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文学的香水処方箋

皆さんは「FUEGUIA1833」(フエギア1833)をご存知でしょうか。ブエノスアイレス出身の調香師ジュリアン・ベデル氏が立ち上げた、香水のメゾンです。

先日、グランドハイアット東京内にある店舗にお邪魔して、パルファンコンシェルジュの方が自分に適した香水をチョイスしてくださる「Boutique Experience」を体験してきました。

*ネタバレ的要素があります。これから体験するから知らないほうがいいな、という方は読むのをお控えください。


さて、予約の時間ちょうどにお店へ。すると、クリップボードをかかえたコンシェルジュさんが出迎えてくださいました。緊張気味でお邪魔したのですが、コンシェルジュさんの品がありつつも気さくな対応に、少し肩の力が抜けました。

名前などを記入した後、早速いくつかの質問に答えていきます。

▶特別なときに使うか、日常で使うか。

▶女性らしさか、男性らしさか、中性的か。

▶さわやかなフレッシュさか、重たい感じか。

▶色っぽさが必要か。

▶個性を出すか、みんなに愛されるか。

▶気分を上げるか、落ち着かせるか。

などなど。

私は、自分のイメージをよりはっきりとコンシェルジュさんにお伝えしたくて、自分の職業などについて具体的にお話しました。

質問タイムが終わると、店頭の80種類以上ある香水の中から適していると思われる香りをチョイスしてくれます。

フエギア1833の香水の魅力は、その背景にあるストーリー。でも、まずはそうした情報を一切入れず、自分の嗅覚だけを頼りに香りを絞っていきます。

目の前に並んでいく、香りのフラスコ。ひとつずつ確かめていきます。

「これはどうですか?」「ちょっと違うタイプだけど持ってきてみました」など、コンシェルジュさんとのやりとりも楽しい。

おそらく全部で7〜8種類の香りをチョイスしていただいたのですが、いろんな香りをくんくんして、最終的に残ったのは、結局最初に選んでくださった2つでした。コンシェルジュさん、さすが。

この2つに決まったところで、コンシェルジュさんがこの香水にまつわるストーリーをお話くださいました。

まったく異なるタイプの2つの香りだけど、根底にあるものが一緒であること。どちらもホルヘ・ルイス・ボルヘス(アルゼンチン出身の作家)の作品にちなむものであること。両方に共通するのが「ガーデン」というキーワードであること。

コンシェルジュさんが教えてくれるエピソードはどれも魅力的で、2つの香水がより好きになりました。

1つに絞るのは本当に、本当に、難しかった。。でも最終的には、肌にのせたときの感覚で、1つに絞りました。素晴らしい香りに出会えました。

コンシェルジュさんいわく、

「いつもは1つのジャンルの中からご提案することが多いんですけど、Rickさんにはいろんなジャンルの香りをご提案したくなったんです」

ちなみに私が選んだ香水は、どのジャンルにカテゴライズするのがいいのか判断が難しいほど、いろーーーんなジャンルの香りがミックスされた複雑な香り、とのこと。

辻褄が合っていく感覚というか、伏線回収の気持ちよさ、みたいな。まるで物語を読んでいるかのような体験でした。

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