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♯1 クラスをスムーズにまとめることが全てなのか。


クラスをまとめることは難しい。
というのも、全体に指示を出して従わせる、という考え方自体が、私の中で好きではないから。


恐怖によって、従わせるのは嫌だ。
ご褒美で吊るのも嫌だ。


これはしたくない、という保育はあるのだけれども、その思いにしがみついている間に、クラスがどんどん崩壊していくこともある。


恐怖や、ご褒美をちらつかせて言うことを聞かせる、それ以外の方法は何かないだろうか。


それを叶えるための方法を、私はまだ、見つけられていない。

ただ、試行錯誤して、あらゆる可能性を実践していく。


今回は、私のこれまでのトライアンドエラーから、見えてきたことについてまとめてみた。


こうして文章にすることによって、更に見てくるものもあるかもしれない。



◇指示はいきなり出さない


「片付けて」「集まって」とすぐに言ってしまうと、子どもの心がその気になっていないのに、突然言葉だけが降ってくることになる。


大人の要求をすぐに聞くことで、愛されようとする子どもは、つい頑張り過ぎてしまうだろうし、自分の確固たる思いがある子どもは、大人の要求に逆らってしまうかもしれない。

乳児には特に、イヤイヤ期の子どもだっている。


言われた通りに行動した子は、日々、頑張り過ぎたり無理をする。
言われた通りに行動しなかった子は、それが原因で怒られたりする。

誰にとっても何も良いことはない。


だからこそ、考えて辿り着いたのは【指示をいきなり出さない】ということ。


↓ ↓ ↓



①導入を考える

次の活動にあった、手遊びや歌遊びをして子どもが自然に集まれるようにする。
導入は本当に大切だと思う。

特に、転職して新しい保育園に着任したばかりの頃、子どもとの信頼関係がなく苦労した。

いきなり、「さあ、朝の会をするから集まりましょう!」と言っても、誰も集まらない。
保育士の言葉が耳に入らず、自由に立ち回る子ども達。無秩序で、落ち着かない空間が広がっていく。

そんな時に、気付かされたことは、【導入】の大切さ。

導入は、本当に色々と幅が広い。

・手遊び
・ペープサート
・絵本の読み聞かせ


・・・などなど。


その時に合った、子どもの興味を自然と惹くもの。


褒められるから。とか、怒られるのが怖いから。
とか、そういう理由で《先生の言うことを聞かなくちゃ》という子どもが少しずつ減っていった。


本当に惹きつける導入は、子どもが自然に集まってくる。


導入の時間を楽しく過ごし、気付いたら子ども達の心が落ち着いていた。そんな流れを作っていく。

子ども達は保育士の笑顔に注目するようになる。


だから私は、1日が始まる前に、【メインの活動】と【導入】を決めておくようにする。

楽しい!を子どもと共有してから始める活動は、子どもの笑顔がより輝くように感じるようになった。


②子どもの心の切り替えやすいタイミングで声を掛ける

ふとした時に、遊びの切れ間がある。
ちょうど一つの遊びへの集中力が切れてきた時、声を掛けるのであれば、そうしたタイミングであった方が良い。

例えば、私のクラスでは、こんな声掛けが良くある。

「連絡ノートにシール貼るよ」(出席帳のこと)
「トイレに行ってきて」
「○○の時間だから片付けて」

保育士のタイミングで声を掛けるのではなく、子どものタイミングを考慮して声を掛けること。
10秒違うだけでも、子どもの行動のスムーズさは大きく変わる。

少し待つ。
ただそれだけのことで、子どもが動くに当たっての負荷を大きく減らすことが出来るということが分かった。


大人だって同じこと。
「今、○○を楽しんでいて良いところなんだよね」と思っている時に、相手の都合で自分の行動を指示されるのは、とんでもないストレスなはず。

だから、声を掛けるときは配慮する。
自分都合を一度置いておいて、相手都合を考える。

いつだったら、耳を傾けてくれやすいかな?
と、ただそれだけの配慮で、保育はずっと楽になる。



③身に付けて欲しい力を、行動で示す

言葉で伝えるよりも、行動で伝えることの方が、長い目で見ると早かったりする。

それは、保育の場ということではなく、保育以外の時間のことも含めて。
子どもは、保育士の行動をよく見ていて、それを行動指針としているように思うから。


・玩具や絵本を、普段から丁寧に扱うようにする。
・保育士同士での会話で、優しく穏やかな言葉を使う。
・「おはよう」「ごめんね」「ありがとう」など、挨拶をする。
・戸外から帰ったら、泡できれいに手を洗う。



働いていてよく見るのが、
保育士自身がおもちゃを投げ入れながら片付けたり、同僚にキツい言葉で接したりする姿。


「絵本を踏まないで!」
「横入りはいけません」
「お友達に優しい言葉を使いましょう」

などと、言葉で怒ったり指摘したりするするよりも、よっぽど子どもの心の奥に響いていくと思う。

実際に、担任の普段の姿と、クラスの様子はどこか似ている。

優しさを身に付けて欲しいのならば、保育士自身が実行していくこと。



◇まだまだ、試行錯誤の途中。

素材 ハリネズミジェンガ

[クラスを上手くまとめられること]=[出来る保育士]とは思っていない。


集団生活を過ごすにおいて、ストレスの少ない環境を作り上げられることは、保育士としての大きな技量だと思う。



【保育士の都合で設定した活動に、子どもをはめ込む】のではなくて、

【子どもの自発的な行動の先に、設定した活動がある】

そんな環境に出来たならば、何よりも理想の状況と言えるのかも知れない。


保育園に来る子どもは、大きくても、それでも5歳。

自分自身で切り開く未来もあるけれども、身近な大人によって生み出された環境を、どっぷりと楽しむ権利がある。

どんな環境を作れるか。

無理して、背伸びして、強要されて過ごす場なのか。
それとも、伸び伸びと、笑って、楽しみながら生活する場なのか。

大きく違う。

【クラスをスムーズにまとめる】ことを第一に考えて保育に入るのではなくて、

【子どもが過ごしやすい環境】を追求していくことで、結果的に【クラスがスムーズにまとまっていた】というような、そんな環境を作っていきたいと思う。

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