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【映画「人間の惑星(Planet of the Humans)」を観た 】

 マイケル・ムーア総合監修の映画「人間の惑星(Planet of the Humans)」を観た。2020年公開とあるが全く知らなかった。日本でそんな話題になりませんでしたよね?もっと話題に上っていいと思うのだけど、日本語訳すらついていない。読んだ記事では環境保護団体からクレームが来て 動画が削除されたと書いてたけど、普通に観れました。(字幕はYouTubeの自動翻訳機能を利用しました) もう解禁されたということなのか。

参照)マイケル・ムーア氏の最新作「人間の惑星」、You Tubeから削除

 感想としては、マイケル・ムーアらしいな、と。地球温暖化にただただ警鐘を鳴らす一般のドキュメンタリーとは切り口が違い、具体性があり興味深かった。

 映画は、クリーンエネルギーに関わる企業と政治と保護活動家の隠密な関係を探ることでクリーンエネルギー推進に疑惑の目を向けている。結局、クリーンエネルギーの発電所設営そのものが 企業の手で産業ビジネスの一つとして利用され、活動家をうまく丸め込みながら 何も地球保護的な成果を生み出していないと批判する。

 なるほど。確かに公害を撒き散らすアンクリーンな大企業は生き残りに必死だ。

少しでもクリーンなイメージに近づけようと環境保護寄りになっていく流れは、身近なタバコやパチンコ、消費者金融を見ていれば大体わかる。

 環境保護活動にも金がかかる。善人気取りでクリーンエネルギーをうまく取り入れたのだろう。

 にしてもユナイテッド航空が協力しているのには驚いた。飛行機なんかどう考えても環境汚染の産物じゃないか。どんなツラしてクリーンを謳っているのか。(その様子は映画で観れます)

 映画で学んだことだがクリーンエネルギーの中でも バイオマスエネルギーが一番の肝らしい。栽培・収集・加工・輸送にコストがかかり、化石燃料もふんだんに使用しながら、エネルギーを抽出。新たな発電所を設営するのに開拓も必要だし、その影響で自然も破壊される。そこまでして得たエネルギーでさえ、通常われわれが必要とするエネルギー量の半分にも満たない。

 また太陽光発電、風力発電では、10数年が寿命だそうで 一見クリーンに見えても持続可能かといえば全くそうじゃない。

 こんなことのために 環境保護団体が支援するのは、どう考えてもおかしい。目を覚ませと訴えているわけだ。

 たしかに地球上の資源が枯渇してるのは明白な事実だし、もしほんとうにクリーンなエネルギーが実現するのであれば何も問題ないのだが、どうやらそれが〝どっこいどっこい〟らしいのだ。

 ネットで調べる限り、この映画の評判はあまりよくない。「グリーン」の裏側ばかりを強調すると、純粋に反温暖化対策に取り組んでいる人々の行動に水を差すことになるし、そうなっては攻撃の対象であったはずの汚染企業を擁護し、温存することになってしまう。いったい誰に向けたメッセージなのか、と。誰も得をしない映画になっているからだろう。

 つまるところこの映画は人類批判になっていて、消費しつづける鑑賞者へ批判の矛先が向けられる。無意識にその匂いを嗅ぎ通って嫌悪感を抱くからではないか。反対運動に加担する者の多くは批判はするが批判されたくない。ムーア氏の支持にまわりたくても門前払いされた気になるのだろう。

 人類批判、文明批判をカタチにすると、どうしてもマジョリティの対極に立たされる傾向にある。

 わたしは個人的に好きなのだけど。

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