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【マガジン97】『(無料公開中)お手軽コンサルブームの終焉』(2022/04/16)

2020年になってから動乱の時代になり、2022年になった今でも、様々な歴史的イベントが起こっています。

それはある意味で”トレンド”ということでもあります。世間の話題がそれ一色になるという意味で。

もっとミクロに見ると、例えばTwitterなどでも、同じように流行り廃りがありつつも、総じて思うのは「やっぱり流行りのものはどこまで行っても“流行り”であって本質的ではないよな」と思うわけです。

今回のタイトルもそれをひと言で表したようなタイトルであり、分かる人はよく分かってもらえると思います。

というわけで、今回は最近の世間を見て思うことを徒然なるままに書いていきたいと思います。

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お手軽コンサルブーム

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ビズ〇ーチに登録すれば無限にプラチナスカウトのメールが飛んでくるのですが、その大半がコンサルかM&Aの会社です。

私は新卒3年目までに期間を空けて3回転職活動をしたこともありますが、その際も上記画像の中に書いてあるようなコンサルの募集がありました。

数年経っても転職市場は変わっていないようです。

会社を辞める若手社員のうちの何割かは有名なコンサルへ転職を決めています。私はこの現象をコンサルブームと理解しています。

なぜこんなにもコンサル企業が募集を永遠続けているかと言うと、理由はシンプルに2つ。

①大量に採っても辞める日人が多いから
②大量に採ってもコンサルが足りないから

これですね。

②に関しては、「それって需要があるってことじゃん」と思う方もいるかもしれませんが、実態はただの下請けです。

高給取りのコンサルが足りないんじゃなくて、低賃金で割に合ってないけどよく働くコンサル(=下っ端)が足りていないのです。

これは発注者側の視点に立てばよく分かります。

大手メーカーからしたら、新しいシステムを導入したい時に、社内の中高年を頼るわけには行きません。どうせ出来ませんから。

また、新しい組織編制にして不要な社員を減給・降格・リストラしたいとなった時に、「コンサルが決めたことだから」と言えば、経営陣は言い訳が出来ます。

新しいプロジェクトを社内で発足させて目標達成したい時に、新しく社員を雇用するよりも、期間限定で参加してくれて且つ出世したくてやる気のある若手のコンサルを使いパシリに出来るのであれば、コンサルに頼みたくもなります。

これは私がちょうど今、発注者側の視点で経験していることでもあります。笑

そんなわけでコンサルへの依頼は下請けとも言える汚れ仕事が多く、その中で成果を出し(正確にはクライアントを儲けさせ)、上の階級に上がらなければ、例え有名コンサルと言えども、割に合った仕事にはなりません。

「それでも勝負したい」

こういう人がコンサルに入ってくるのですが、お手軽コンサルブームに乗って入ってくるような人は、本当にレベルが低いので上には上がれません。

私は世界的に有名なコンサルの人たちと経営戦略会議の卓に付いたことが何回かありますが、申し訳ないですが、あまりにもレベルが低くて「議事録取るだけなら私でも出来ますねえ。」と思ってしまいました。

私の会社レベルですと、世界的コンサルとは言ってもヒエラルキーの1番下のソルジャーがあてがわれるのですが、このレベルともなると、正直大学生のグループディスカッションの方がレベルが高いまで有り得ます。

こうして考えると、こういったお手軽コンサルタントが長く生き残れるとは到底思えず、恐らくヒエラルキーの1番下でも年収800万円前後は貰っていると思いますが、かなりリスクのあるポジションに身を置いているように思います。

ただでさえそういったコンサルは転職市場で毎年大量に補充されていますからね。コモディティ化しています。


お手軽フリーランスブーム

アベノミクスが始まってから、市場にお金がバラまかれたことによって、信用創造が進み、「ん?それって道徳的にどうなの?」というビジネスにまで付加価値が乗るようになりました。

