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プリトビチェ湖群国立公園、そして日本へ(最終回)

11月15日(水)
朝5時起床。朝食は今日も弁当。5時15分にロビーで配られた。メークも何もしないから時間があると言ってY子が受け取りに行ってくれた。サンドイッチ2個、リンゴ、バナナのシンプルな弁当。部屋で食べたが早朝なので食欲があまりない。半分残した。
 
出発は6時。外はまだ暗い。これからプリトビチェまで延々450キロの行程。長旅だ。
 
7時、昨日も立ち寄ったネウムのスーパーでトイレ休憩。短時間だったがスーパーに行ってレモンウェファースとフルーツゼリーを買った。合わせて29クローネ。
 
2時間ほど走ったところでバスは給油。ガソリンスタンに立ち寄った。乗客は再びトイレ休憩。カフェの奥のトイレに向かった。女性が圧倒的に多いので女性用のトイレは長蛇の列になった。男性用には誰もいなかったのでおばさんの厚かましさでさっと入って用を済ませた。幸いなことに出てくるまで誰にも会わなかった。隣のスーパーでクロアチアで最もポピュラーと言われる缶ビールを2本購入した。2本で19 クローネ。外に出てスタンドのガソリン価格表示を見ると9.83クーナ(約180円)となっていた。日本に比べて高めかな?海外で物価水準を知るとき私はガソリンかマクドナルドの価格を参考にしている。ガソリンは日本よりちょっと高め。イゴルさんに聞くと最近さらに値上がりしているらしい。イゴルさんはザグレブの出身。指輪をしていたので妻帯者だろう。ツアーの間は妻と離れて仕事をしている。大変だなあ。


ガソリンスタンド
黄色いデザインのOzujsko(オジュスコ)を購入

バスはだんだん山に入っていった。進むにつれて雪が本降りになり真冬の雰囲気だ。雪景色の中に廃屋がたくさん見える。今回のツアーで廃屋を一番目にした場所だ。屋根が抜け落ち、壁に弾痕のあとが見える家もある。住んでいた人はどうしたのだろう。バルカン紛争を身近に感じた。
 
12 時、雪の中のレストラン「ビストロ・ヴィラ・ヴェレビータ」で昼食。秋メニューのボルチーニ茸を使ったスープとハンバーグ料理だが、季節は秋というよりもう冬といった感じだ。

ビストロ・ヴィラ・ヴェレビータ

   
 14時30分プリトビチェ湖群国立公園に着いた。雪がすごく積もっている。スニーカーなので転ばないよう気をつけて歩いた。アジア系観光客がたくさんいてみんなこわごわ歩いている。入場調整をしているようで入り口で30分ほど待たされた。待っている間に公園内の様子をビデオで視聴。

雪の中を湖沼に向かって歩く


公園内にはたくさんの湖沼が階段状に連なってありとても美しい。設置された木道を歩くが、雪が積もっているのでつるつる滑る。こんなに雪が多いとは予想していなかった。スニーカーなので水が浸みてくる。群馬から来た若い姉妹はホテルのシャワーキャップを靴にかぶせていた。名案だけど余計に滑りそう。 添乗員さんのきゃーきゃ―いう声がしきりに聞こえてくる。いつ滑って転ぶかわからないので案内に集中できないようだ。

木道のすぐ脇を水が勢いよく流れている。策のない部分もあり、滑り落ちたらすぐに流されてしまいそう。用心して歩いた。2時間近く歩いてそれなりに楽しめたが、プリトビチェはもうちょっと早い時期に来るのがよいと思った。

大きな滝
木道のすぐ脇の急流
足を滑らせたら大変


上部からの眺め

15時半にプリトビチェを出発しホテルに向かった。最後に宿泊するのはボスニア・ヘルツェゴビナのビハチにある「エンポリウムホテル」。ホテルには16時半に到着した。大きくて立派だ。部屋も広くてベッドも大きい。ベッド上部の壁に英語でThat which does not kill us makes us stronger.と書かれている。ニーチェのことばで「生ある限り、全てが試練だ」という意味だそうだ。でもなぜホテルの部屋の壁にこんな言葉が? ハンガーを吊るす棒が木の枝そのもので作られていたのも目を引いた。自然を感じさせてニクイ。夕食は18時半からなのでしばし部屋でゆっくりする。


自然を感じさせるハンガーラック


 夕食はスープに続いてターキーのステーキとサラダ、そしてデザート。ビールと白ワインを飲んだ。夕食後、明日の朝食用のサンドイッチ弁当が配られた。

寝る前にシャワーを浴びようとしたらお湯の出し方がわからない。蛇口が見当たらないのだ。蛇口の場所あたりにはメタルの平たい器具があるがひねっても動かない。Y子に聞いてもわからないという。5分ほど探しまわったが蛇口が見つからないのでフロントに電話しようとしたその時だった。もしかしたらと思ってメタルをめくってみた、するとその下から蛇口が現れた。見栄えのためだろうか。私には蛇口にフタをする意味が分からない。

シャワーを終えるとY子は今日もスーツケースの荷物を一通り出して整理している。ほぼ毎晩やっていた。私はずっと入れっぱなしだった。こんなところにも性格の違いが表れる。Y子がシャワーを浴びている間に私は眠ってしまった。


左はY子のベッド、右は私のベッド ベッドの上部にニーチェのことば

 
 11月16日(木)
ホテル出発が6時なので、5時過ぎに起きて部屋で弁当を食べた。サンドイッチ、リンゴジャム入りクロワッサン、リンゴ、そしてミネラルウォーター。
 
バスは予定通り6時に出発した。外はまだ暗い。グラーツまで300キロ以上のドライブだ。クロアチアとの国境でパスポートチェック。この旅で何度目になるだろう。検問所に犬が何匹もいる。野犬らしい。暗い中でオオカミのように見えた。


検問所の野犬

8時15分。サービスエリアで30分の休憩。10時ごろスロベニアとの国境に差しかかり、検問を受ける。ここはかなり厳しかった。検問所によって差がすいぶんある。この検問所にも
野犬がたくさんいた。

昼前にグラーツ空港に到着。各自で昼食を食べ14時発のオーストリア航空207便でデュッセルドルフに向かう。1時間半ほどでデュッセルドルフに到着。日本への帰国便ANA210は午後3時45分にデュッセルドルフを離陸し、17日の午後3時に無事日本に着いた。


オーストリア航空207便



主要参考文献
『世界の紛争を考える 旧ユーゴスラビア紛争』文溪社 2003
『るるぶ クロアチア・スロヴべニア』 2017  
『旅名人ブックス クロアチア』 日経BP 2007
『地球の歩き方 クロアチア・スロヴべニア』 2017
『ぼくのうちは殺された』 ムラデン・クーシェッツ編著 山本郁子訳 彩流社 1997

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