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【読書百冊 6/100】起業の天才! 江副浩正8兆円企業リクルートを作った男/大西康之(東洋経済新報社)

■ 江副浩正は合理的天才だった。数十年前にGoogleのようなビジネスを考えていた
■ 第二電電にリクルートも参加するはずだったのに稲盛氏に蹴り出された
■ 江副浩正はリクルートで儲ける一方、株の空売りや不動産などの財テクでも儲けた。それが人柄を変えていった。
■ リクルートの扱う「求人」「人材」分野の広告は元々新聞社の収益源だった。縄張りを奪われた新聞社がリクルート事件で火をつけた。

リクルートの創業者である江副浩正さんの評伝です。

これまでにも類書はたくさんあり、僕もリクルートOBとしていくつか読んでいます。江副さん自身の本ももちろん読んでいます。江副さんのことは一言で言い切れないぐらい尊敬しています。

その立場から言うと、すでに聞いたことある話が多かったです。

もちろん、ジェフ・ベゾスの勤めていた小さなベンチャーを買収していたことなど、この本で初めて知ったこともいくつかあります。前半のイケイケドンドンな成長物語は読んでいて痛快でした。筆者は瀧本哲史氏に江副氏についてのインタビューをしており、それを読むことが出来たのも良かったです。

ただ、後半に至るにつれ、「リクルート事件がなければGAFAのような存在が日本に生まれていたはず」とか、「リクルート事件はメディアのでっちあげだ」と言わんばかりの部分など、ちょっと首を傾げるところがありました。ついでにいうと、ベンチャー経営学的に役立つ内容もあんまりなかったです。

どうしてそういうことが起こるのか?というと、結局、インタビューに快く応じてくれた人のことは持ち上げていいように書くけど、そうでない人のことは良く書かない、という筆者の態度によるところがあると思います。本書でいうと池田さんは色々話してくれたけど、河野栄子さんには話をちゃんと聞けなかったのではないか?と思っています。

特に、現社長の峯岸真澄さんは、もはや「中興の祖」といっていいレベルだと思いますが、ひとことも触れられていません。峯岸さんもなんらかの天才のDNAを受け継いでいるはずなのに。おそらくインタビューが取れなかったのだと思います。

一番気になったのは「リクルートのような企業や起業の天才が出てきていない」としているところです。サイバーエージェントの藤田晋さんなど、江副さんの領域にかなり近い天才だと思うのですが、どうでしょうか。

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#読書百冊2021 #起業の天才 ! 江副浩正8兆円企業リクルートを作った男 #大西康之

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