・お金の稼ぎ方を教える代わりに20万円払え
・俺たちの仲間になりたければ毎月1万2000円払え
・吾輩はフリーランスの王である。仕事回すから下請けになれ

こういったものも、需要があるんですから立派なビジネスです。

私のこの縦の深みのない、単なる横の知識だけのマガジンも、上のビジネスと本質的には同じでしょう。

こうやってお手軽にフリーランスになれてしまう時代が到来しているのは、「信用創造」がキーワードなように思います。

「会社員はオワコン」

これを合言葉に、挑戦心溢れる若者が立ち上がり、お手軽フリーランスになるのです。

個人的にはこれに同意していて、70%くらいの会社員は不幸な毎日を送っているのでだったら辞めて独立起業に挑戦した方が幸福度が高いように思います。

しかし、フリーランスの世界もそろそろ淘汰の波がやってくる気がしています。世界的なインフレの状況で、アメリカFRBは金融緩和から、金融引き締めを開始しようとしています。

これはつまり信用創造の逆、信用収縮なため、「ん?それって道徳的にどうなの?」というあぶく銭ビジネスは段々と文字通り、泡になっていくと思います。

適当にブログを書いてアフィリエイトだとか、適当にYoutube動画を作ってアドセンス広告だとか、家電量販店やリサイクルショップを回って転売ヤーだとか、SNSマーケティングコンサルだとか。

どれもこれも、大元が儲かっているから成り立っているビジネスで、例えばGoogleが「Youtubeの広告って大して利益に繋がらないな」と思えば、Youtubeアドセンスの単価はさらに下がります。

SNSマーケティングコンサルだって、段々と「あれにお金払って稼げてないヤツってただの情弱じゃね。10万円払うお金あるならそれを自己投資に使うべきでしょ」といった風潮、この芽がすでに出てきています。

フリーランスの王の下でフリーランスというのも、自分は完全にコモディティ化しているという本末転倒な人は多いと思います。

インスタグラマーで稼いでいるように見えても、そのオリジナルブランドサイトのアクセス数を調べてみると(誰でも調べられます)、悲しくなるようなPV数なんてことはザラです。


真っ当に起業しているように見える人も、苦戦しているのが伺えます。

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為替の基礎知識に関する情報発信をしている戸田さんの苦戦は初期からウォッチさせていただいております。

彼の著書「米中金融戦争」は非常に良書なのでオススメ。

しかし、あの本に彼の人生の大部分がつぎ込まれてしまっており、あれ以上の良質な情報と言うのはなかなか毎日アウトプット出来るものではありません。

言っていることは経験に基づいた真面目な内容なのですが、集客に苦戦をした結果、上記のようなちょっと炎上しそうな賛否両論の内容を発信することで、「注目を浴びる」という泥臭いムーブをしています。

真っ当な内容だけだとYoutubeのように登録者500人が限界で、だからこそ、目立つような、情弱が集まるような派手なアクションを起こす必要があります。

メディアの露出も果たし、Twitterのフォロワーがいつの間にか3,000人を超えていたので個人的には良かったなと思います。(ただし、戸田さんが為替に詳しかったとしてもトレードが上手いとは思えませんので、このツイートはリスキーかと・・・)

いずれにしても、こういったメカニズムを知らない人が見れば、「戸田さんは資本主義に魂を売った。炎上商法をする銭ゲバ」というように見えます。

個人で生きるのは色々な苦労があるのです。

自分の父親がここまで必死にやって家計を支えてくれるのであれば、それは黙って見守ってあげる方が良いと思います。(何とも言えない感情が生まれてしまうものですが。。。)

①まずは注目を浴びる
②情弱を集める
③自分を信じてくれた情弱たちを正しい道に乗せてあげる

洗脳は、間違った使い方をすると危険ですが、正しい道徳的な道に導くためなら許されるということなのかもしれません。(人類の永遠の命題)


