10年という分かりやすい区切りでもあるから、ここ数年よりも東日本大震災に関する話題がよく聞こえてくる。
私は何となく、映像を目にしないようにしている。
あの頃、津波の映像をよく目にした。
繰り返し、見るともなしに見せられているだけで気分が落ちていくのを感じてからは、ニュース番組を視聴しないようにした。
地震で崩れた映像なら他の大きな地震でもたくさん見せられたはずだけど、津波の映像はダメージがちがった。
海から進行してくる波が町を破壊していく、その現在進行形の映像が崩れた結果の映像よりも暴力的なのは当たり前で、繰り返し目にするだけでいつの間にか私の無意識にも入り込んでいた。
普段の波の、海の姿を知っているからだろうか?あからさまな武器、あるいは飛行機が建物にぶつかる映像よりも、ずっと深くダメージを受けていた気がする。そしてそれがダメージだったと、知るのも時間が経過してからであったりする。
今は伝わる速度が速すぎるから、自分で見たいものを選んでいるつもりでも、入り口を絞らないと、あっという間に情報にのまれてしまう。
私は高台の、森の中でずっと焚き火をしていたい。つながった糸をひとつひとつ焦がし絶ち、誰ともつながらない世界で本を読むだけでいい。
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