見出し画像

休日は仕事しません!

「休日は仕事しません」私がそう言ったら生徒は驚いたような顔を見せました。土曜日がまだ休みではなかったころです。

定期テストで私の担当する教科は最終日の最後の時間に設定されていました。土曜日でした。テストが終わると勤務時間は終了です。採点する時間はありません。月曜日に答案を返却するには残業するか持ち帰ってするしかありません。私は持ち帰って家で採点しました。当時はそれがごく当たり前でした。

でも、月曜日に答案を返却しませんでした。返そうと思えば返せましたがあえて返さなかったのです。案の定、生徒は聞いてきました。「テスト返さないんですか?」と。「採点が終わっていないからまだ返しません」と私。「昨日休みだったじゃないですか」と生徒。「休みの日に仕事をしろっていうこと?」私はそう聞き返しました。

「何という教師だ!」と言われそうですが…  テストを返すことが「教師は休日でも仕事をするものだ」という暗黙のメッセージになることを私は危惧したのです。

休日返上で仕事をする先生はよい先生だと思う生徒や保護者はいます。教師の中にもいて自分がそうであることを誇らしげに言う人もいます。実際に私も採点や教材研究、学級通信の作成など休日に家でやることが少なくありませんでした。学校でやる時間がないからです。でもそれを公言することはしませんでした。「休みの日も仕事をする教師は熱心でよい教師」という「アンコンシャスバイアス」を生み出したくなかったからです。

教師の長時間労働、教師自身も意識や態度を変える努力が必要だと思います。

この記事が参加している募集

仕事のコツ

with 日本経済新聞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?