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南から来た枕の贈り物
伊豆半島の成り立ちを知る貴重な溶岩を見ました。西伊豆にある一色の枕状溶岩(pillow lava)と言われるものです(ヘッダーの写真)。枕状溶岩というのは海底で流れ出たマグマが固まって出来た溶岩で、細長い枕のような形をしていることからこの名がつけられました。
枕状溶岩のでき方↓
粘り気の少ない玄武岩質のマグマが海の底でドロドロと流れ出ると、水で急に冷やされて、楕円体のような形で固まります。ただ、このとき固まるのは表面だけで、中身はまだドロドロです。その状態で、うしろから新しいマグマにどんどん押されるので、ソーセージの皮のようになった表面の一部が破れて、再び流れ出します。すると、表面だけが再び固まっては流れ出すということを繰り返し、やがて枕のような形の溶岩がいくつも出来るわけです。
一色の枕状溶岩は伊豆半島で最も古い時代の地層と言われる仁科層群(約2000万年前~)にあり、その大部分は海底噴火により流れ出た溶岩や水底土石流の堆積物から成り立っているそうです。これらの地層からは伊豆半島の成り立ちについても学ぶことができ、大地のロマンを感じました。
伊豆半島の成り立ち↓
伊豆半島の歴史は地層などの証拠などによって約2000万年前までたどることができます。
約2000万年前、伊豆は本州から数百km南にあった海底火山群でした。フィリピン海プレートの上にできた海底火山や火山島はプレートとともに北に移動し、やがて本州に衝突して現在のような半島の形になりました。約60 万年前のできごとです。
半島となった伊豆半島では約20万年前まで陸上のあちこちで噴火がおき、天城山や達磨山といった伊豆半島の骨格を形作る大型の火山ができました。
これらの大型火山の活動が終わると、日本には数少ない単成火山群の活動がはじまり、現在は「伊豆東部火山群」として活火山のひとつとなっています。また、プレートの動きは、今も伊豆の大地を本州に押し込み続けていて、地殻変動によりさまざまな地形を形作っているのです。
こうした二重三重の地質学的特異性が、多くの美しい景観や温泉を有する伊豆の大地を形づくったと言え、日本や世界のどこを探しても同種の例を見ない、地球上の特異点とも言える場所なのです。
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