葱(ねぎ)

音楽とアイドル、映画

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最近の記事

オアシス再結成と、「後追い」世代としての矜持について

この記事を要約するとオアシス再結成!やったー!になるので、内容は無いに等しく、あくまでオアシスに対する個人的な思い出と再結成の感慨をただ書き連ねるだけです。 リアルタイマー/後追いという言葉はよく使われますが、私は殆どの音楽に対して「後追い」であるという認識を持ちながら過ごしていました。特に、中学生の頃、初めて国外の音楽に触れた時、オアシスもブラーもYouTubeの中にしか存在していなかった。アジカンのゴッチやアレキサンドロスの川上洋平が彼等のことを熱く語るのを又聞きしただ

    • サマソニ'24 記録

      星野源が踊っていた恋ダンス、なんて寂しそうな顔で踊るんだろう、と思いながら、夕方になっても残る日差しが暑くて仕方がなかった。同時にスクリーンに映るお客さんの笑顔があまりにも真っ直ぐで、今度はかなり嬉しくなった。そんな客観的に見ているわけにも行かず、恋ダンスの振り付けは覚えていないけれど体をクネクネと、そうクネクネとしていた。楽しかった。そうか、星野源は諦めた顔で恋ダンスを踊る、そういう覚悟を決めたのだろうと思った。  以前「うちで踊ろう」のロングバージョンをテレビで披露し

      • フジロック'24 day1 備忘録

        フジロック'24、金曜日day1のみですが、参加しました。コロナ禍以降に参加したサマソニ/フジロックに関しては毎回感想を書いているので、今回もつらつらと書いていこうと思います。前回が初めてのフジロック、今回が2回目です。 前回に比べて変わったことといえば、私が学生からサラリーマンになったことくらいでしょうか。流石にずっとスーツを着ている生活の中で「フジロックに行く」というのは相当なモチベーションでした。ただ、頭空っぽにして楽しめるのか、とか、フジロックのムードに白けてしま

        • 2024年 上半期ベストアルバム(と最近の音楽との付き合い方)

          ↑写真は、今のところ一番楽しかったOGRE YOU ASSHOLEを見に長野県原村まで行った時の写真です。 働き始めて3ヶ月、月曜から金曜まで朝7時半くらいに実家を出て、帰ってくるのが7時だと、学生の時みたいにただひたすらダラダラと音楽を聴く、みたいな時間がない。月間リスナー300人くらいのエクスペリメントアーティストを聴く時間、みたいなのはない。そんな状況がめちゃくちゃズシンと来ている訳でもなく、見境なくレコメンドされた音楽を聞き漁っていた時期がなんだったんだ?と思うほど

        オアシス再結成と、「後追い」世代としての矜持について

        マガジン

        • 年間ベスト
          11本
        • アルバム感想、あるいはレビュー
          12本
        • 全部聴くシリーズ
          6本
        • シューゲイズ定点観測<Shoegaze gaze>
          3本

        記事

          山下美月 卒業コンサート 感想

          山下美月さんの卒業コンサートが終了しました。良い乃木坂のライブを見た後の感情は大体「良いライブだったな」じゃなくて「良いものを見たな」です。人の善性に触れるというか、でっかい愛が形として立ち現れる。それなりに色んなアーティストのライブを見てきたけど、乃木坂だけ別の括りなんだなぁと、乃木坂のライブをみて満足した後は毎回そう思う。勿論そこには山下さんが考えたセットリストと演出の必然性があり、それに応えるメンバーの健気さがあるわけですが。 卒業コンサートってそもそも何か、と考える

          山下美月 卒業コンサート 感想

          坂道 シリーズ 展覧会についての雑感

          2019年の1月からでしょうか、乃木坂46の展覧会「だいたいぜんぶ展」が六本木ソニーミュージアムの柿落とし展覧会として開催されていました。そして昨年は欅坂/櫻坂46、今年のはじめには日向坂46が同じ場所で展覧会を行い、さっき日向坂の展覧会「WE R!!」に足を運んできたので忘れないうちに雑感を残しておこうか、と、iphoneのメモを開いています。だいたいぜんぶ展が開催されてからこの5年という月日の中で、坂道シリーズ自体も、世の中も、わたし自身も、いろいろ変わりましたし、同時に

          坂道 シリーズ 展覧会についての雑感

          クリストファー・ノーラン「オッペンハイマー」感想:幸福な共犯関係

          「メメント」、「ダークナイト」3部作、「インセプション」、「インターステラー」、「ダンケルク」、「テネット」…とクリストファー・ノーランの作品は映画の中にその映画にしかないルールを設定し、それを徹底的に映像として再現することで否応なしの説得力と、他の映画では得られない快楽を作り出している。その快楽は「作り込まれた街を舞台にみんな大好きなヒーローものを作ったらかっこいいだろうな…」「夢の中にダイブできたらどうなるだろうか…」「宇宙時代の家族愛ってどんな感じだろうか…」「時間が逆

          クリストファー・ノーラン「オッペンハイマー」感想:幸福な共犯関係

          ドゥニ・ヴィルヌーヴ「DUNE Part2」

          iphoneとイヤホンを繋ぐジャックを紛失してしまい、久しぶりにただひたすら最寄りから自宅までの15分間を歩くだけの時間が生まれたのだけど、2週間くらい前に見た映画「DUNE PART2」のことを不意に思い出した。絶賛の声が多いというか、あまりにも「劇場での大スペクタルを見逃すな!!」「今年の大傑作!!年間ベスト!!」みたいな、称揚しすぎる声が大きすぎる気がしてフラットに楽しめたかどうか定かではないのだが、いやぁでも不意に思い出すくらいなのだから楽しめたのだろう。 見終え

