【インターフェロン】 IFNβ 健康な生体内では、少量のIFNβが分泌され免疫恒常性、骨密度の維持、抗ウイルスおよび抗腫瘍免疫に必要

【インターフェロン】 IFNβ 健康な生体内では、少量のIFNβが分泌され
免疫恒常性、骨密度の維持、抗ウイルスおよび抗腫瘍免疫に必要

IFNβの異常は、自己免疫疾患、抗ウイルス免疫および癌の病態に関与している

IFNβ分泌がI型IFN、III型IFNの活性を制御


プライミング量のIFNβがない場合、マウス胚線維芽細胞(MEF)は他のI型IFNを産生しない

STAT1と他のSTATの比率がIFNβによって支配され、複数の細胞系列の恒常的な制御を確立している

健康な生体内では、少量のIFNβが分泌され
転写因子STAT1、STAT2、IRF5、IRF7、IRF9を含むIFN誘導性シグナル伝達中間体の適切な発現が維持されている

STAT1またはISGF3シグナル伝達と、他のSTATタンパク質を介したシグナル伝達とのバランスが保たれる

IFNβの異常は、自己免疫疾患、抗ウイルス免疫および癌の病態に関与している

IFNβの発現が低下=ISGF3の発現が低下

感染症や癌に罹患しやすくなる、造血幹細胞(HSC)の動員効率が低下

IFNβの過剰発現=ISGF3の過剰発現

自己免疫と造血幹細胞ニッチの疲弊をもたらす炎症環境を開始する


造血幹細胞ニッチ
骨髄などの造血組織では、血管が造血幹細胞の維持や増殖に必要な微小環境(ニッチ)を作る

IFN-βの発現は、ウイルス感染に応答して劇的に増加する
ウイルスによるIFNβ発現には、IRF3とIRF7が必須であるようである


IFNβの影響範囲は、大部分はSTATタンパク質と他のシグナル伝達中間体の発現を維持する役割によるものであるが、
IFNβのプライミング濃度が失われると、STATや他の制御タンパク質の発現が低下し
その結果、サイトカインシグナルネットワーク間のクロストークが損なわれ、
免疫細胞機能の異常、骨のリモデリング、造血幹細胞の恒常性の調節異常などが生じる

https://www.cell.com/immunity/fulltext/S1074-7613(12)00048-9

IFNαは血清中では比較的安定であり、半減期は2-3時間である。
対照的にIFNβは疎水性であり、IFNαと同レベルのIFN応答を誘導するが
血清中ではほとんど検出されない。

少量のIFN-βは、その後の他のサイトカインに対する効率的な応答のために細胞をプライミングし
免疫恒常性、骨密度の維持、抗ウイルスおよび抗腫瘍免疫にも必要である

※※

インターフェロン刺激遺伝子

IFNシグナルの結果として、相当数の遺伝子が転写調節を受ける
https://www.annualreviews.org/content/journals/10.1146/annurev-immunol-032713-120231

ISGは単独で発現してもウイルス感染を阻害しない
しかし様々なISGを組み合わせて発現させると抗ウィルス活性は増加

I型やIII型IFNの場合ではJAK-STAT経路を介し
STAT1、 STAT2そしてIRF9からなるISGF3複合体の形成を
ISGF3はその後核内における転写因子として
インターフェロン誘導性因子(ISGs)の発現を活性化

https://www.annualreviews.org/docserver/ahah/fulltext/immunol/32/1/iy320513.f1_thmb.gif

https://www.annualreviews.org/docserver/ahah/fulltext/immunol/32/1/iy320513.f2_thmb.gif

https://www.annualreviews.org/docserver/ahah/fulltext/immunol/32/1/iy320513.f3_thmb.gif

※※
インターフェロン歴史等
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3909993/

癌治療の標的としての発癌性STAT転写因子: 革新的戦略と臨床への応用

https://www.mdpi.com/2072-6694/16/7/1387

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