながらも、山形県朝日町に仲間と古民家を借り、地域に定期的に通い続けている七倉さん、九鬼さん。

前編では、町との出会いをお伝えしました。

古民家を借りるに至った経緯はなんだったのでしょうか。
七倉:仙台赴任は2年程度と決まっていたので、次の春から東京に帰る可能性が高いとなったときに、朝日町と離れるのはさみしいな、と思いました。当時、Airbnbが日本で流行り始めていた時期で、「暮らすように旅する」価値観に憧れたこともあり、朝日町に別荘を借りることに決めました。一人だと家賃もかさむので、仲間が欲しいな、と思って、一緒に借りる人を募るための資料を作って、友人たちにかけあって。結局、学生時代の後輩二人と九鬼とその彼女(現・奥様)が賛成してくれて、別荘を借りることになったんです。
借りる場所は、一人で空き家バンクなどである程度目処をつけておいて、翌月にすぐ借りることになったメンバーと下見に行きました。またロッジに泊まって、大雪の中、料理をしながら役場の若手も含めて夜まではしゃいで。
結局家を借り始めたのは、僕が東京に帰った後の5月からです。

九鬼:学生時代の商店街プロジェクトでの経験もあるのか、家を借りた時に外してはいけない地域への挨拶などは七倉がしっかりやってくれました。おかげで近所の人にも認知してもらって、遊びに行くとよく声をかけていただいたりします。
借り始めた直後は、僕がまだ仙台に残っていたこともあり(次の春には異動で東京に帰ってしまうのですが)、メンバーにも声かけして毎月町に行っていました。家のDIYとか色々やることがありましたし。それが落ち着いてからは、2,3ヶ月に1回訪問するという感じでしょうか。結婚して子どももできましたが、定期的に仲間で集まって訪問するようにしています。

画像1

(借りた家のDIY中の様子。町の「大谷(OYA)」地区にあり、「元・八百屋(YAOYA)」の家なので「OYAOYA」と名前をつけたそう)

訪問時にはどのようなことをされているのですか。
七倉:家の修理をしたり、町の人たちと飲んだりです。古民家を借りるようになって、地域の人に挨拶していく中で、町の議員の方と仲良くなりました。その方が行くたびにDIYのアドバイスをくださったり、ご飯を食べさせてくれて、農業の体験をやらせてくださるときもあるんです。山形で友達と会う感覚で行っています。行くときは、古民家を借りたメンバー以外にも東京から友人や知り合いを連れて行くようにしています。延べ人数で30-40人ほどに来てもらったでしょうか。

画像4

(東京の知り合いを呼んで、町のお祭りにも毎年参加しているそう)

まさに地域外からの「関係案内人」ですね。
九鬼:「面白いことを作りたい」という思いで人を呼んでいます。一般的な娯楽のように、与えられたものをただ消費するのではなくて、自分たちが面白いと思うものを作る、イベント企画が楽しいのと似た感覚です。東京の友人たちが、地域の人との価値観の違いに驚くのを見るのが面白い。
どんな人を連れてくれば、「この地域、面白いね」といってくれるか、と考えるのが最近では楽しいです。

お二人が町に通い続ける理由はどこにあるのでしょうか。
七倉:「一つの場所に落ち着いてゆっくりとその土地の人たちと関わること」が楽しいんです。一緒に借りてくれた仲間たちもそこに共感してくれたのだと思います。僕らには、学生時代から旅行が好きで、ちょこっと観光地を見る旅、をすでにたくさん経験している、という共通点があります。普通の旅をし尽くして、むしろこっちからアクションを起こして地域の人と関わって行く方が楽しいという感覚を知っているから、変わっているとも言える僕の古民家を借りる計画にも乗ってくれたのではないでしょうか。
よく世界一周旅行をした人が、いろんな場所を見ることに飽きて、特定の場所に1ヶ月滞在する、というのと同じ感覚かもしれません。

九鬼:「人」が好きなんですよね。地域の人と話すと、自分の価値観と大きく違いを感じられるところがあり、それが面白いと感じます。例えば、東京は貨幣を元にした市場経済ですが、地域では物々交換で贈与経済に近いところが新鮮で。改めてお金や仕事のあり方を考えさせられる機会になります。そういうお互いの違いを「面白がる」感覚がとても楽しくて、今でも定期的に通っているのだと思います。

画像3

(地域の人に家を開放し、飲み物や軽食をふるまったことも)

編集後記
 「地域に別荘がある」というと、地域住民が住んでいない静かな別荘地で家族など限られた人だけで時間を過ごす、という印象がまだまだ強いと思います。ですが、お二人に取材して、「地域の人たちと積極的に交流をし、地域に馴染んでいく」という新たな地域の楽しみ方の魅力を改めて感じることができました。
 お二人が町に今も楽しみながら通い続けているのは、もちろんお二人の、地域の方々を尊重し思いやるというコミュニケーションスタイルのおかげでもありますが、最初に七倉さんと仲良くなり地域に巻き込んでいったヤスコさんや、お二人が来るたびに暖かく歓迎してくれる町会議員の方など、地域に人を迎え入れ、巻き込んでいく力のある方々がいらっしゃることも大きいのだと思います。
 そのような「関係案内人」となる町の担い手が地域にどれだけいるかーそれも関係人口を生んでいくためには重要な視点ではないでしょうか。

画像3

(町会議員の方が持っている田んぼで収穫体験もやらせていただいたそう)

<住民の想いを活かして、関係人口を増やしていくまちを一緒に作りませんか。協業してくれる方々を募集中!>
リディラバ は、外の人が地域に関わっていくきっかけをうむために、単なる観光ツアーではなく、地域コミュニティとの出会いを意識したツアーを企画、運営をしております。
詳細は以下URLよりご覧ください。
http://bit.ly/2X3yIPw

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?