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『ビジネスコーチング』【コーチング】

【本書の情報】

タイトル:『[入門]ビジネス・コーチング 「一方通行」指導から「双方向」コミュニケーションへ』
著  者:本間 正人
読書期間:2022年2月2日~2月4日
媒  体:本(179ページ)

※読書感想文です。

【はじめに】 

 こんにちは。
 皆さんは【コーチング】という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
 Wikipediaを引用すると、

"進的アプローチ、指導的アプローチで、クライアントの学習や成長、変化を促し、相手の潜在能力を解放させ、最大限に力を発揮させること目指す能力開発法・育成方法論、クライアントを支援するための相談(コンサルテーション)の一形態。"
引用:コーチング

とあります。

「クライアントを主体として、考えを引き出しながら目標へ導く」といったところでしょうか。

私が人生で初めてこの言葉を知ったのは2年前の2019年、コーチングをサービスとする会社と関わることがあったときです。

それまでは【コーチング】というとサッカーなどでプレイヤー同士が指示を出し合うようなイメージしかありませんでした。

今回、本書は偶然知人から借りることになったのですが、ボリュームも多すぎず、具体的な事例が載っていてすごく勉強になったと思います。

【コーチング】について体系的に説明している場面もありますが、それを1から10まで真剣に覚えなくても、具体的会話例や対人関係の考え方について紹介しているので、さらっと読んだだけでも、「明日からこういうモノの言い方をしてみよう。」と思うことができます。

以下からは、私なりのアウトプットを行ってみます。

1.コーチングとカウンセリングの違い

コーチングとの違いについては、本書ではカウンセリング以外にも、コンサルティング、ティーチングなどと比較していましたが、中でも最も印象に残ったカウンセリングとの違いについて紹介します。

■本書での解説
コーチング:未来に向かってhow
カウンセリング:過去に向かってwhy

カウンセリングはもともとフロイトにはじまる心理分析に源を発するため、現在の問題に対して過去の出来事から原因を特定するところがメインとなります。
過去を遡ってwhyを特定できたとしても、それだけでは現在の問題が改善しないこともままあります。

一方でコーチングでも過去を見ることはありますが、それよりも、今から未来に向かってどうするべきか、行動計画を立てるのをサポートしていくことにウエイトを置いています。

■個人的な感想
カウンセリングがフロイト的な原因論をベースに考えていることは理解できました。フロイトといえば原因論というシンプルな方程式が私の中にはあります。ちょっと軽率かもだけど。
また、コーチングは過去の原因を特定するにとどまらず、そこから先を変えることがポイントになるいう点も納得できます。
さらに、お互いの向いている方向を端的に一言で比較している点もすっと腹落ちします。

現状やこれからを改善するためという目的はどちらも同じですが、アプローチの向きが異なり、さらにそれらは組み合わせることで効果が最適化されることもあると思いました。

参考までにコーチングとコンサルティングの違いについても触れられていたので紹介します。

コーチング:普遍的な技能
コンサルティング:専門分野に限定

コンサルティングという言葉にはもっと広い意味があると思っていた私にはまだ理解ができませんでした。


2.GROWモデル

出てきました。イニシャルを繋げて作った言葉です。この界隈でよくありがちです。でも覚えやすいしなんとなくかっこいいです。アクロニムって言うみたい。

コーチングを行う際に必要な要素、流れのようなものです。

「G」Goal:目標の明確化
「R」Reality/Resource:現実の把握/資源の発見
「O」Options:選択肢の創造
「W」Will:目標達成の意志

これだけだとさすがに理解度が低いですが、本書ではわかりやすい会話例文が載っていました(会話文全部をここで引用はできませんが。)。

各要素の解説は次に載せますが、上手な会話例文と上記の一覧だけでも十分理解ができるものとなっていました。

「G」Goal:目標の明確化
最終的な大目標からまずとりかかるべきの小目標へブレイクダウンすることです。
例:「本を書き上げる」という大目標のために、「今日は20ページ書く」という小目標を設定する。

「R」Reality:現実の把握
目標に向かっている現在の立ち位置を把握することです。現在地と目標のギャップを知るために必要です。
例:最近は1日に何ページ書き進められているか。小目標に対しての進捗はどうか。
「R」Resource:資源の発見
目標達成に使える「ヒト、モノ、カネ、情報、時間」がないか確認します。
私の場合はこの確認の段階でヒトの資源に気づくことが多いです。
例:文章の推敲をヒトに任せて、自分は書くことに集中する。

