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ポッドキャスターがJASRACに許諾申請した話

自分の番組内で既成曲を演奏した場合、JASRACに楽曲利用許諾を申請する必要があります。その機会があったので、調べたことや契約の流れなどを備忘録としてまとめておきます(2021年2月現在)。

「音源をそのまま流さないから申請不要」ではない

「CD音源をそのままポッドキャストで流すのはさすがにマズそう」と考える方がほとんどだと思いますが、では自分で演奏したものを流すのはどうなんでしょう?
結論から言うとダメです(´・ω・`)
ちなみに、替え歌は「著作権(財産権)」のみならず、場合によっては「著作者人格権」にも抵触する場合があります。

YouTubeやInstagramはJASRACと利用許諾契約を結んでいるため、自分で演奏した音源を流すぶんには、ユーザーが個別にJASRACと契約する必要はありません。ただし、営利目的のコンテンツだったり企業が作成したコンテンツは例外となります。

JASRACサイト内に「利用許諾契約を締結しているUGCサービスの一覧」というページが公開されていますが、音声配信サービスはこのリストに含まれていないようです。Stand.fmRadioTalkはJASRACと利用許諾契約を結んでいるので、音声配信サービスを使っている方はそれぞれのサービスの公式ブログなどをチェックしてみた方がいいかもしれませんね。

ちなみに、Radiotalkの番組はそのままポッドキャストに配信できるのですが、その場合はどうなるんだろう?曲の部分が無音になったりするの?
知ってる方がいたら教えてください。

仕方ない、JASRACと契約しよう

特定の音声配信サービスに依存しないポッドキャスターは、自分で演奏した既成曲を番組内で流したければJASRACと契約せざるを得ません。野良って辛いね!
契約の流れは以下のとおりです。

その1 使用料を確認する
まずは「使用料早見表」ページで使用料を確認しましょう。個人+非商用の組み合わせなら、1曲あたりの年間使用料は1,200円です。月単位で契約する場合は月額150円。
これを高いと見るか安いと見るかは意見が分かれそうですね...。
https://www.jasrac.or.jp/info/network/side/hayami.html

非商用でも、契約者が教育機関だったりサークルだとまた違った料金設定になります。

その2 JASRAC管理下かどうか確認
使用料を払う覚悟ができたら、JASRACの作品データベース検索サービスを使って、その曲がJASRAC管理下にあるかどうか確認します。
http://www2.jasrac.or.jp/eJwid/

自分がどのケースに該当するのか不安なときは、使用料診断サービスを使うと手軽に確認できます。

その3 J-TAKTに登録
J-TAKTのアカウントを作成します。
https://j-takt.jasrac.or.jp/default.asp?seq=0
ここで申込人の住所や連絡先、楽曲を含む音声を配信するページのURL*などを入力します。契約期間は自由に設定できます。

* ポッドキャストの場合はホスティングサービスが「配信元」にあたるかと思うので、私はAnchorのマイページのURLを入力しました。

その4 申込書に押印&郵送
入力を進めていくと、最後に「音楽著作物利用許諾申込書(インタラクティブ配信)」というページが表示されるので、印刷。
押印して封筒に入れて郵送したらひとまず終了。おつかれさまでした。
...というか、申込書の受付もオンラインでやってくれればいいのにねえ。

許諾マークを掲載しよう

申込書を郵送して数日待つと、J-TAKTに登録したメールアドレス宛に「許諾通知」というサブジェクトのメールが届きます。このメールに許諾番号が記載されており、許諾マークの画像が添付されています

メールには「許諾マークは、お申し込みいただいたサービスのトップページに掲載していただき」と書かれているのですが、Anchorのマイページは自動生成されるので、勝手に画像を埋め込むことはできません。

カバーアートに組み込むやり方しか思い付かなかったので、該当回のカバーアートに許諾マークと番号を埋め込みました。カバーアートは小さく表示されてしまうので、許諾番号を読み取ることはできませんが...。とりあえずこれでいいのかな?

許諾マークを掲載し、後日郵送されてくる請求書に従って使用料を支払ったら、ようやく全ての手続きが完了です!

それでは聴いてください!

手間暇かけて(お金もかけて)許諾を得た結果、ようやく自分のポッドキャスト番組で堂々と音楽を使うことができました。苦労の結晶を聴いてもらえたらうれしいです。「全部聴くのはめんどくさいなー」という方は、11'40"あたりから数分だけで良いのでぜひぜひ。
ゲストの素晴らしい歌声をお楽しみいただけます。

法律的には上記のとおりなんですが、「個人が楽しんで演奏しているくらい、大目に見てくれればいいのになー」というのが本音です。
たぶん、ベン・E・キングは笑って許してくれる。

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