既婚女性と独身女性の間には溝がある
「SATC」や「デスパレートな妻たち」を見ていると、結婚している女性VS独身の女性、的な構図がたまに出てきます。
若い頃は、なぜ仲良くできないんだろう?そんなに問題なのだろうか?と思っていましたが、歳を重ねて、周りの女性などを見ていると、女性同士の人間関係にはやはりある種の溝がある、ということに気づき始めました。
既婚、独身、という分かりやすい区切りだけでなく、既婚(子なし、子あり)、シングルマザー、経済的に裕福な場合、厳しい場合、と細かく属性が分類されると思うのですが、結論からいうと、どんな人生も素晴らしいです。みんながんばって生きているのですから!
そのことを踏まえた上で、既婚、独身の間に、生まれる溝の"正体"について分析していきます。
①女性は結婚すると"自分らしさ"を奪われる
「SATC」シーズン1エピソード10「母親は究極のカルト」でキャリーたちは、旧友レイニーのベビーシャワーに出るため郊外へ出かけます。
パーティーガールではっちゃけキャラだったレイニーが出産を控え、独身時代と全く変わってしまっていることに驚きます。
そもそも、シティガールで夜遊びが大好きだったはずのレイニーが刺激の少ない郊外に住むこと自体がキャリーたちには不自然に映ります。
興味深いのは、実はレイニー自身も変化に無意識ながらとまどっていた、ということです。
キャリーたちのシティライフに久しぶりに触れ、昔が懐かしくなったレイニーは、出産間近にも関わらず、サマンサのパーティーへやってきます。
久々の大都会。ハメを外そうと思ったレイニーは、パーティーの参加者たちの前で、上半身裸になろうとストリップまがいの行動を始めます。
自分の存在意義を見失っているレイニーを哀れみの目で見るキャリーたち。
ところが、いざ服を脱ごうとしてもレイニーは脱ぐことができません。以前は羞恥心なんてなかったのに、もうぶっ飛び行動ができなくなっているのです。
そんなレイニーをなぜか励ますキャリー。
レイニーが"大人になったから"とも解釈できるのですが、レイニー自身が自分のキャラ変にショックを受けてしまいます。
環境的な要因なのか、はたまた遺伝子に組み込まれているのか、理由は分かりませんが、結婚したり、子供ができると女性は自己抑制を強いられるのです。
つまり保守的になる。一見派手で、自由に生きているように見える人でも、家庭を持っている人(特に子供がいる人)は、頭の片隅で、妻や母としてきちんとしているだろうか、という概念が芽生えるのです。
自分以外に守るものがあきらかにある人(既婚女性)と、比較的、自分の人生だけに重きをおいて生きられる人(独身女性)では言動が変わってくるのが自然なのではないでしょうか。
②優先順位が変わる
「デス妻」シーズン2エピソード7「はかなき夢」で、妊娠中のガブリエルは、久しぶりにモデル時代の仲間(全員独身でモデル)と再会します。
郊外で子育てをしている女性はイケてないと思っているガブリエル。必死に妊娠していることを隠そうとします。
結局すぐ妊娠中だとバレてしまうのですが、不思議と「なぜこの子達と友達だったのだろうか?」と逆に疑問を持ちます。
そして、ファッションや外観的華やかな生活が最優先だったガブリエルは、実用性も兼ねたマタニティウェアに興味を抱き始めます。
「SATC」のレイニー同様、ガブリエルもいつの間にか、自分の属するグループがブリー側に変わっていたわけです。
「SATC」シーズン6エピソード9「女の特権、シューズマジック」では、靴をめぐって独身女性と既婚子持ち女性とのバトルが繰り広げられます。
有名なエピソードなので、詳しい内容は省きます。
このエピソード、ほとんどの人はキャリー(独身女性)の味方になるのですが、面白いことに、歳を重ねたり、子育てを経験するとキラの気持ちにも共感できるようになります。
子育てって想像以上にハードです。
共同で子供の世話をするといっても、どう考えても母親の役割の方が多いです。
そもそも授乳は母親にしかできないし、子供は母親に甘えたがります。誰かに必要とされることは、幸せであると同時につらいことでもあります。
自分の時間や気持ちの余裕が奪われるのですから。
行方不明になった靴について電話をかけたキャリーに対してキラは、
「いいなー、よっぽど時間があるんだ」
と返しますが、これも家庭に忙しい女性の本音ですよね。
それぞれに関心ごとや優先順位が違うのですから相容れないのも無理がありません。
③男性との違い
男性同士には女性同士ほど、既婚対独身の敵対構図はないような気がします。
ぱっと思いつく理由は2つ。
まず、男性には10ヶ月の身重の期間や赤ちゃんの時の授乳、寝かしつけがないので女性ほど身体的不自由がないこと。
次に、女性は自分の所属する属性(主婦、ママ友、独身仲間)でグループができやすいのに対し、男性は結婚しているか否か、また、子供の有無はあまり関係なく、趣味や遊び、仕事上の付き合いなどから友達関係が発生する傾向があるからではないでしょうか。
結論として、女性は家庭に入る(特に子供を持つ)ことで感情的にも体力的にも社会的にもストレスやプレッシャーを感じやすい。
だからこそ、私はこんなに自由を制限されているのに、なぜこの人は自由なんだろうと女性同士で立場、状況の違いに不公平を感じやすいのではないかと思います。
苦しみや悩み、苦労は平等であってほしい。でも人生はそれぞれ異なる。
「この人はこの人でいろいろ大変なんだろうな」
ほんのわずかでも、お互いにそう思い合うのが上手に付き合っていくコツなの
かもしれません。
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