「O」Options:選択肢の創造
主にブレインストーミングを用いて選択肢の幅を広げます。
私はブレインストーミングが得意ではありません。どうしてもその先の「できるか」「できないか」を考えて始めて時間をロスしてしまいます。そういう時間でないことは理解しているつもりなのですが。

「W」Will:目標達成の意志
単純なことですが、やる気の確認、モチベーションを保つための意思確認です。「いつまで」ではなく「いつやるか」とポイントでスケジューリングすることが効果的だと思います。
例:「早速動き出しましょう。○○さんにはいつ電話しますか。」

本書ではGROWモデルはコーチングの流れとして紹介されていましたが、単品で見ても日々の仕事に活かすことのできる考え方だと思います。
特に、Will:目標達成の意志は、チームで仕事をする際、全てのタスクでは現実的ではありませんが、重要なポイントで活用していくと間違いが減るはずです。


(おまけ)【コーチング】の由来

本題からちょっと逸れてコラム的なお話をしたいと思います。

そもそも「coach」という言葉は1500年代のアメリカで、「馬車」という意味で誕生しました。
そこから、「大切な人を、現在その人がいるところから、その人が望むところまで送り届ける。」という意味の動詞に派生しました。

1880年代にはボート競技の指導者が「コーチ」と呼ばれ始め、そこからスポーツ分野の中で広まっていきました。

1950年代にマネジメントの分野で登場し、1992年にはプロのコーチを育成する大学が誕生するまでになりました。
以上は全てアメリカでの話です。

日本では1997年にコーチングのサービスを提供する会社が現れ、今日ではコーチ専業のプロが活躍し、メディアでも取り上げられ、社会でも関心が高まってきている状況です。


3.ケースステダィ

様々なタイプの部下を例として、いくつかシナリオが掲載されていました。
ここで全て引用するのはやりすぎだと思うので、いくつかシナリオをピックアップして簡単な解説を紹介します。

【シナリオ1】指示待ち族の新人ケース
相手に対する上司の考え:
言われたことはできるが、冒険して失敗するくらいなら何もしない方が良いという考えを持っている。自発的行動力が乏しいので、もっと自分で考えて業務を行ってほしいと思う。

(1)「最近調子はどうだい?」ではなく、「今週はどんな業務をしてきたんだい?」というようなリストアップ系の質問から行う。
(私の意見)まずは会話を成立させてコミュニケーションを取り始める流れを作るみたいです。確かに、答えが決まっている質問の方が誰でも答えやすいですよね。

(2)「気を利かせて臨機応変に仕事に取り組んでほしい」だけではなく、「自分も新人の頃こうだったが、こういうふうに考えるようにしたら上手くいくようになった。」というふうに、自分と相手を重ねて話す。
(私の意見)確かに自分とは遠く離れた人の意見というのはどこか自分には関係ない気がしてしまいがちですから、上司も自分と同じような新人時代があったんだという親近感を沸かせてからアドバイスすると、素直に聞くことができるかもしれません。

(3)「お手本を見せる」だけではなく、「相手に実際にやってもらって、フォローする」
(私の意見)これは本当にその通りだと思います。実際にやってみると、聞いただけの情報よりも多くの情報が手に入ります。実際に手を動かす機会は重要だと思います。できればそこに上司のフォローがあれば思い切ってチャレンジすることができますね。

【シナリオ2】協調性にかける理屈屋のケース
相手に対する上司の考え:
一人で行う仕事は能力が高いが、協調性が乏しく、指導を素直に聞き入れず、理屈を並べて反発することが多い。上司として、チームワークの重要性を理解させたい。

(1)能力が最大限に活用できる方法を、相手に考えさせる。
相手に自分自身の強みと弱みを理解してもらい、「協調性」という弱みの克服について一緒に考える機会を作る。

(私の意見)メンバーの強み弱みについて上司と共有するのは良いことだと思います。

(2)理論的にせまるのではなく、義理・人情をからませる。
「能力が高い」とか「仕事がはやい」とかそういう評価も大切ですが、こういうタイプの相手は言われなれていて響きません。それよりも、「責任感がある」とか「誠実だ」という人格について評価を行った方が、「エースとしての自覚」を持ち、モチベーションが上がります。