お手軽スピリチュアル

スピリチュアル界隈もここ2年でだいぶマーケットが成長したように思います。

・前澤社長は実は宇宙に行っていない
・実は宇宙は存在しないウソ
・トランプは悪のDSと戦う光の戦士
・脱炭素、ESGが悪の根源

どれもこれもPV数を稼ぐにはもってこいの内容です。

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確かに、宇宙に行ったことある人って殆どいないですもんね笑

よくこういう説を考え付くもので感心します。


「某注射で5G接続されてしまう」というような説や、「これを打つのは人口削減計画の思うがままだ」というような説なども出回りました。

私は若者の注射連発には懐疑的ですが、mRNAは人類の素晴らしい発明だとも考えています。よくスピ界隈の人と間違われてしまいますが、私はあくまでも中庸なだけであって、スピ界隈の行き過ぎた考え方は否定します。

マスクの有効性も理論値は97%かもしれませんが、表面をぺたぺた触ったり、鼻の周りもしっかり覆う、ウレタンではなく不織布を使うという「正しい使い方」が出来ている人が全員でない以上は、世間で言われているまでの有効性は感じない。屋外でnot密なら付ける必要ない。

そういう意味でマスクを否定はしますが、不織布のウイルス遮断性を否定するわけでもありませんし、全く意味ないとも思っていません。

そういった微妙なニュアンスが分からない人が世界には多いことがここ2年で分かりました。

そりゃお手軽スピリチュアルにも嵌ってしまうわけです。


残るのは本質的なもの=プロ

こういったものに限らず、流行りのモノとはいうのは「あくまでも流行り」であって、長い間残るものではありません。

もちろん中には長年続くものもありますが、それは「とことんその分野に振り切ったプロだけ」です。

転売ヤーなら、家電量販店とメルカリで利鞘を抜くような薄っぺらい転売ではなく、海外の人と組んで、越境アービトラージができるような、つまりは貿易商社みたいなことが出来る人たちでしょう。

Youtuberなら登録者1万人前後の微妙な数ではなく、5万や10万を超えるようなインフルエンサーでしょう。

10万人を超えるようなYoutuberはかなりのこだわりを持ってやっていますから、お手軽Youtuber、お手軽動画編集者レベルでは長年は続かなくなる気がします。

お手軽フリーランスは大部分が日本の会社で疲弊しているサラリーマンと変わらないことになるでしょうし(すでになってる)、もちろん会社に残っているお手軽サラリーマンも、出世しない限りは疲弊したキャリアを送ることになるでしょう。

もちろんコンサルで生き残れるのも、単に議事録を取るだとか綺麗なパワポを作れるコンサルではなく、「クライアントを儲けさせられる」という起業家や投資家と言っても過言ではない本質的な「コンサルタント」でしょう。

インスタ映えのする流行りの飲食店や旅館が長く栄華を極められないのと同じで、本質的なものはジワジワと口コミで広がるようなモノやサービスです。

その本質はこの人類の長い長い歴史で証明されていますから、

①長く生き残りたいなら焦らず本質的なことを続けないとアウト
②流行りに乗るなら短期で突き抜けないとアウト

このどちらを目指すのか、ここは自問自答が必要になるでしょうね。


おわりに

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というわけで、今回は「流行り」について書いていきました。

但し、「流行りに乗るな」というのもちょっと違うと思っていて、流行りに乗って短期で利益を獲得するというのも時には重要です。

結局はバランスが大事ですし、自分自身がどう立ち回るのが納得なのかというのも大事です。

流行りの服を着ないと気分が高まらないのであれば着るべきですし、どうせ流行りが終わったら捨ててしまう服を買うのはもったいないと思うのであれば、トレンドレスな服を着れば良いです。

結局は答えは自分の中にしか無いのですが、こういったことを理解せずに思考停止で流行りに乗って、後から後悔するというのは不幸なことです。

こういった内容は投資の世界で考えるならば、短期目線か長期目線かということですね。

「ラストマンスタンディング」という言葉があるように、最後に笑っていたいならば常に本質だけを追い求めて行きましょう。

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