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彼との二回目のクリスマス

今年のクリスマスはイブはちょうど日曜日。
だから去年よりもさらに憂鬱だった。

もちろん会えるなんて淡い期待もしていないけど、
それでも少しでいいから顔が見たい、そう思い彼に予定を聞いてみた。

「クリスマスどうするの?」
23日はクリスマスの買い物に行って、24日は家で過ごすかな。

「いつもは実家に帰るのに?」
さすがにこの日は一緒にいないと怪しまれるし…
たぶん買い物に行きたいって言われるから。

彼は毎週土曜日は一人で実家に帰る。
祖母が亡くなってから、祖父のために時間をつくるようになった。
広い家で一人暮らし。足も悪いため、買い物も彼が行った時に一緒に連れて行く。庭の手入れをしたり、掃除をしたり、二人でおばあちゃんの話をしたり。
私はそんな優しい彼が好きだ。
彼とおじいちゃんとの平和な話を聞くのが大好きだ。

車での行き帰りの時間は私に必ず電話をくれる。
それが辛い週末を乗り切るための私のパワーの源になっていた。

だからそれも出来ないと言われたことに、寂しさとともに疑問が生まれ、彼を責めた。
「どうして奥さんには実家にいくから無理って言えないの?
私には奥さんが仕事でも、土曜日は必ず実家に帰るからって会えない理由にするのに。」

それは家族と不倫相手との違いなことくらい頭では理解している。
それでも私は聞かずにはいられなかった。
結局何をするにも奥さんが優先、彼の中でそこはブレることはない。

「そんなこと言われても、家族だからとしか言えない。
それで機嫌よく過ごしてくれるなら…いいと思ってる。」

23日、24日は地獄のようだった。
彼が奥さんと買い物に行っていること、一緒にケーキを食べていること、きっとプレゼントを選んでいること、全てが苦しくて仕方がなかった。

家族なら当たり前のこと。それなのに焼きもちをやく自分が嫌いだ。
私は子供たちのために楽しいクリスマスにしたい。
笑顔で過ごしていたい。だから泣いちゃダメだ。

彼にはプレゼントは渡せない。
奥さんに気付かれる可能性があるから、結局普段使うことは出来ない。
付き合ってすぐに買ったお揃いのペアリングも、私と会うときは必ず身に付け、それ以外はいつも持ち歩いてくれている。
形に残るものをあげても気を使わせるだけだ。

会えるわけでもない。
べつに考える必要もないか…
気にしないようにしようとしてもそんなの無理なこと。
自分からは連絡出来ない。

そんな私を察してか、彼は奥さんと過ごしている間も合間を見付け何度も連絡をくれる。
今どこにいるから。
もう少ししたらお家に帰るから。
なにも心配するようなことないから。
リコが大好きだから。

ずっと私を気にしながら行動をしてくれてるんだって、そう思うだけで自分だけが彼を想っているわけではないことが分かる。
でも好きだよ、会いたいよの言葉がいつも以上に苦しい。

ゴメンね。
全然気にしなくていいよって言えなくて…

私は2人の子供たちとクリスマスを楽しんだ。
美味しいものを食べて、サンタさんからのプレゼントに喜ぶ子供たちを見て幸せを感じた。

そして25日は当たり前のように会社に行き、定時で帰宅した。
すると彼から電話が。

「今から会いに行ってもいい?」

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