(私の意見)「こういうタイプの相手」というのはひとくくりにしすぎている感があって共感できませんでしたが、能力にも人格にも目を向けて評価を行うということは大切だと思います。

(3)部下を指導する経験を積ませる。
能力が高いけど協調性のない人は、どこか他人を見下しているような場合があります。しかし、多くの仕事は一人で行える範囲には限界があり、チームで仕事をする必要性は必ず出てきます。部下を指導する経験の中で、管理することの難しさを感じることができれば、逆の立場になったときに、素直に意見を聞き入れるようになるかもしれません。

(私の意見)能力が高い人はどんどん次のステップ、職責へチャレンジすべきだと思います。専門的なスキルを磨きエキスパートを目指す道も良いですが、組織には管理職も必要です。どんどん新しいことに挑戦してもらい、壁にぶち当たったらその時に一生懸命がんばることで成長していくものだと思います。


4.コーチングに必要なスキル

本書ではコーチングに必要なスキルはだいたい100あるとされており、その中でも基本となるスキルをいくつか紹介しています。
ここでは、そのスキルの中からさらに抜粋したものを紹介していきます。

(1)ヒトとコトを分ける
原因を探求したいけれど、相手を責めるような会話にはしたくないときに。

(ヒト)「どうして君は目標を達成できなかったのか。」
→(コト)「目標が達成されなかった原因は何だろう。」

(ヒト)「なんで君はこんな問題を起こしたのか。」
→(コト)「この問題が起こった理由は何だろうか。」

(私の意見)「why」を「what」にするということでしょうか。これはすごく効果がありそうです。というか現在も意識して使うことがありますが、ヒトを原因にするよりも少し言いやすく感じます。

(2)上司が学習する姿勢
一般に人の上に立つと、安心して「守りの姿勢」に入ってしまう人が少なくありません。部下に100回「勉強しろ」と言うよりも、上司自らが勉強する姿勢を見せる方が部下もやる気が出ます。

(私の意見)本当にその通りだと思います。上司というのは単にポジションの話なので、メンバーのひとりであるからには上司も部下も常に成長する姿勢が必要だと思います。

(3)プラス・リストをつくる
一人ひとりの部下について、加点法で、進歩・成長を記録するプラス・リストを作るのがおすすめです。もし部下との関係に上手くいかなくなったときや、部下が落ち込んでいるときがあれば、そのリストに現状を打開するヒントが隠されているかもしれません。

(私の意見)すごくポジティブな考え方です。私は思いつきもしませんでしたが、対象は上司部下に限らずこれから取り入れていこうと思います。ポジティブになれることは積極的に自分に取り入れて、自分が元気になるネタにしたいと思います。

(4)選択肢を増やす視点
ゼロから新しいアイデアを出さなくても、既存のものをちょっとひねるだけで、それはもう新しいアイデアとなるということです。

例:『上司が先月の売上レポートを見ながら部下に話をする。』という既存のものから、
●上司が売上レポートをグラフにしたものを見せながら部下に話をする。(ひねり)
●部下が売上レポートを上司に見せながら話をする。(逆発想)
●上司が翌月の売上予測を作成しながら部下へ話をする。(時代の先を行く発想)
●複数の部下の売上レポートを比較対象しながら話をする。(組み合わせ)
というふうに、ちょっと変えるだけでも結構新しい視点の選択肢を生むことができます。

(私の意見)
ハッと気づかされました。私は普段からアイデア出しってどうしても良いものが出てこなくて煮詰まりがちなんですが、とりあえず少しだけ変えてみて、やってみてから考えようっていう気持ち、大事だと思います。


【さいごに】

実はこの本を読むきっかけになったのは、お客様へコーチングスキルを活かしてヒアリングをスムーズに進めたいなと思ったのがきっかけでした。決して上司とか部下とかそういう対象ではなかったんです。
でも、読み終えてみると上司と部下というより、同僚全般に使える考え方だなと思えるようなことがたくさんありました。
もちろん、顧客に対しても。
コーチングスキルって目的(コーチング)に行きつくまでの手段みたいな話も含んでいるから、コーチングに繋がらなくても、円滑な人間関係に関わるスキル・考え方がいっぱいあると思います。
今回私はそれらを勉強できたと思います。

結構サクッと読めるのでそういう意味でもおすすめです。

私の読書感想文を読んでいただきありがとうございます。

#コーチング

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