          ドゥニ・ヴィルヌーヴ「DUNE Part2」

          日記 3/20 (サークル/コピバンについて)

          あまり普段自分のことを書かないし、基本カッコつけたくなるので取ってつけたような文章しかアップロードしないのですが、この文章は素直に日記です。高校時代から軽音楽部に所属してベースを弾いて、大学に入った後も軽音サークルに所属し、先日、自身の代の卒業ライブを終えました。高校時代も結構しっかりとバンド演奏に勤しんでいたのですが、最後の最後にコロナウイルスの影響で卒業ライブを開催することが叶わず、どこか心残りなまま大学に入りました。とはいえ大学初年度は学校にさえまともに通えていなくて、

          日記 3/20 (サークル/コピバンについて)

          三宅唱「夜明けのすべて」

          ある時期まで、中学2年生の頃にもらったラブレターを大事に定期入れの中に入れて携帯していた。誰かが自分に対して関心を持ってくれている、という事実だけでなんか救われた気がしていたし、少なくともその手紙にはその事実を裏付けるだけの力があった。流石にその手紙はどこかのタイミングで机の中とかに移動したわけだが、受験やなんやがあって、気付いたらどこかに行ってしまった。 三宅唱「夜明けのすべて」も、いつかもらった手紙と同じくらいの距離感で自分の中で存在し続けてくれる映画になりそうだ。この

          三宅唱「夜明けのすべて」

          The Smile「Wall Of Eyes」

          いつだってRadioheadという音楽家集団は私の音楽リスナーとしての態度を揺さぶってくる。ただ、彼らのことを知ったのは現時点で最後に活発な活動を行っていた2016年頃で、サマソニで「Creep」を演奏したという話を興奮気味に語る音楽雑誌を「ほえ〜」と目にした記憶がある。その後私が好きになったポストロックやエレクトロニカと括るられる音楽は紛れもなくRadioheadを経由することで聴くようになった。そして数か月に一回ほどRadioheadを聴き、やっぱりここにしか無い是性(こ

          The Smile「Wall Of Eyes」

          2023年 年間ベストアルバム 25枚

          私がその年に発売された作品を追っていく"ゲーム"に参加し始めたのが2020年、コロナウイルスの影響でにっちもさっちも行かなくなっていた頃、同時に大学に入学した頃でした。そこから数年、毎回テーマを設けつつ「年間ベスト」をリストアップしています。気がついたら自分の音楽の嗜好がかなり固まってきておりリストを通して人となりが見えるなぁ、と思いながら自分のリストを眺めています。商業メディアに属していたり、ライター業に従事しているわけではないからこそ、いち市民の記録としてインターネットに

          2023年 年間ベストアルバム 25枚

          2023年に聴いて良かった旧譜15枚

          2023年も振り返れば色々な形で音楽と接点を持ち続けた1年でした。いくつかの来日公演、邦楽インディーバンドのライブ、サマソニそしてフジロックに足を運び、サークルでコピバンをしつつオリジナルバンドの活動を並行して行い、乃木坂ファンとして様々な媒体を追っかけるなど慌ただしく過ぎていきましたが、そんなことより何よりも音楽を毎日聴いていました。 昨年末に自分の音楽の聴き方を"特定ジャンルのディスクガイドの掲載作品:新譜:好きな旧譜:思いつき」を「4:4:1:1」くらいの割合で聴いて

          2023年に聴いて良かった旧譜15枚

          チバユウスケの訃報を受けて

          訃報が目に入った時、ウッと言葉にならないような声が出たが、140字で何かを言う気にもならず、ただ大学のラウンジみたいな所で書きかけの卒論を置いて座っていました。さっき友人と話して少し楽になったからパソコンに文字を打っています。取り敢えず何かを形にしないとこの暗い気持ちのまま年末を迎えそうで、ちゃんと自分の中で昇華させてから2023年を終わらせたい。 私は今22歳で、thee michelle gun elephantが解散ライブを行った時はまだ2歳か3歳なので、勿論ライブを

          チバユウスケの訃報を受けて

          「くるりのえいが」と「感覚は道標」

          くるりの新作「感覚は道標」を聴いて、いや、「ばらの花」をオマージュした「朝顔」を聴いて、少し複雑な気持ちを抱いた。常に新しい要素を取り込み、武器を変え、それこそ転がる岩を体現するようなバンドであるくるりが最初の3人で集まって「ばらの花」オマージュをやる。そこに少しだけ閉じたものを覚えてしまった。勿論、アルバムに流れる開放的な雰囲気はこのアルバムを好きになるのに十分な理由ではあったけれど。 そんな思いを抱きながら観た「くるりのえいが」ですが、最初に映った伊豆の景色から否応にも

          「くるりのえいが」と「感覚は道標」

          GRAPEVINE「Almost There」感想:メタバンド/GRAPEVINEの本領

          GRAPEVINEの新作だ、と構えて聴くのは初めてだった。「新しい果実」を経て猛烈にGRAPEVINEへ興味を持ってしまったことは以前書いた通りである。 変なことをしてるのに開けていること、基本的にブチ切れていること、器用貧乏にならない形でいくつものジャンル/時代性を横断して制作された曲が並んでいること。GRAPEVINEの魅力を強引にまとめるならこの言葉に集約できる。同時に彼らが接していた音楽への偏愛を隠さず、素材やスパイスとして楽曲に織り込む。オリジナリティの確立と音楽

          GRAPEVINE「Almost There」感想:メタバンド/GRAPEVINEの本領