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絹の手触り 24.04.20

本日は洋服のお直しやら着物の整理やらしていました。
着物は、姉が自分ちの部屋を空けたいから自分の着物を預かってほしいと言ってきたのでやむを得ず場所を開けるのに片付けていました。
うちだって溢れかえってるんだよ勘弁してくれ。
やっとの思いで整頓しているのに、自分ちで管理できなくなるほど買わないでくれ。どんなけ金持ちなんだよ。新しいの買うくらいならうちにある着物着てくれよ。
などと愚痴りながらやっていたのですが、できるだけ残したいと思いつつここまで来ましたが、もう見切りをつけて、リメイクできそうなものはほどいていこうかなと思いました。
まずは喪服。これからもまず着ることはないであろう喪服。
帯もそうなのですが黒で無地の生地はなんにせよ使いやすいです。
夏物の喪服もちゃんと夏物の絽や紗で作られているので、これも洋服にしやすいです。
ぶつぶつ文句を言いながら整理をしていましたが、質の良い絹の手触りは心地よくいつのまにか機嫌が直っています。

着物はそんなに好きではないし、着るのもめんどくさいしリメイクもできたらしたくないんですが、美しい文様や、昔の質の良い絹の手触りは本当に好きです。そこだけは本当に好きです。
みなもと太郎さんのエッセイ漫画で、デザイナーの仕事をしていた呉服商の支店が近くにできたので、そこに赴任してきた同僚を訪ねたところ、久しぶりに触った絹があまりにも昔と違って驚いた、という逸話がありました。かつての同僚曰く、蚕のえさになる桑の葉を育てる肥料が違うので、それが蚕の糸にも影響し昔とは質が変わってしまったとのこと。ちなみにそれが読めるのはこの本の「感触者たち」というエピソード。

それを読んでいたのは着物に関わるより前で、印象に残りつつピンとは来てなかったのですが、家で古い着物に触れるにつれ、ああこの事か、と分かるようになりました。
古い絹は柔らかく光沢があり軽く、しかしシャキッとしており、今の正絹とは比べ物にならないものでした。静電気もなく触るとひんやりします。
以前古い喪服をつぶしてワンピースに仕立てましたが、質の良い絹を使うだけでめっちゃ良いものに見えましたし、こんな絹は洋服地でも多分ないです。

見出しに使ったのは古いろうけつ染めのちりめん生地ですが、これも柔らかく軽く、触ってると幸せな気持ちになります。染もきれいなんですよ。
そんなのを見つけると洋服にリメイクしたいと母は言うのですが、今はもう作れない上質な絹はできるだけ後世に残してゆきたいと思っています。
着物に関して私がやりたいのはそういうことなんだなと書きながら思いました。民俗学的な観点から何とかできないものだろうか。

本日は、自分でしまい込んだであろう、麻の夏物の長着とちょっと古めの絹の羽織が出てきました。まったく記憶になく、写真をあさっても出てこないので明日にでも撮影して久々にXを更新したいと思います。
羽織は母親がコートにしたいと言いましたが私がNGを出しました。
母はきれいな着物を私利私欲でどれだけ台無しにしてきたことか。今ある服を大事にしてくださいと圧をかけておきました。

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