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157 小学校の先生のためのクラスルームイングリッシュ精選リスト

英語が母語の講師と二人で小学校を訪問し外国語活動のワークショップを行っていた際に、担任の先生向けのクラスルームイングリッシュのリストを作成しました。

外国語活動とは言いながらほとんどの学校が英語活動を行っており、当時は英語や英語教育を専門に学んだことのない担任が授業を行っていました。しかし、教師の多くは授業で英語を使うことに消極的です。自信がないからです。苦手意識が強いからです。そんな先生たちが基本的な英語を習得し、授業で最低限の英語を使用できるようになれば授業への抵抗が少しでも減らせるのではないかと考えたからです。

外国語活動に関する書籍が数多く出版され、多様な教材や教具が販売されていますが、教師がそれらを有効に活用しているとは言えない状況も見られました。その理由としては多忙な校務に追われて教材研究をするゆとりがないこと、英語の指導方法に関して基礎的なことを学んでいないため独力で教材研究をすることが困難であることなどが考えられます。英語を担当したことがない教員は、自分が英語の授業を行うことをなかなかイメージできず、書籍などで活動例を提示されても実際にどう実施したらよいかわからないことが多いようです。

クラスルーム・イングリッシュに関しても教師用の指導書などにリストとして掲載されることが多いですが、実際の使い方がわからないという声をよく耳にしました。どんなときに、どの表現を、どのように使えばよいのかわからないことが多いようです。たとえば外国語活動の授業を参観していると先生たちのテンションが異様に高いのに驚くことがあります。がんばって英語を使っているのですが、「イェーイ! イッツ・イングリッシュ・タイム!」とノリノリで授業を始め、「グレイト!」「グッド・ジョブ!」と英語で生徒をほめる際も不自然なほど大げさに言っていることがありました。

会話として不自然に感じるものもあります。たとえば ”What  fruit do you like?"という教師の質問に児童が "Apple. "と答えると大げさに "Excellent!" とか ”Good job!"などと反応しているのです。大げさにほめられるようなことでないことは小学生にだってわかります。ほめられた児童の方が戸惑っていました。児童を楽しませよう、やる気にさせようという気持ちもあるのでしょうが、自分が慣れない英語を使うことへの照れや恥ずかしさといったものが感じられました。だから英語表現だけでなく使い方も提示する必要があります。

また、日常的に児童に対して使っている日本語の指示表現が英語のリストに載っていなかったり、あるいはリストのどれに相当するのかわからないこともあるようです。小学校の先生は生徒に指示する際に独特の言い方をすることがあります。たとえば、「手はおひざ」「おしゃべりしません」「おへそをこっちに向けて」「今はだれが話しているのかな?」「今は何をする時間ですか?」などです。「おへそをこっちに向けて」などは”Look at me. ”でいいのにそのまま英語に訳そうとして意味が通じなくなってしまうことがありました。それゆえ事前に先生たちが使いたいと思う表現をアンケートで集め、基本的なものを60に精選して提示しました。あまり多くても使いこなせないのではないかと思うからです。

研修ではリストと共に使い方も丁寧に説明し、実際に使用してもらいました。テンションを上げる必要のないことはもちろん伝えました。すると先生たちは「意外と難しくない」「自分でも使える」と思ったようです。アンケートでも「実際に使ってみることによって自分も授業で使えそうに思った」と回答する人が多くいました。私たちが配布したリストは指導書などのリストとほとんど違いません。にも関わらずこのような回答が多いことから、教員はクラスルーム・イングリッシュを提示されるだけで不十分で、それらの使い方も合わせて学ぶ必要があることがわかります。さらにクラスルーム・イングリッシュ使って活動を行う時間が長いほど英語に対する「自信」が増し、英語を使ってみようという気持ちになることが参加者の観察を通して確認できました。 

作成したリストは以下からダウンロードできます。有料ですが参考になれば幸いです。

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